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N響 2019年1月B定期(トゥガン・ソヒエフ指揮)

2019年01月23日 | pocknのコンサート感想録2019
1月17日(木)トゥガン・ソヒエフ指揮 NHK交響楽団
《2019年1月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1. フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」Op.80
2. ブリテン/シンプル・シンフォニー Op.4
3. リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」Op.35

N響の1月B定期は、先月に続いてBプロとしては珍しい名曲コンサートの装いで、新年の気分に相応しい。指揮のソヒエフはこのところN響への客演が名誉指揮者以上に多く、N響との良い関係を育んでいる。実際に聴いた演奏にも名演がいくつもある。そんなソヒエフとN響が、今夜も親密なシーンを聴かせてくれた。

前半のフォーレとブリテンは静と動。フォーレは、この音楽が目指しているものそのものを見事に体現したと云える演奏。トワイライトのほのかな光に照らし出されて愛を確かめ合う二人の情景が浮かび上がってきた。光や香り、温もりや湿り気など、五感が捉えるすべての要素がひとつのシーンとなって、穏やかなグラデーションを生み出す。時おり深い淵から熱いものが静かに込み上げてきて、それがにび色に発光する様子が、更なるファンタジーをかきたて、絵巻物のようなシーンを見せてくれた。

これに対して「動」のブリテンは、颯爽と躍動するなかにも血の通った温かな息遣いが伝わってきて、オケが客席にグッと近づいてきたような親密感と安心感を覚えた。N響の合奏は緻密で精巧なだけてなく、ある種の余裕から生まれる奥行きと広がりを感じさせ、響きの色彩がとても豊か。弦楽合奏だけなのに、アルトフルートとかファゴット、ホルンと云った管楽器の音が聴こえてきた。

最後は「シェエラザード」。ソヒエフの指揮もさることながら、マロさんのヴァイオリンで聴けるのが嬉しい。重々しいシャフリアール王のテーマに続いて現れたヴァイオリンソロによるシェエラザードのテーマは、大海原を望む天空から、海の女神が熱い息をそっと吹きかけてくるようなファンタジックでなまめかしい空気を運んできた。

オケの演奏は、前半のプログラムの演奏から期待したほどの魅力を感じることはできなかったが、立体的に折り重なるアンサンブル同士の躍動感あるやり取りや、様々な楽器のソロが耳を引いた。このソロ、今までに聴いたシェエラザードのなかでもとりわけ、どの楽器でも自由に、ファンタジー溢れる演奏だと感じた。これはソヒエフがオケのプレイヤーを信頼して、それぞれが感じるままに自由に演奏させているようにも聴こえた。こんなところからも、ソヒエフと楽員との親密な信頼関係が伝わってきた。最後はマロさんが奏でる「海の女神の調べ」(勝手な命名)が、ほのかな残り香を引いて遥か天空へと去っていった。
♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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