*** Plaisir de voyager ***

非日常的な旅で遭遇する色々な体験のお話です。Various enconters in unusual travels.

内館牧子の小説、”終わった人”を読んで

2016-01-16 | 読書感想

  最近のことですが、近所の書店でシニアの人生に関する書籍コーナーを眺めていたら、「終わった人」というタイトルの小説が目に入りました。この本の著者は内館牧子でした。気になる作家だったので、一部をパラパラと拾い読みしました。すると、この小説は、定年退職したエリートサラリーマンの退職後の人生を描いた小説でした。

  私が定年退職したのはひと昔前ですが、お付き合いしている友人には、この本の主人公と同じ団塊世代の元サラリーマンも幾人かおりますので、興味を抱いて購入しました

  この本は “定年って生前葬だな。”という、思いがけない書き出しで始まります。この言葉は、東大の法科を出て大手銀行に入社し、50歳になる少し前に出世コースから外れて子会社の専務になり、63歳で定年を迎えた日に、この主人公が抱いた感慨です。

  読み始めると、ストーリーのテンポが心地よくかつストーリーの展開も興味津々だったので、400頁弱の長編小説ですが、一気に読み切りました。

  この小説の主人公は田代壮介という名前ですが、小説では “俺”と言う言葉遣いで描かれています。ストーリーは、退職の日にハイヤーで帰宅する途中に、この“俺”が考えていること、例えばこれまでの会社人生とか今後歩むべき人生などが、語られます。自宅マンションに到着すると、妻と娘夫婦、姻戚の人々に迎えられ慰労パーテイが開かれますが、本音では一人で酒を飲みたいなどと思っている”俺”がいます。

  主人公の“俺”は、退職しても悠々自適などを関心がなく、もう一度職に就き、一旗挙げたいと願っています。でも、不本意ながら文学サークルやジムに通い始めます。そこで出会った人々に対する印象を語りながら、物語は発展してゆきます。そのような流れの中で、ジムで出会った若手のオーナー社長に乞われて、成長途上にあるIT企業の顧問を引き受けます。しかし、社長に不幸があり後継社長に就任します。“俺”は、やりがいを感じ社業の発展に邁進しますが、予測不能の大型不良債権が発生して倒産を余儀なくされ、個人の財産とともに家族との幸せな老後も失うというのが、この物語のあらましです。

  現役時代は大手企業の役員であっても、いったん定年に達すると社会での立場は横一線となり、かっての肩書は通用しなくなるという人生になりますが、その中でいかに生きがいを見つけるかと言うテーマを取り上げて、読者に考えさせる作品です。

 

終わった人
エリートサラリーマンの定年後の人生

講談社

 

 

 


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1 Comments

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Nepal Trekking Tour Packages (Nepal Kailash Trekking Pvt. Ltd.)
2018-01-06 01:04:34
It's great to read above article. Hope some people would like to learn about Nepal Trekking Tours Packages.

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