
放置していたプランターの土からハルジオンが生えて花を咲かせていました。この植物については後日改めてレポートしたいと思います。
今日のメインは、カラスノエンドウ。自宅の庭は雑草だらけでカラスノエンドウもあちこちで繁茂しています。
それにアリが登ってきていました。カラスノエンドウとアリには密接な関係があります。
以下 20年近く前のレポートを再掲します。カラスノエンドウとアリの関係は20年そこらで変わるものではありません。
カラスノエンドウ(マメ科ソラマメ属)
3月から6月にかけて野原や河川敷などに紅紫色の花が咲いているのが見られます。花は葉腋に1~3個つきます。葉は、8~16枚の小葉からなり、先端の小葉は3分岐した巻きひげに変化しています。
この植物にはよくアリが訪れているのが観察できます。同じ様な葉をしたクサフジに比べても比較にならないくらい多くのアリが訪れていて人気の高さがうかがい知れます。なぜ、この植物にはアリが多く集まるのでしょうか。
アリの行動を注意深く観察するとその理由が分かります。アリはカラスノエンドウの上をやたらに歩き回っているのではなく、ある特定の所に長く留まることがわかりました。この写真のように、花の付け根にある托葉に口をつけて何かをなめているようです。ここに何があるのでしょうか。
アリが口をつけていたのは、托葉上にある黒っぽい部分でした。実は、ここは花外蜜腺とよばれ、アリのためにカラスノエンドウがここに蜜を出しています。なぜ、アリのための蜜腺があるのでしょうか。
茎を下方向から見ると一対の托葉にそれぞれ黒っぽい蜜腺があることがわかります。この様に、花外蜜腺を用意することで、アリをたくさん呼び寄せ、葉や花を食べてしまう害虫を排除してもらっていると考えられています。例えるならカラスノエンドウはアリを雇ってボディーガードをさせているのです。花外蜜腺からの蜜がその報酬ということになります。
害虫から身を守るためには毒を持つという手段もあります。それに比べて花外蜜腺の手段はどんな意味があるのでしょうか。
有毒植物は、確かに害虫や草食動物を効果的に排除できています。しかし、それを持つためには複雑な生合成ルートに関わる多数の酵素や構造が必要となります。長期間に及ぶ進化と多大な投資が要求されると思われます。一方、花外蜜腺から蜜(ショ糖)を分泌してアリを集める方法は、単純な割に効果的に害虫から身を守ることができます。既にショ糖の生合成経路は花の蜜を作るために獲得済みだからです。ただしアブラムシについては、甘露をもらっているアリは何の役にも立っていないということになります。雇い主の敵から賄賂をもらって懐柔されてしまったようなものでしょうか。実際、カラスノエンドウにはアブラムシが群生しているのをよく見かけます。
顕微鏡写真
カラスノエンドウは葉の気孔の顕微鏡観察に適しています。葉の表皮のプレパラートを剥離法で容易に作れます。
葉の表。角のように見える二本の突起は表皮に生える毛の細胞です。
葉の裏。表のより長い毛が生えていました。気孔の数は表よりも約3倍多いです。
一方、シロツメクサ(マメ科シャジクソウ属)は表皮剥離法は大変困難です。なんとか苦労して裏側の表皮をプレパラートにできました。表側の表皮は何度かチャレンジしたのですがついに調製できませんでした。
シロツメクサの葉の裏面
「シロツメクサの気孔は一般の植物と違って裏よりも表に多い、あるいは裏には気孔が無い」と書かれたページがあったので興味を持っていました。今回剥離法で多数の気孔が裏面に観察されました。表と裏における気孔数の比率には特に重要な意味はないように思います。
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