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蓮の会ホールオペラ「アイーダ」

2016年06月04日 | pocknのコンサート感想録2016
5月28日(金)蓮の会ホールオペラ第10回公演
川口総合文化センター リリア 音楽ホール

【演目】
ヴェルディ/歌劇「アイーダ」全4幕(一部カット版)


【配役】
アイーダ:中前美和子/ラダメス:小林 浩/アムネリス:小谷円香/アモナズロ:旭 潔/エジプト王:西山栄治/ランフィス:笹倉直也/使者:上平臣悟/巫女:細谷理恵子
合唱:フレスカリア/ピアノ:大賀美子

毎年イタリア・オペラを上演している「蓮の会」が10回目の公演の演目に選んだのは「アイーダ」。蓮の会の常連キャストに新たな顔も加わり、更にこのオペラで重要な一翼を担う合唱も入り、充実した上演となった。

キャストで最も印象に残ったのはアイーダを歌ったソプラノの中前さん。去年の「オテロ」でのデズデーモナ役でも聴き手の心を掴んだが、今回も一声を発したときから、清澄でよく通る美しい声で聴衆を魅了した。どの音高でも、どんな大きさでもムラのない安定した歌唱で、気高く強く、迷いのないアイーダ像を聴衆に強く植えつけた。「蓮の会」主宰者の旭さんのアモナズロも良かった。高音まで伸びるダイナミックで豊かな声で、囚われてなお誇り高く再起を目指すアモナズロの気概を伝えていた。

蓮の会のオペラ公演初登場の西山さんの歌ったエジプト王も、朗々とした貫禄を備え、抜群の存在感を示した。小林さん、小谷さんら他の常連のキャストも健闘。全てのキャストが一丸となって、このオペ ラで展開される登場人物 同士、或いは一人の内面で起こる激しい心の葛藤や悲哀を表現し、オペラが描く過酷な運命をよく伝えた。

この公演でのもう一つの目玉となったのは合唱。フレスカリアはアマチュアの合唱団だが、オペラが活動の主軸ということで、ステージ上の動きにぎこちなさなど感じられず、何よりも合唱が素晴らしかった。少人数ながら豊かな声量を持ち、透明感と柔らかなふくらみを備えた女声陣と、磨きのかかった力強い響きを持つ男声陣による合唱は、よく鍛えられた声とアンサンブルで美しいハーモニーを聴かせてくれた。時間の都合で肝心の「凱旋の行進」が大幅にカットされてしまったのは残念だったが。

この超大作のグランドオペラを、たった一台のピアノで支えた大賀さんは、随所に登場する劇的な場面ごとに山場を作りつつ、全体を大きなドラマとしてまとめ上げた。

合唱まで加わったこのような大規模な作品で、照明や舞台稽古、字幕の準備など殆ど全てを、恐らく主宰の旭さんと今回登場したキャストだけで作り上げたことにも心からの賞賛を送りたい。

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