12月7日(火)梅田敏明 指揮 国立音楽大学オーケストラ
~第114回定期演奏会~
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
♪前田明子/pray~Fanfare 2010~
1.ベートーヴェン/プロメテウスの創造物 Op.43~序曲
2.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
Pf:清水和音
3.ブラームス/交響曲第2番ニ長調 Op.73
【アンコール】
ブラームス/ハンガリー舞曲 第6番
国立音大の学生オケの演奏会を聴きに来たきっかけは、ベートーヴェンの4番のピアノコンチェルトのソリストが長岡純子だったから。新聞や、以前はよく読んでいた音友の演奏評を読んで、昔から一度聴いてみたいと思っていて、いまだに聴けていなかったビアニストだった。ところが、なんと体調不良ということで清水和音が代役という掲示。代役に不足はないが、長岡純子のビアノを聴いてみたかっただけに残念。
演奏会のオープニングは、ステージに金管ブラスセクションとパーカッションが並び、鮮やかなファンファーレが演奏された。輝かしいサウンドに、スネアやシンバル、トライアングルなどが彩りを添えた洗練された響きで、色彩感も豊かでかっこよかった。演奏後に作曲者らしき女性が舞台袖から出てきて挨拶したが、せっかくの晴れの自作披露なんだからステージで聴けばいいのに…
さて、本割りの演奏、国立の学生オケはとにかく元気がいい。最初の「プロメテウスの創造物」の颯爽と迫り来る感じはロッシーニ張りだが、律儀過ぎるきらいあり。ベートーヴェンのコンチェルトでの清水和音のビアノは、ピアニズムが輝き、引き締まったフォルムも美しく、緊張感が漂う第2楽章での沈思した静けさもいい。対してオケは、やっぱり元気がいいのはいいとして、木管アンサンブルの不安定さが気になった。指揮の梅田さんは、第2楽章で、ビアノとの世界の対比を描こうとしていたのかも知れないが、どこかあっけらかんとしていて、一つの世界を描き切れていないように感じた。
ブラームスもやはり陽気で元気。そして、最初の演奏から感じていたのは、このオケからは、どこかキンキンしたデジタルサウンドがする。これはデジタル世代の個性なのかも知れないが、こうしたサウンドは別の曲の方が生えるように思う。ただ、ベートーヴェンでは不安定だった木管群は、ここではいい響きを聴かせていたし、この曲の随所に登場するホルンやオーボエ、フルート、クラなどソロの聴かせどころは、みんなしっかりと聴かせてくれたのはさすが。
梅田敏明の指揮は、全体に大きな表現で能動的なアプローチではあるが、アンサンブルがカッチリかみ合わないと感じることもある。だが、フィナーレの最後の追い上げではテンションが高まり、良いクライマックスを築いた。アンコールの乗りの良さにも共感を覚えた。
~第114回定期演奏会~
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
♪前田明子/pray~Fanfare 2010~
1.ベートーヴェン/プロメテウスの創造物 Op.43~序曲
2.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
Pf:清水和音
3.ブラームス/交響曲第2番ニ長調 Op.73
【アンコール】
ブラームス/ハンガリー舞曲 第6番
国立音大の学生オケの演奏会を聴きに来たきっかけは、ベートーヴェンの4番のピアノコンチェルトのソリストが長岡純子だったから。新聞や、以前はよく読んでいた音友の演奏評を読んで、昔から一度聴いてみたいと思っていて、いまだに聴けていなかったビアニストだった。ところが、なんと体調不良ということで清水和音が代役という掲示。代役に不足はないが、長岡純子のビアノを聴いてみたかっただけに残念。
演奏会のオープニングは、ステージに金管ブラスセクションとパーカッションが並び、鮮やかなファンファーレが演奏された。輝かしいサウンドに、スネアやシンバル、トライアングルなどが彩りを添えた洗練された響きで、色彩感も豊かでかっこよかった。演奏後に作曲者らしき女性が舞台袖から出てきて挨拶したが、せっかくの晴れの自作披露なんだからステージで聴けばいいのに…
さて、本割りの演奏、国立の学生オケはとにかく元気がいい。最初の「プロメテウスの創造物」の颯爽と迫り来る感じはロッシーニ張りだが、律儀過ぎるきらいあり。ベートーヴェンのコンチェルトでの清水和音のビアノは、ピアニズムが輝き、引き締まったフォルムも美しく、緊張感が漂う第2楽章での沈思した静けさもいい。対してオケは、やっぱり元気がいいのはいいとして、木管アンサンブルの不安定さが気になった。指揮の梅田さんは、第2楽章で、ビアノとの世界の対比を描こうとしていたのかも知れないが、どこかあっけらかんとしていて、一つの世界を描き切れていないように感じた。
ブラームスもやはり陽気で元気。そして、最初の演奏から感じていたのは、このオケからは、どこかキンキンしたデジタルサウンドがする。これはデジタル世代の個性なのかも知れないが、こうしたサウンドは別の曲の方が生えるように思う。ただ、ベートーヴェンでは不安定だった木管群は、ここではいい響きを聴かせていたし、この曲の随所に登場するホルンやオーボエ、フルート、クラなどソロの聴かせどころは、みんなしっかりと聴かせてくれたのはさすが。
梅田敏明の指揮は、全体に大きな表現で能動的なアプローチではあるが、アンサンブルがカッチリかみ合わないと感じることもある。だが、フィナーレの最後の追い上げではテンションが高まり、良いクライマックスを築いた。アンコールの乗りの良さにも共感を覚えた。