ニュース#152
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予言されていた天体が実際に発見されたょ。米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニが、リングとリングの狭い隙間を通る小さな衛星を発見したんだ。キーラーの隙間って呼ばれているリングの隙間には前から衛星があるに違いないって言われてたんだ。
土星のリングはとっても細いリングが無数に集まってできているんだ。リングを作っているのは実は小さな氷などの粒で、それらが集まって遠くから見るとリングに見えるってわけ。リングにはいくつかの隙間があって、ほとんどリングを作る粒がない場所だょ。キーラーの隙間もその一つ。土星のリングの中で2番目に明るいAリングの外縁近くにある隙間だょ。Aリングの外縁から250km内側にあって、幅は35kmしかないんだ。
2004年7月、カッシーニは土星のリングを詳しく観測したんだ。その時キーラーの隙間の外側のリングから、スパイク状の突起が出ていることが発見されたょ。同じような突起は、Fリングでも発見されていて、それが土星の衛星プロメテウスの重力によって引っ張られてできたものだってことがわかっていたんだ。だからキーラーの隙間で発見された突起も小さな衛星の重力によって作り出されているんじゃないか、って考えられるようになったんだ。
すると2005年3月1日に撮影された画像の中に、本当に衛星が発見されたんだ(下の画像:NASA/JPL/Space Science Institute提供)!直径約7kmと小さな衛星だょ。反射率は0.5で、近くのリングを作っている粒と同じ物質で覆われてるみたい。土星の中心からの距離は136505kmで、軌道はまだわかってないけれど、ほとんど円に近い楕円だと考えられてるょ。とりあえず仮符号S/2005 S1と呼ばれることになったんだ。
この衛星がキーラーの隙間の外側に少し近づいたり、逆に内側に少し近づいたりを繰り返しているために、そのたびにリングの粒が乱されて写真のような波のような構造ができたらしいょ。エンケの隙間っていう別の隙間の中にも衛星パンが回っていて、近くのリングに似たような波状の構造が見られるょ。
この衛星S/2005 S1が周りのリングに与えている影響を調べることによって、衛星の重さを推定することもできるかもしれないょ。そうすれば、衛星がどんな物質でできてるのか、どのようにして衛星が誕生したのかも分かってくるはず。これからの分析に期待だね!
ところでカッシーニが発見した衛星は早くもこれで4つ目。まだ衛星かどうか分からないものまで含めれば7つ目なんだ。今回のS/2005 S1の軌道はまだよくわかってないから、他の6つの衛星・衛星候補のデータをここで紹介するね。S/2004 S3、S4、S6はFリングのすぐ近くで発見されて、本当に衛星なのかわからないから名前はまだ付いてないんだ。ちなみに1995年にもハッブル宇宙望遠鏡による観測でFリングのすぐそばに衛星候補が3つ発見されたょ(S/1995 S5、S6、S7)。下の表は6つの天体の軌道データ。その下の画像はカッシーニが撮影した6つの天体の写真だょ(NASA/JPL提供)。
Methone Pallene S/2004 S3 S/2004 S4 Polydeuces S/2004 S6
(S/2004 S1) (S/2004 S2) (S/2004 S5)
参考
ニュース1 土星探査機カッシーニ、土星に新衛星発見
ニュース24 カッシーニ、土星に新衛星らしき天体発見
ニュース73 羊飼い衛星プロメテウス
ニュース95 新たに命名された土星の衛星
ニュース149 土星の新衛星計13個発見
日記2005年2月25日 キーラーの隙間に未知の衛星?
