はぎおの「ツボ」note

興味がかなり偏ったはぎおが「ツボ」にはまったことを、のんびりと、時に激しく?!思いつくまま綴ってます…

素朴だけど「芝居」を堪能  '83年月組バウ「野菊の詩」 。

2023-07-11 08:02:00 | 記録:宝塚

NHKやWOWOW、CSを通して、宝塚の大抵の過去の作品を見ていると自負していた私。

ですが、この作品は、全く知りませんでした。
勉強不足・・・

 

スカイステージHPより

 

原作は、「野菊の墓」
あの、松田聖子さん初主演。
「民さんは、野菊のような人だった」というキャッチフレーズだけ覚えてましたけど、一度も見たことなくて(正直興味なくて)。
いつだったか、最近、機会があって、どんなものか見てみました。
80年代当時、流行りの「アイドル映画」なのかな?と思ってましたが、そこはさすが、ちゃんとした原作。ストーリーは切ないものでした。
ただね、周囲の脇役が上手すぎてね。正直、聖子ちゃんと、オーディションで選ばれたという正夫役の男性のお芝居…記憶にない(失礼
 
ストーリーはこちら↓
矢切の渡しに近い旧家の息子・政夫(数え年15歳・満13歳)は、体調のすぐれない母と暮らしており、従姉の民子(数え年17歳・満15歳)が市川から看護や手伝いに来ていた。二人はたわいのない遊びで無邪気に接していたが、年頃の男女が親しすぎることから近所であらぬ噂が立ち、母親は民子にあまり政夫へ近寄らないよう注意を与える。以来、民子は政夫から距離を置き、改まった口の利き方をするようになった。しかし、今まで意識していなかったのが、会うのを制限されたことで、かえって互いに恋心の芽生えを感じるようになる。(以下省略(Wikipediaより)
 
宝塚版の演出は酒井澄夫先生。
レビューの印象があったのですが、お芝居も数多く手掛けてらっしゃったのですよね。
 
 
一応、当時の月組の中堅スター、郷真由加さんの主演…となってますが、郷さんは若い頃の正夫役。
民子は、若手時代から演技派の春風ひとみさん。
そして、語り手役という形で、青年期の正夫を演じるのは、ダンサーでならしたという(現役時代を知らないもので)芹まちかさん。
 
そして、こちらも脇役に重きを置く形で、正夫の母役に、現在も専科でご活躍の京三紗さん、民子に辛く当たる正夫の兄嫁に邦なつきさん、小作人たちも未沙のえるさんを筆頭に、存じ上げない方でも芝居巧者しか出てこない。何気に、超若手時代の涼風真世さんもご出演。
 
 
なんといいますか、真っすぐな性格の正夫の想いが中心だけど、世間を知らず、ひたすら正夫を思う民子の気持ち、一人で旧家を束ねながら、息子たちの想いも尊重したい正夫の母の苦悩、しきたりを重んじる兄嫁の気持ち・・・場面の比重が「主人公中心」というより、「ストーリー中心」という印象で、いい意味で「カルチャーショック」でした。
 
 
そういえば、歌のシーンも、祭りの場面くらいかな。
そう、基本「お芝居」だった。
 
「野菊の墓」という小説を、邪念なしですんなりと見られた気がする。
 
 
生まれて初めて見た宝塚が、月組だった影響もあり、何度も書いてますが、「宝塚のお芝居」にハマって、今に至るわけで。
 
 
 
 
当時すでに大人っぽい雰囲気の郷真由加さんだったので、少年役が意外でしたが、ちょっと無理がありつつ(失礼)可愛らしくて。真っすぐさが気持ちよくて。そして成長するにつれ、思うようにならない立場に苦悩する感じが、切なくて。
 
オープニングから登場、戦場に立ち過去を振り返る成長した正夫の芹まちかさん。
ちゃんとしたお芝居は、初めて見た気がします。
ほぼ無表情。郷さんとはあまり似てないのですが(失礼)、成長し、緊迫した戦場に経って過去を懐かしむ姿にリアリティを持たせたような気がします。

そして、民役の春風ひとみさん。
気がついた時から「演技派」で、どの世代を見ても何年目かわからないほど貫禄のある方でした。(いい意味ですよ)
実質、主役といってもいいのでは?という力強さ。
世の中を知らない可憐な時期から、運命に引き裂かれる過酷な状況まで、さすがのお芝居。
当時、月組には春風さんと、仁科有理さんという、「別格娘役」が2人もいて、贅沢な組だったなぁと。
春風さんは退団前、同じく郷さんと共演で、主人公として「サウンド・オブ・ミュージック」を上演されたとか。無理なんでしょうけど、ぜひ見てみたいですねぇ・・・・
CSさん、こういう「過去の作品の掘り起こし」をもっとお願いします!


 
母役の京さん、兄嫁に邦さん。
結構場面の比重も大きく、今見ると「若い!」と感じるのですが、立場は違えど互いに「旧家の嫁」という「貫禄」を感じさせて、お芝居をギュッと引き締めてくれています。
京さんは今も現役。考えてみれば、ありがたい存在ですよね。
邦さんの退団は、あまりにも惜しい・・・・
 

大好き未沙のえるさんも若かったねぇ~今考えると、彼女を手放してしまった劇団の損失は、本当に大きい。
他にもいろいろ。さすがに知らないキャストの方が多かったのですが、何の違和感もなく、楽しませていただきました。
 
 
先日、配信で楽しんだ「1789」とは全く対極の、素朴で地味な作品です。
けど、本来、こういう劇団だったよね…なんて。
今は、劇団も、生徒も、ファンも「主役至上主義」になってしまったので、こういう「原作の本来の良さを生かす作品」というのは、ほぼ皆無・・・・ですね。仕方ないのかもしれないけど。
「原作もの」を上演するのであれば、番手とか、立場とか関係ない、「原作を活かした作品」を作ってほしいものです。

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