2月19日(水)Duo Axia 山口徳花(Vc)/伏木唯(Pf)
~デュオリサイタル vol.6~
渋谷ホール
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノとチェロのためのソナタ第4番 ハ長調 Op.102-1
2.フランク/前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 Op.18
3.ドヴォルザーク/チェロとピアノのためのロンド ト短調 Op.94
4.プロコフィエフ/チェロとピアノのためのソナタ ハ長調 Op.119
【アンコール】
♪ ベートーヴェン/「マカベウスのユダ」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45 ~アダージョ
チェロの山口徳花さんとピアノの伏木唯さんにより2017年に結成されたDuo Axia、ベルリンと東京を中心に活発に演奏会を行い、今夜で6回目の公演となる。「作曲家の人生のターニングポイントに焦点を当てた」というプログラムでは4人の作曲家による4作品が演奏者によるMCを挟みながら演奏され、小さなホールは熱気に包まれた。
最初はベートーヴェンのソナタ。作曲されたのは中期から後期へと移るベートーヴェンの激しい情熱が内面へ向かう時期だったということで、演奏からも冷静で知的な印象が伝わった。伏木さんのピアノはかっちりと硬質な音で引き締まった様式美を表現し、山口さんがこれに答えるように慎重に音を運ぶ。一つ一つの表現を吟味し、誠実に音にする姿勢が感じられた。
フランクの作品はオルガン曲をピアノ用に編曲したもの。オルガン版は天使が天上を浮遊するようなファンタジックな印象だが、伏木さんのピアノ演奏からは音色も佇まいもピュアで引き締まった美しさが伝わった(ピアノはFAZIOLI)。まっすぐに深く打鍵している印象で、暗い教会で色鮮やかなステンドグラスから光が注がれてくるような気分に浸った。
プログラム後半はドヴォルザークのデュオで始まった。ドヴォルザークが祖国を離れてアメリカへ渡ろうという時期に書かれたというこの曲からは、緩急を繰り返しつつ湧き上がる期待や放浪する気分が感じられるが、二人の演奏は自由に音楽を感じ、歌い、踊り、郷愁も滲ませていた。
この気分は最後のプロコフィエフへと繋がって行く。山口さんが今夜の演奏曲目のことを記したブログによれば、このソナタはプロコフィエフが「人間 − それは誇らかに鳴り響く」という表題を考えていたという交響的協奏曲と同時期に書かれたいうが、二人はこのソナタをまさしく「人間賛歌」として捉え、熱い吐息や濃い血が流れる「命」の存在を間近に伝えてきた。
山口さんのチェロを聴いていると、ベートーヴェンのときは作曲家と演奏家の間にあった「様式」という壁がドヴォルザークでは取り払われて解放され、プロコフィエフでは更に作曲家と演奏家の心が直接つながった。情熱的で音楽への心からの共感と愛情に溢れ、作曲家の思いがストレートに演奏家の思いとして吐露され、伏木さんとのスリリングなバトルが聴き手を演奏に引き込んで行った。
この作品は、プロコフィエフによく云われる「金属的で固いイメージ」とは異なる抒情的な作品であると山口さんがブログに記しているとおり、エモーショナルな人間味に溢れている。それでも第2楽章のピッチカートとピアノのスタッカートのやり取りなんかは、諧謔的、嘲笑的に捉えることもできるだろう。しかしDuo Axiaは斜に構えることなく真っすぐ音楽に向き合い、全曲をプロコフィエフの「人間賛歌」として熱く歌い上げた。こんなエキサイティングな名演をこんなプライベートな空間で間近で聴けて大満足!
