9月13日（日）佐原詩音・會田瑞樹・山口徳花 トリプルコンサート 
創作！現代音楽で遊ぼう
ブックハウスカフェ・ひふみ座（神保町）
【曲目】
1．デポルテ／ONE MAN BAND
2．川上統／tumbleweed
3．和田なごみ／La.La.La
4．サン＝サーンス／白鳥
5．佐原詩音／黒鳥（新作初演）
6．八村義夫／Ahaia
7．薮田翔一／BillowⅡ
♪ ♪ ♪
8．バッハ／無伴奏チェロ組曲第1番ト長調～プレリュード
9．佐原詩音／The Rap for Reverse Bach（新作初演）
10.間宮芳生／カニ ツンツン
11.佐原詩音／どんぐりと秋の夢
12.ピアソラ／リベルタンゴ
13.佐原詩音／倭国の大祭（新作初演）
【演奏】
Pf:佐原詩音(1,4,5,10～13)、和田なごみ(3)／Perc:會田瑞樹(1～3,6,7,10～13)／山口徳花(3～5,8,9,11～13)
子供たちを主なターゲットに、大人にも現代音楽の楽しさを伝えるという趣旨のコンサート。多彩な内容が非日常の世界へ誘ってくれそう。会場は神保町の児童書専門店。本に囲まれたカフェで名物の焼きハヤシを食べ、絵本を眺めたりギャラリーで田島征三の原画を観たりしてファンタジーモードで２階の会場へ。会場はほぼ満席の盛況。小さなスペースで間近に作曲者自身による演奏を聴けるリアル体験を楽しんだ。
演奏者で最も出番が多く活躍したのはパーカッションの會田さん。マリンバやヴィブラフォンなどの本格的な鍵盤打楽器から調理器具なども動員し、多彩なパフォーマンスで様々な音を楽しませてくれた。生き生きとした野性味溢れるスピード感で強いインパクトを与えただけでなく、間宮の作品では張りのある声で歌唱力も披露。パーカスでも歌でも役者張りの見せ場を作った。
特に印象に残ったのは八村と間宮の作品。八村義夫は研ぎ澄まされた感性と鮮烈なリアリティを持つ音楽を書く稀有の作曲家だが、マリンバのための”Ahania”もそんな特徴が伝わった。聴く機会が少ない八村作品をこのような若い演奏家が取り上げる意義は大きい。間宮の「カニ ツンツン」はパーカスではなく會田が「歌唱」と小道具を使って披露、間宮のスピリチュアルな魅力が凝縮した作品で、ユーモアを交えて作品の魅力を生き生きと表現していた。
山口さんのチェロはいつもながら真摯な演奏。バッハでも現代曲でも常に生きた音楽を届ける姿勢を崩さない。そこには無難という言葉はなく、果敢な挑戦に溢れている。最もそれが届いたのは”The Rap for Reverse Bach”。曲の持つパワーを全身全霊で表現しようとする姿勢が引き付けた。
この作品を書いた佐原詩音さんはコンサートの主催者で、企画、構成、司会を一手に担い、新作中心に自作曲4作をプログラムに配し、演奏にも加わった。印象に残ったのは上記の曲と「黒鳥」。それぞれバッハの無伴奏チェロ組曲とサン=サーンスの「白鳥」をベースに、それらと対になる曲を作曲。「黒鳥」は「白鳥」の素材を取り入れながら、優美で清らかな「白鳥」とは対照的な妖しさと毒を感じさせ、”The Rap for Reverse Bach”はバッハの原曲の反行形にアレンジを加え、ビックリするほどアヴァンギャルドな作品に仕上がった。演奏者にラップを歌わせるのは少々無理があったが、バッハの音楽は姿を変えても本質を失わないことも証明していた。
自作の演奏にピアノで参加した小学生の和田なごみさんの”La.La.La”も楽しかった。台風を意識して書いたという曲は、どのパートも息づきアンサンブルが弾け、「台風の目」に引き込まれた。
このように印象深い新作、心に響く演奏にたくさん出会ったコンサートだったが、全体の印象となると少し別の感想になってしまう。「創作！現代音楽で遊ぼう」というタイトル、子供たちがターゲットというコンセプト、「歌・手拍子・ダンスで共演してね！」というコメント入りの見た目も楽しいチラシなどから、体験型で物語仕立てのコンサートを想像していたが、全体の焦点がはっきりせず、後半は聴いていて集中力が続かないことがあった。読み聞かせのようなナレーションで全体を統一して、「音楽って、時代やスタイルが違ってもこんなに楽しいんだ」といった明確なメッセージを伝える工夫が欲しいと思った。一部手拍子は入ったが「歌やダンスでの共演」がなかったのはコロナ対策？
そのコロナ対策だが、コロナ禍で出かけたこれまでのコンサートと比べ、今日は感染防止という点で気になる点がいくつかあった。大変だとは思うが、聴衆が少しでも安心して聴けるようにして頂けるとありがたい（飛沫防止対策、検温、手指消毒の確認等）。
Duo Axia （Pf:伏木唯 & Vc:山口徳花）2020.2.19 渋谷ホール
ブログ管理人のYouTubeチャンネル
♪トリオ「森の詩」(MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
♪「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
ほか
