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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

歩夢室内楽シリーズ ~オール・ドヴォルザーク・プロ~

2023年03月12日 | pocknのコンサート感想録2023
3月8日(水)桑田歩と仲間たち(仮称)
All Dvořák Programme
昭和音楽大学ユリホール

【演奏】
Vn:篠崎史紀、佐分利恭子/Vla:佐々木亮/Vc:桑田歩/Hrm:山口綾規


【曲目】
♪ 4つのロマンチックな小品~弦楽三重奏のためのミニアチュール~ Op.75a
 ♪ バッハ/管弦楽組曲第3番~エア
♪ 2つのヴァイオリンとチェロ、ハルモニウムのためのバガテル Op.47
♪ 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96「アメリカ」
【アンコール】
♪ ユモレスク


チェリストの桑田歩さんが、仲間とともに開いた素敵な室内楽コンサート。演奏会のパンフレットは大判で老眼にも優しく、出演者プロフィールでは本業のことは殆ど触れず、子供時代に夢中だったことや、武勇談、失敗談で占められ、それぞれのプレイヤーの素顔がリアルに伝わってきて、開演前からメンバーへの親近感がアップした。

そんなメンバーによるコンサートでは、控え目で優しく、心の底にはいつも熱いハートを持っていたドヴォルザークが、桑田さんのトークでの「ドヴォルザークはいつでもどこでも「お家に帰りたい!」と思っている人だった」というコメントとともにとても身近に感じられた。佐分利さんがファーストvnを務めて最初に演奏した「ロマンチックな小品集」からも、人の心に寄り添う優しさや切なさが心に沁みた。

マロさんが山口さんのハルモニウム伴奏で聴かせてくれたバッハのエアは、ハルモニウムの柔らかで優しい響きが、マロさんの詩情豊かなヴァイオリンにジャストフィット。そこに佐分利さんと桑田さんが加わったバガテルでも、ハルモニウムの響きが全体に溶け込んで豊かで暖かい響きを生み出した。ここでの桑田さんの存在感!第1曲での深く穏やかに刻むピッチカートが、真っ白な雪の上に付ける足跡のように情緒を醸し出し、終曲のウキウキと心地よい自然な歩みが、お家に帰る嬉しい気分をさりげなく伝えていた。

最後は名曲「アメリカ」。マロさんの自由で柔軟な働きかけにみんなが呼応して、4人はノリノリでその場、そのときの気分にピッタリの演奏を繰り広げた。トークで「人間ドックで血を抜かれたけど、熱い血で演奏したい。」と云っていた佐々木さんは、言葉どおりの魂が入った歌を聴かせ、桑田さんは低音の伸ばしひとつ取っても、例えば1楽章の第2主題を支えるときに、ハーッと息をかけてみんなを暖めるようたったり、第2楽章では、心のなかに大切にしまわれたドヴォルザークの望郷の念をデリケートに歌い、音楽と、ドヴォルザークへの愛が伝わったりと、影に日向に大切な役回りを見事に果たした。そして、4人の演奏全体が、ドヴォルザークへの愛情をたっぷり感じる素晴らしい「アメリカ」だった。

5人全員によるアンコールでの遠くを夢みるような抒情は涙を誘うほど。演奏会全体から、メンバー皆が心を合わせて音楽を奏でることの素晴らしさが伝わってきた。

満席の聴衆の拍手は盛大だけど、「アメリカ」の名演にも、最後に5人が揃ってステージに並んだときもブラボーがかからない。ここはやっぱブラボーが欲しい!と叫んだのは僕です。最後にマロさんが桑田さんを連れてステージに戻ってきて、もう一発「ブラボー!」。いいコンサートをありがとう。

《今夜のメンバーが出演した過去のコンサートの感想》
MAROワールドVol.40 "バッハ Part IV" 2021.1.10 王子ホール
MAROワールドVol.37 by 篠崎“まろ”史紀 & MAROカンパニー 2020.1.11 王子ホール
MAROワールドVol.34 "ザ・ルーツ"
by 篠崎“まろ”史紀 & MAROカンパニー 2019.1.11 王子ホール


ブラボーが響くコンサートを取り戻そう ~終わりの見えない過剰な感染対策に思う~
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