オリジナル画像No.13 土星の衛星プロメテウス
オリジナル画像No.16 キーラーの隙間を通る新衛星
オリジナル画像No.22 ウェイブメーカー
キーラーの隙間: 土星のリングはとっても細いリングが無数に集まってできているんだ。リングを作っているのは実は小さな氷などの粒で、それらが集まって遠くから見るとリングに見えるってわけ。リングにはいくつかの隙間があって、ほとんどリングを作る粒がない場所だょ。キーラーの隙間もその一つ。土星のリングの中で2番目に明るいAリングの外縁近くにある隙間だょ。Aリングの外縁から250km内側にあって、幅は35kmしかないんだ。キーラーは、土星のリングが細かい粒の集まりだってことを観測で証明した天文学者の名前だょ。
Aリング: 土星のリングは1610年にガリレオによって初めて観測されて、1655年にホイヘンスによってリングだってことが確かめられたんだ。その後、1675年にカッシーニ(天文学者)がリングの中に隙間があることを発見したんだ。このカッシーニの隙間より外側をAリング、内側をBリングって呼ぶことになったょ。実際にはAリング自体、たくさんの細いリングが集まってできてるんだ。
Fリング: 1979年にNASAの木星・土星探査機パイオニア11号によって発見された細いリングだょ。Aリングのすぐ外側にあるんだ。実際には少なくとも5本の細いリングが集まってできているょ。Fリングのすぐ内側にはプロメテウス、外側にはパンドラっていう衛星が回っていて、これらの衛星の重力によって束ねられているって考えられてるんだ。このように細いリングを束ねるはたらきをする衛星を羊飼い衛星っていうょ。
プロメテウス: プロメテウスは土星のFリングの近くを公転する小さな衛星だょ。1980年、ボイジャーの画像からS. Collinsらによって発見されたんだ。大きさは140×100×74kmでラグビーボールのようないびつな形の衛星だょ。表面は小天体の衝突によってできたクレーターで覆われているんだ。プロメテウスは土星のFリングの近くを、時には横切りながら回っているんだ。
反射率: 当たった光の強さに対する反射される光の強さの割合。つまり、どのくらい光を反射するかってこと。光を全部吸収しちゃう真っ黒なものの反射率は0だし、光を全部反射しちゃう真っ白なものの反射率は1になるんだ。
仮符号: まず、衛星らしい天体が発見されて認められると、仮符号っていう番号がつけられるんだ。例えば仮符号S/2004 S7を例にとると、S/は衛星(Satellite)、2004は発見された年、Sは土星(Saturn)、7はその年7番目に発見されたことを表しているんだ。つまりS/2004 S7は、2004年に新しく発見された土星の衛星のうち7番目に発見された天体を表してるってわけ。
その後、衛星であることが確かめられると、国際天文学連合(IAU)で話し合われて新しい名前が決まるんだ。その時に衛星には通し番号がつけられるょ。
エンケの隙間: Aリングの中にある隙間だょ。Aリングの外縁から3210km内側にあって、幅は325km。1837年、エンケが発見した隙間だょ。ほぼ中央を衛星パンが通ってるんだ。
パン: パンは土星のエンケの隙間を公転する小さな衛星だょ。1990年、ボイジャーの画像からM. Showalterらによって発見されたんだ。大きさは25km。
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予言されていた天体が実際に発見されたょ。米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニが、リングとリングの狭い隙間を通る小さな衛星を発見したんだ。キーラーの隙間って呼ばれているリングの隙間には前から衛星があるに違いないって言われてたんだ。
土星のリングはとっても細いリングが無数に集まってできているんだ。リングを作っているのは実は小さな氷などの粒で、それらが集まって遠くから見るとリングに見えるってわけ。リングにはいくつかの隙間があって、ほとんどリングを作る粒がない場所だょ。キーラーの隙間もその一つ。土星のリングの中で2番目に明るいAリングの外縁近くにある隙間だょ。Aリングの外縁から250km内側にあって、幅は35kmしかないんだ。
2004年7月、カッシーニは土星のリングを詳しく観測したんだ。その時キーラーの隙間の外側のリングから、スパイク状の突起が出ていることが発見されたょ。同じような突起は、Fリングでも発見されていて、それが土星の衛星プロメテウスの重力によって引っ張られてできたものだってことがわかっていたんだ。だからキーラーの隙間で発見された突起も小さな衛星の重力によって作り出されているんじゃないか、って考えられるようになったんだ。
すると2005年3月1日に撮影された画像の中に、本当に衛星が発見されたんだ(下の画像:NASA/JPL/Space Science Institute提供)!直径約7kmと小さな衛星だょ。反射率は0.5で、近くのリングを作っている粒と同じ物質で覆われてるみたい。土星の中心からの距離は136505kmで、軌道はまだわかってないけれど、ほとんど円に近い楕円だと考えられてるょ。とりあえず仮符号S/2005 S1と呼ばれることになったんだ。
この衛星がキーラーの隙間の外側に少し近づいたり、逆に内側に少し近づいたりを繰り返しているために、そのたびにリングの粒が乱されて写真のような波のような構造ができたらしいょ。エンケの隙間っていう別の隙間の中にも衛星パンが回っていて、近くのリングに似たような波状の構造が見られるょ。
この衛星S/2005 S1が周りのリングに与えている影響を調べることによって、衛星の重さを推定することもできるかもしれないょ。そうすれば、衛星がどんな物質でできてるのか、どのようにして衛星が誕生したのかも分かってくるはず。これからの分析に期待だね!