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創作！現代音楽で遊ぼう
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【曲目】
1．デポルテ／ONE MAN BAND
2．川上統／tumbleweed
3．和田なごみ／La.La.La
4．サン＝サーンス／白鳥
5．佐原詩音／黒鳥（新作初演）
6．八村義夫／Ahaia
7．薮田翔一／BillowⅡ
8．バッハ／無伴奏チェロ組曲第1番ト長調～プレリュード
9．佐原詩音／The Rap for Reverse Bach（新作初演）
10.間宮芳生／カニ ツンツン
11.佐原詩音／どんぐりと秋の夢
12.ピアソラ／リベルタンゴ
13.佐原詩音／倭国の大祭（新作初演）
【演奏】
Pf:佐原詩音(1,4,5,10～13)、和田なごみ(3)／Perc:會田瑞樹(1～3,6,7,10～13)／山口徳花(3～5,8,9,11～13)
子供たちを主なターゲットに、大人にも現代音楽の楽しさを伝えるという趣旨のコンサート。多彩な内容が非日常の世界へ誘ってくれそう。会場は神保町の児童書専門店。本に囲まれたカフェで名物の焼きハヤシを食べ、絵本を眺めたりギャラリーで田島征三の原画を観たりしてファンタジーモードで２階の会場へ。会場はほぼ満席の盛況。小さなスペースで間近に作曲者自身による演奏を聴けるリアル体験を楽しんだ。
演奏者で最も出番が多く活躍したのはパーカッションの會田さん。マリンバやヴィブラフォンなどの本格的な鍵盤打楽器から調理器具なども動員し、多彩なパフォーマンスで様々な音を楽しませてくれた。生き生きとした野性味溢れるスピード感で強いインパクトを与えただけでなく、間宮の作品では張りのある声で歌唱力も披露。パーカスでも歌でも役者張りの見せ場を作った。
特に印象に残ったのは八村と間宮の作品。八村義夫は研ぎ澄まされた感性と鮮烈なリアリティを持つ音楽を書く稀有の作曲家だが、マリンバのための”Ahania”もそんな特徴が伝わった。聴く機会が少ない八村作品をこのような若い演奏家が取り上げる意義は大きい。間宮の「カニ ツンツン」はパーカスではなく會田が「歌唱」と小道具を使って披露、間宮のスピリチュアルな魅力が凝縮した作品で、ユーモアを交えて作品の魅力を生き生きと表現していた。
山口さんのチェロはいつもながら真摯な演奏。バッハでも現代曲でも常に生きた音楽を届ける姿勢を崩さない。そこには無難という言葉はなく、果敢な挑戦に溢れている。最もそれが届いたのは”The Rap for Reverse Bach”。曲の持つパワーを全身全霊で表現しようとする姿勢が引き付けた。
この作品を書いた佐原詩音さんはコンサートの主催者で、企画、構成、司会を一手に担い、新作中心に自作曲4作をプログラムに配し、演奏にも加わった。印象に残ったのは上記の曲と「黒鳥」。それぞれバッハの無伴奏チェロ組曲とサン=サーンスの「白鳥」をベースに、それらと対になる曲を作曲。「黒鳥」は「白鳥」の素材を取り入れながら、優美で清らかな「白鳥」とは対照的な妖しさと毒を感じさせ、”The Rap for Reverse Bach”はバッハの原曲の反行形にアレンジを加え、ビックリするほどアヴァンギャルドな作品に仕上がった。演奏者にラップを歌わせるのは少々無理があったが、バッハの音楽は姿を変えても本質を失わないことも証明していた。
自作の演奏にピアノで参加した小学生の和田なごみさんの”La.La.La”も楽しかった。台風を意識して書いたという曲は、どのパートも息づきアンサンブルが弾け、「台風の目」に引き込まれた。
このように印象深い新作、心に響く演奏にたくさん出会ったコンサートだったが、全体の印象となると少し別の感想になってしまう。「創作！現代音楽で遊ぼう」というタイトル、子供たちがターゲットというコンセプト、「歌・手拍子・ダンスで共演してね！」というコメント入りの見た目も楽しいチラシなどから、体験型で物語仕立てのコンサートを想像していたが、全体の焦点がはっきりせず、後半は聴いていて集中力が続かないことがあった。読み聞かせのようなナレーションで全体を統一して、「音楽って、時代やスタイルが違ってもこんなに楽しいんだ」といった明確なメッセージを伝える工夫が欲しいと思った。一部手拍子は入ったが「歌やダンスでの共演」がなかったのはコロナ対策？
そのコロナ対策だが、コロナ禍で出かけたこれまでのコンサートと比べ、今日は感染防止という点で気になる点がいくつかあった。大変だとは思うが、聴衆が少しでも安心して聴けるようにして頂けるとありがたい（飛沫防止対策、検温、手指消毒の確認等）。
Duo Axia （Pf:伏木唯 & Vc:山口徳花）2020.2.19 渋谷ホール
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♪「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
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