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冥土院日本(MADE IN NIPPON)

まだ乗れるけど?

『まだ乗れるけどエコにしました』というT社のTVCMがある。私はこのCMを見ると不愉快になる。まだ乗れる車を処分して燃費の良い車に買い換えることが本当にエコロジーに役立つのか?T社に限らず最近の車メーカーのCMは低燃費がCO2削減、地球温暖化防止に役立つとアピールしている。もし自動車メーカーが真剣に環境問題を考えるならば、車の生産を中止するか生産台数を削減するのが一番の方法である。

車1台には数万点の部品が必要とされるが、これらの製造過程においてどれだけ大量の資源や石油、電気などのエネルギーが使われているか。新車を製造するよりも今ある車を大切に乗り続けた方が、省資源や地球環境保全に貢献することぐらいは子供でも分かる理屈だ。エコロジーを商売に利用するのはエコではなくて企業のエゴである。まともな会社がやることではない。

企業ばかりでなく、国の政策もおかしい。自動車税を見るとディーゼル車は新車登録から11年を越えると。ガソリン車・LPG車は新車登録から13年を越えると10%以上前年よりも高くなるのである。これらの古い車は『環境負荷の大きい自動車?』であるらしい。一方低排出ガス車と呼ばれる最新の車は『環境負荷の小さい自動車?』とされ、特別措置として自動車税が25%から50%も軽減されるのである。古い車を大切に乗っている人が何故優遇されないの? たしか、物を大切にするのは日本人の美徳であったはずだ。

燃費や排ガスで比較すれば上記の理屈は正しい。しかし製造に必要なエネルギー総量と環境負荷、古い車を処分することによって生み出される廃棄物による環境負荷を比較すればどうなるのだろう。『グリーン化税制』は『木を見て森を見ず』の税制であり、国が新車販売の提灯持ちをしているだけの税制ではないかと勘ぐってしまう。

今の自動車技術があれば、自家用途の車なら20年、30年走るだけの車は作れる。タイヤだって10万キロ以上走れるものが製造可能である。メーカーは何故しないのか。それは自動車メーカーやタイヤメーカーが儲からないからだ。だから意味の無いモデルチェンジと車種バリエーションの拡大という、昔ながらのマーケティング手法で消費者の購買意欲を誘ってくる。

しかし消費者は賢くなっている。最近のガソリン高騰の裏の仕組みも知っている。若者に限らず自動車離れがどんどん進んでいる。カーシェアリングも全国的に広がっているようだ。車が売れない時代はすぐそこ迄来ている。自動車産業は国家の基幹産業であり、自動車産業に関連する会社や従業員も半端な数ではない。また自動車は交通機関が整備されていない地方や一部の人たちにとっては無くてはならないものでもある。国家とこれらの人々の生活を守るためにも、自動車メーカーとお役人は新しい発想に目覚めなければ自動車産業も国も滅んでしまうに違いない。


★写真(注)
以前所有していた車の10万キロ時のスナップ。新車で購入。kenshinさんのコメントには遠く及ばないが、8年間で12万キロ走って譲渡。次のオーナーは6年近く乗って走行18万キロで廃車になった。

コメント一覧

フォトン
kenshinさんはオーストラリアにお住まいなのですか?所有されている車の走行距離は凄いですね。ちゃんとメンテをすれば車は長持ちするものですよね。

キューバでは経済封鎖で自由諸国からの車の輸入がストップしたため、封鎖以前に輸入されていた1940年代から50年代に製造された車が未だに現役で走っています。走行キロにしたら一体どのくらいになるのでしょうか。

車の原価償却が6年間というのもおかしな制度です。大昔の車ならいざ知らず、6年目なんて、今の車なら一番調子がよい時だと思います。

kenshin
私が乗っている車の走行距離は51万キロ、もう一台は57万キロもう一台は27万キロ。
まだまだ走れます。
57万と27万はお友達のアボリジニの方にお譲りします、彼らはさらに距離をのばすでしょう。

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