今回は、八重咲品種のアップスターについて詳しく観察したのでそのレポートです。
このように美しい花色で八重咲なので遠目からは豪華に見えます。
まずは、普通の一重咲きのチューリップの花の中がどうなっているのかみてみましょう・・
雌しべは1本で柱頭が3裂しています。雄しべは6本で、内花被片3枚、外花被片3枚の構成です。
多くの品種ではその構成に変化はありません。
一方、八重咲はというと・・
花弁はもちろんのこと、雄しべも6本以上あり、柱頭の形は奇妙に変化して一定していませんでした。
花弁の一部に葯がついているものがありました。分かりにくいのでその花弁だけを外して見てみると・・
このように花弁と雄しべが一体化していました。
さらに、柱頭の一部が変形して葯とくっついているように見えるものもありました。
栽培している5つの花について、花弁数などを数えたので以下に列記します。
花弁数・雄しべの数・柱頭の割れ方の順で・・
- 22・8+1・5
- 20・9+3・4
- 17・7+6・4
- 20・9+1?・6?
- 26・4+5・5
雄しべの+記号は、通常の雄しべと花弁に付いている葯を足しました。柱頭は異常な形をしているので割れ数ははっきりしないものも含まれます。
チューリップは、様々な品種が作出されていますが雌しべ、雄しべ、花弁の数などの基本的特徴は維持されていることが多いです。その中で八重咲になるとそれが大混乱を起こしているようです。
次に、花粉について・・
上に挙げた黄色いチューリップの花粉です。ユリ科なので、同じようなラグビーボール型をしているのかと思っていましたが違いました。
アップスターの花粉。ゴミのような「しいな」花粉がかなり混ざり込んでいるように見えました。
【まとめ】
- 一般的なチューリップでは雌しべは1本で柱頭が3裂、雄しべは6本、内花被片3枚、外花被片3枚の構成になっています
- 八重咲品種・アップスターは花弁の数が多いのはもちろん雄しべの数も多く一定していませんでした
- 花弁と葯が結合しているものが見られました
- 柱頭の一部と葯が結合しているように見えるものも観察されました
- 柱頭の形は一定しておらず、割れ方も様々でした
- 他の品種に比べて「しいな」の花粉が多いように見受けられました
- 自然に八重咲になる植物の多くは、元来の雄しべの数が不特定多数あり、それが花弁に変化することで八重咲になることが知られています
- 一方、チューリップは元々の雄しべ数が6と少なく一定の植物です
- 八重咲の別品種「フォックストロット」でもアップスターと同じ特徴を持っていました
- 雄しべや子房の数が多くなる品種を作出しそこから八重咲が生まれたのかも!?
【今後】
- 内花被片と外花被片の区別はできるか
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