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混迷の時代を生きるヒント②

日本神人伝(不二龍彦 著)では14人の人物が紹介されている。その内容は江戸期から昭和にいたるまでの宗教家、心霊家、超能力者、心霊研究者など様々である。その中でも高島嘉右衛門の存在は異質である。それは他の人々がどちらかと言えば浮世離れした世界の人物ばかりであるのに対して、嘉右衛門は易聖と言われる程の超人技を持つ反面、表向きは第一級の実業家という現実的な顔を持っていたからである。

「商い」という超リアルな世界で、しかもトップランナーとして時代を駆け抜けたいう事実は、宗教や心霊研究などの世界とはあまりにも対極的な出来事である。金銭欲、物欲、名誉欲、色欲が渦巻く世俗的な煩悩に満ちた世界で、如何に自己の精神的充足を図り、神との対話が出来たのか。そしてその超人的な行動力の源泉となった思想は何なのか・・・ここに高島嘉右衛門という人物への興味が尽きない理由がある。

精神世界や神仏の世界に足を踏み入れた人達が、まず最初に直面する問題は現実世界とのギャップであろう。このような世界に惹かれる人たちの多くは魂の周波数がやや高い傾向にある。従って周囲の周波数とのずれを感じて大いに悩むことになるし、人生における問題が次々と起こりやすい。相手が他人である場合はまだしも、兄弟、夫婦、親子という関係になると情が絡んで事はますます深刻である。また仕事においても自分の仕事や所属する組織が本当に世の為、人の為になっているのかと悩むことも多い。世俗的な価値感、倫理観と内なる価値感、倫理観が常に抗争、対立しているのだ。

宗教や精神世界ではいとも簡単に世俗的な欲や執着を捨てろと説くけれど、隠遁生活者でない限り、それは無理と言うものである。そもそも肉体と言う不自由な乗り物を所持しているからには、少々の欲や執着は乗り物をを維持するために必要なものだからだ。出家や隠遁者となって霊的真理を悟り、実践するよりも、世俗にあって悟り、実践することの方が、より多くの困難を伴うだけに、はるかに学びの効果は高いのである。

嘉右衛門も人の子、最初から超人的な能力を持っていたわけではない。多くの失敗を重ね、悩み、苦しみ、幾多の試練を乗り越えた末に、初めて真の易占の能力を神から授かるのである。人間嘉右衛門が神人嘉右衛門と変化していく様を書籍で追体験する事によって、現実世界にしっかりと足を据え、混迷の時代を生きるヒントを貴方なりに掴んでいただきたいと思う次第である。

前置きが長くなってしまった。肝心の2冊の本の紹介については今度こそ次回に。

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