アンコールにはベートーヴェンを持ってきてコンサートをシンメトリーに締めた。Duo Axiaは今後も聴き手を感動に巻き込む演奏をしていくことだろう。
山口徳花&守重結加 デュオ ~2018.10.7 練馬区立美術館~
♪山口徳花さん出演のYouTubeを聴く
トリオ「森の詩」(MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け
~デュオリサイタル vol.6~
渋谷ホール
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノとチェロのためのソナタ第4番 ハ長調 Op.102-1
2.フランク/前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 Op.18
3.ドヴォルザーク/チェロとピアノのためのロンド ト短調 Op.94
4.プロコフィエフ/チェロとピアノのためのソナタ ハ長調 Op.119
【アンコール】
♪ ベートーヴェン/「マカベウスのユダ」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45 ~アダージョ
チェロの山口徳花さんとピアノの伏木唯さんにより2017年に結成されたDuo Axia、ベルリンと東京を中心に活発に演奏会を行い、今夜で6回目の公演となる。「作曲家の人生のターニングポイントに焦点を当てた」というプログラムでは4人の作曲家による4作品が演奏者によるMCを挟みながら演奏され、小さなホールは熱気に包まれた。
最初はベートーヴェンのソナタ。作曲されたのは中期から後期へと移るベートーヴェンの激しい情熱が内面へ向かう時期だったということで、演奏からも冷静で知的な印象が伝わった。伏木さんのピアノはかっちりと硬質な音で引き締まった様式美を表現し、山口さんがこれに答えるように慎重に音を運ぶ。一つ一つの表現を吟味し、誠実に音にする姿勢が感じられた。
フランクの作品はオルガン曲をピアノ用に編曲したもの。オルガン版は天使が天上を浮遊するようなファンタジックな印象だが、伏木さんのピアノ演奏からは音色も佇まいもピュアで引き締まった美しさが伝わった(ピアノはFAZIOLI)。まっすぐに深く打鍵している印象で、暗い教会で色鮮やかなステンドグラスから光が注がれてくるような気分に浸った。
プログラム後半はドヴォルザークのデュオで始まった。ドヴォルザークが祖国を離れてアメリカへ渡ろうという時期に書かれたというこの曲からは、緩急を繰り返しつつ湧き上がる期待や放浪する気分が感じられるが、二人の演奏は自由に音楽を感じ、歌い、踊り、郷愁も滲ませていた。
この気分は最後のプロコフィエフへと繋がって行く。山口さんが今夜の演奏曲目のことを記したブログによれば、このソナタはプロコフィエフが「人間 − それは誇らかに鳴り響く」という表題を考えていたという交響的協奏曲と同時期に書かれたいうが、二人はこのソナタをまさしく「人間賛歌」として捉え、熱い吐息や濃い血が流れる「命」の存在を間近に伝えてきた。
山口さんのチェロを聴いていると、ベートーヴェンのときは作曲家と演奏家の間にあった「様式」という壁がドヴォルザークでは取り払われて解放され、プロコフィエフでは更に作曲家と演奏家の心が直接つながった。情熱的で音楽への心からの共感と愛情に溢れ、作曲家の思いがストレートに演奏家の思いとして吐露され、伏木さんとのスリリングなバトルが聴き手を演奏に引き込んで行った。
この作品は、プロコフィエフによく云われる「金属的で固いイメージ」とは異なる抒情的な作品であると山口さんがブログに記しているとおり、エモーショナルな人間味に溢れている。それでも第2楽章のピッチカートとピアノのスタッカートのやり取りなんかは、諧謔的、嘲笑的に捉えることもできるだろう。しかしDuo Axiaは斜に構えることなく真っすぐ音楽に向き合い、全曲をプロコフィエフの「人間賛歌」として熱く歌い上げた。こんなエキサイティングな名演をこんなプライベートな空間で間近で聴けて大満足!
アンコールにはベートーヴェンを持ってきてコンサートをシンメトリーに締めた。Duo Axiaは今後も聴き手を感動に巻き込む演奏をしていくことだろう。
山口徳花&守重結加 デュオ ~2018.10.7 練馬区立美術館~
♪山口徳花さん出演のYouTubeを聴く
トリオ「森の詩」(MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け