世界金融危機以来、マスコミは現在の状況を「先が見えない混迷の時期」として金融不安、景気後退、失業、食糧危機などあらゆる不安材料を持ち出しては人々の危機感と恐怖心を煽動している。日本の実力と底力は世界の国々の中でも突出しており、思った以上にダメージは少ないのである。しかしお馬鹿なマスコミと一部のユダ金の手先に煽られて、日本社会全体の意識と行動が萎縮しつつある。
現在の状況というのは「陰謀論」や「見えない世界」をテーマにしたネット情報では何年も前から言われ続けて来たことばかりである。現代社会の政治・経済システムや常識とされる事柄に疑問を抱いて、それらの情報を求めて来た人たちにはさして驚くべき事実でもなければ、悲観材料でもないはずだ。しかし、現実の世界やシステムが全てであると信じる人たちにとっては未曾有の大事件であり、憂慮すべき大事態となる。
時代は違えども、幕末から明治にかけての時期は現在の状況に通じるものがある。鎖国政策で世界への道を閉ざし、300年の太平に慣れきった人々にとって開国と幕藩体制の崩壊は、まさに価値観が180度ひっくり返る驚天動地の事態であったろう。一般庶民から指導者層に至るまで、先が見えない、読めない真っ暗闇に裸で放りだされたような心地であったと思われる。
そんな時代に徒手空拳の一介の商人が数々のパイオニア的事業を起こし、新政府の要人たちに国の運命を左右する政治的アドバイスを行ったことは、真に奇跡としか言いようがない。高島嘉右衛門が成し得た奇跡の原動力は強靭な信念と実行力であった。そしてその精神的支柱となったのは「合理主義と神秘主義の融合」と言っても良いだろう。言い換えるならば「知性と霊性の融合」である。混迷の時代を強く、正しく生きるためには霊性の理解と霊的真理への恭順が不可欠である事を、彼の数奇な人生が示唆しているように思われるのである。
高島嘉右衛門という人物に興味を惹かれるのなら、次の二冊の本を読まれる事をお薦めする。「大予言者の秘密 易聖・高島嘉右衛門の生涯」高木彬光(著)と「高島易断を創った男」持田鋼一郎(著)である。この二冊の概略の紹介と生身の人間、高島嘉右衛門については次回に述べさせていただく。
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