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混迷の時代を生きるヒント①

高島嘉右衛門の数奇に満ちた生涯を「日本神人伝」から紹介した。高島嘉右衛門という人物は現代では知る人も少ない。また彼の果たした偉大な業績の割には高い評価を得ている訳でもない。むしろ人々から忘れ去られようとしている。私がブログで紹介した意図は、彼の偉大な功績や易の神秘を今更とやかく言いたいからでもない。彼の生き様には混迷の時代に希望を持って生きる数々のヒントがあるからである。

世界金融危機以来、マスコミは現在の状況を「先が見えない混迷の時期」として金融不安、景気後退、失業、食糧危機などあらゆる不安材料を持ち出しては人々の危機感と恐怖心を煽動している。日本の実力と底力は世界の国々の中でも突出しており、思った以上にダメージは少ないのである。しかしお馬鹿なマスコミと一部のユダ金の手先に煽られて、日本社会全体の意識と行動が萎縮しつつある。

現在の状況というのは「陰謀論」や「見えない世界」をテーマにしたネット情報では何年も前から言われ続けて来たことばかりである。現代社会の政治・経済システムや常識とされる事柄に疑問を抱いて、それらの情報を求めて来た人たちにはさして驚くべき事実でもなければ、悲観材料でもないはずだ。しかし、現実の世界やシステムが全てであると信じる人たちにとっては未曾有の大事件であり、憂慮すべき大事態となる。

時代は違えども、幕末から明治にかけての時期は現在の状況に通じるものがある。鎖国政策で世界への道を閉ざし、300年の太平に慣れきった人々にとって開国と幕藩体制の崩壊は、まさに価値観が180度ひっくり返る驚天動地の事態であったろう。一般庶民から指導者層に至るまで、先が見えない、読めない真っ暗闇に裸で放りだされたような心地であったと思われる。

そんな時代に徒手空拳の一介の商人が数々のパイオニア的事業を起こし、新政府の要人たちに国の運命を左右する政治的アドバイスを行ったことは、真に奇跡としか言いようがない。高島嘉右衛門が成し得た奇跡の原動力は強靭な信念と実行力であった。そしてその精神的支柱となったのは「合理主義と神秘主義の融合」と言っても良いだろう。言い換えるならば「知性と霊性の融合」である。混迷の時代を強く、正しく生きるためには霊性の理解と霊的真理への恭順が不可欠である事を、彼の数奇な人生が示唆しているように思われるのである。

高島嘉右衛門という人物に興味を惹かれるのなら、次の二冊の本を読まれる事をお薦めする。「大予言者の秘密 易聖・高島嘉右衛門の生涯」高木彬光(著)と「高島易断を創った男」持田鋼一郎(著)である。この二冊の概略の紹介と生身の人間、高島嘉右衛門については次回に述べさせていただく。

コメント一覧

フォトン
碧波さん
度々のコメント有難うございます。私の駄文が何かのお役に立てたようで嬉しく思います。

私の大好きな作家の一人である高木彬光氏が碧波さんの高校の先輩とは驚きです。高木彬光氏のご先祖は代々九州秋月藩(黒田藩の支藩)の範医をつとめていた家柄で、五代前のご先祖が当時奥州外ヶ浜と呼ばれていた青森市に移り住んだのだそうです。

日本には日本の道がある。私もそう信じています。高木彬光氏の「大予言者の秘密」はエンターテイメントとしても第一級の作品だと思います。現在では絶版ですが図書館には必ずあると思います。



碧波
高木彬光は私の高校の先輩です。そんな著書があるとは知りませんでした。まだまだ勉強不足ですね。読んでみます、2冊とも。
今回のブログ、非常に参考になりました。思うところがありました。NYの株価が下げれば自動的に東証株価も下げるという、馬鹿馬鹿しい連鎖には納得いかなかったのです。日本は日本の道がある。いつもそう思っていました。

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