見たいお芝居や映画。足を運べなかった作品は
「録って満足」
結局見ずに終わることが多いのですが、今日は録画しながら、久しぶりに最後まで食い入るように見てしまいました。
THE LAST PARTY ~S.Fitzgerald's last day~
2004年の月組版は保存してます。(なんで宙組録ってなかったんだろう・・)
チラッと見た事も。でも、なんだか手を出せずにいました・・・・植田景子先生の作品って、ちょっと高尚そうで
そして今回、2018年版。
非常に見ごたえがあって、なんで今まで見なかったんだろう・・・と後悔
「見ず嫌い」は良くないですね。
前置きが長くなりましたが。
宝塚でも上演した「華麗なるギャツビー」の作家、フィッツジェラルドの生涯を振り返りながら、最期の1日を描いた作品。
大きな舞台転換があるわけではなく、役者が「フィッツジェラルドの生涯を演じる」という演出で客観的に描きつつ、生演奏をバックにドラマティックに展開していく物語。
ストーリーはこちら↓
ジャズエイジの申し子として波乱の人生を送る運命を背負い、夢と挫折の中でひたすらに光を追い続けた男――代表作『華麗なるギャツビー』をはじめアメリカ文学に偉大なる足跡を残した作家、スコット・フィッツジェラルドの物語。
1940年12月21日、ハリウッドのアパートメントの一室。スコット・フィッツジェラルドが心臓発作のため急死。一夜にして時代の寵児となり、栄光に包まれた1920年代はもはや過去の夢となり、経済的にも社会的にも不遇なまま突然に訪れた、それは淋しすぎる最期だった――。
貧しい家庭に育ったコンプレックスと野心、美しい妻ゼルダへの愛、友人ヘミングウェイとの確執、激しく生き、一流の小説を書きたいともがき続けた彼の心に、最後に残ったものは・・・。夢溢れた華やかなりし時代と、そして、大恐慌後の闇と孤独との間で、フィッツジェラルド人生最後のパーティーの幕が開く。(梅田芸術劇場HPより)
成功者になろうと作家になったフィッツジェラルドと、破滅的な生き方をする美しい妻ゼルダ。
目まぐるしく変わる20~30年代のアメリカを背景に、作家の栄光と挫折を短時間で見事に描いた作品だと感じました。
主演のフィッツジェラルドは、月城かなと。
美しい容姿に加え、懐の深いお芝居と甘い歌声。月組に来てから、ますます役の幅が広がり、今後期待できる生徒の一人になりましたね なり上がりたいという、いきがった青年から、成功をつかみ取り、命を削って作品を生み出した結果、身も心もボロボロに堕ちていく・・・誠実な役柄、敵役が多かった彼女ですが、苦悩する役柄は思った以上にピッタリでした。今回のこの役も、代表作の一つになったのではないかと。ただ、生きることに真面目過ぎて「酒に溺れている」破滅感が弱かったかな? しかしこの後、「エリザベート」のルキーニを情熱的に演じ、途中、急な役替わりを経験。きっと、今の彼女なら違う演じ方を見られそうな気がしてなりません。いつか再演されると良いな。
フィッツジェラルドの妻、ゼルダは海乃美月。
華やかな世界に生き、作家活動に没頭する夫についていけないと、家庭を顧みず遊び惚け、結果的に精神が崩壊していく・・・
くらげさんは「宝塚の娘役」というより、もう「女優」だなと。歌が・・・という意見も目にしますが、お芝居は際立って上手い。「エリザベート」の時のヴィンディッシュ嬢しかり。近々で思い出すのは、月組の城咲あいちゃん、宙組の伶美うららちゃん・・・。艶やかで大人っぽい娘役は、トップになれないのかな・・・。もったいない。いつまでも宝塚で彼女のお芝居を見ていたい・・・ますますそう思わされました。
他のキャストでいうと、ヘミングウェイの暁千星。
新進気鋭の作家で、戦地に作品のインスピレーションを求めていた・・・ということは、はぎおも知っているところ。
フィッツジェラルドを追い落とす形で時代の寵児に上り詰め、結果自殺するという結末を知ってるだけに、複雑な思いで見ていました。若かりし頃のヘミングウェイを生き生きと、力強く演じていたありちゃん。もう少し「男っぽさ」がほしいところでしたが、ものすごい成長を感じさせてくれました。
スコットを支えるやり手の編集長に悠真倫。
懐の深さと情。この作品をまさに芯から支える存在でした。
スコットを晩年支えた女優に憧花ゆりの。
短時間の出演でしたが、さすがの貫禄。見ていて安心する存在感。本当に退団がもったいなかったなぁと。
月組、いや宝塚をいつまでも支えていてほしかった。
スコットに作品の感想をストレートに伝える学生に風間柚乃。
いまもう月組の中心メンバーになりつつある彼女。なにより芝居が上手い若いのに男らしい仕草。そして目を引く容姿。
彼女のヘミングウェイ、いや、いつかフィッツジェラルドを見たいなぁ・・・
これから本当に楽しみな若手です。頑張ってほしい
若手に至るまでセリフがあり、多くの役を演じていて、さすが「芝居の月組」を感じさせてくれます。頼もしい
「ジャズエイジ」と言われた時代だけに、音楽もシンプルでジャジーな雰囲気。退廃的でとても良かった。
セットといい、衣装といい、あの時代にタイプスリップしたような、素敵な時間でした。
初演にはなかったというフィナーレがあり、なんだか居たたまれない気持ちを華やかなショーで払しょく
まぁ、賛否あると思いますが、そこは宝塚ですから、晴れ晴れとした気持ちで帰りたいですよね
日本でも破滅的に生きた作家もいました。
物を生み出す職業というのは、そこまで身を削らなければならないのかと、つくづく感じます。
宝塚でも、こういう舞台作品ができる! 「アンチ宝塚」の人にも、お勧めできると。
そうそう、宝塚ってもともと、「文学作品」を上手く舞台作品に昇華させる力を持ってますからね
’04年版も見たくなったな~ 引っ張り出してみようかな
充実した2時間半でした
この日の午前中は、’11年星組の「ノバ・ボサ・ノバ」を初堪能
ちょっと’98年版と ニュアンスが違った気がしましたが、これはこれでやはり「名作」。
あのエネルギッシュでドラマティックなショーが50年も前に生み出されたとは
さまざまな作品を生み出せる宝塚、やっぱり魅力的です