ところでカッシーニが発見した衛星は早くもこれで4つ目。まだ衛星かどうか分からないものまで含めれば7つ目なんだ。今回のS/2005 S1の軌道はまだよくわかってないから、他の6つの衛星・衛星候補のデータをここで紹介するね。S/2004 S3、S4、S6はFリングのすぐ近くで発見されて、本当に衛星なのかわからないから名前はまだ付いてないんだ。ちなみに1995年にもハッブル宇宙望遠鏡による観測でFリングのすぐそばに衛星候補が3つ発見されたょ(S/1995 S5、S6、S7)。下の表は6つの天体の軌道データ。その下の画像はカッシーニが撮影した6つの天体の写真だょ(NASA/JPL提供)。
名称 | 軌道長半径 | 離心率 | 軌道傾斜角 | 昇交点黄経 | 近土点黄経 |
km | ° | ° | ° | ||
S/2004 S4 | 140171±41 | 0 | 0.0 | ||
S/2004 S6 | 140760±12 | 0.0075±0.0015 | 0.02±0.01 | 25±5 | 240±20 |
S/2004 S3 | 141071±1 | 0.0040±0.0002 | 0.05±0.02 | 188±14 | 154±4 |
Methone | 194251±1 | 0.0010±0.0002 | 0.0018±0.007 | 351±29 | 348±18 |
Pallene | 212283±1 | 0.0040±0.0002 | 0.181±0.008 | 7±6 | 78±7 |
Polydeuces | 377390 | 0.0182 | 0.1705 | 302 | 143.19 |
Methone Pallene S/2004 S3 S/2004 S4 Polydeuces S/2004 S6
(S/2004 S1) (S/2004 S2) (S/2004 S5)
参考
ニュース1 土星探査機カッシーニ、土星に新衛星発見
ニュース24 カッシーニ、土星に新衛星らしき天体発見
ニュース73 羊飼い衛星プロメテウス
ニュース95 新たに命名された土星の衛星
ニュース149 土星の新衛星計13個発見
日記2005年2月25日 キーラーの隙間に未知の衛星?
オリジナル画像No.13 土星の衛星プロメテウス
オリジナル画像No.16 キーラーの隙間を通る新衛星
オリジナル画像No.22 ウェイブメーカー
キーラーの隙間: 土星のリングはとっても細いリングが無数に集まってできているんだ。リングを作っているのは実は小さな氷などの粒で、それらが集まって遠くから見るとリングに見えるってわけ。リングにはいくつかの隙間があって、ほとんどリングを作る粒がない場所だょ。キーラーの隙間もその一つ。土星のリングの中で2番目に明るいAリングの外縁近くにある隙間だょ。Aリングの外縁から250km内側にあって、幅は35kmしかないんだ。キーラーは、土星のリングが細かい粒の集まりだってことを観測で証明した天文学者の名前だょ。
Aリング: 土星のリングは1610年にガリレオによって初めて観測されて、1655年にホイヘンスによってリングだってことが確かめられたんだ。その後、1675年にカッシーニ(天文学者)がリングの中に隙間があることを発見したんだ。このカッシーニの隙間より外側をAリング、内側をBリングって呼ぶことになったょ。実際にはAリング自体、たくさんの細いリングが集まってできてるんだ。
Fリング: 1979年にNASAの木星・土星探査機パイオニア11号によって発見された細いリングだょ。Aリングのすぐ外側にあるんだ。実際には少なくとも5本の細いリングが集まってできているょ。Fリングのすぐ内側にはプロメテウス、外側にはパンドラっていう衛星が回っていて、これらの衛星の重力によって束ねられているって考えられてるんだ。このように細いリングを束ねるはたらきをする衛星を羊飼い衛星っていうょ。
プロメテウス: プロメテウスは土星のFリングの近くを公転する小さな衛星だょ。1980年、ボイジャーの画像からS. Collinsらによって発見されたんだ。大きさは140×100×74kmでラグビーボールのようないびつな形の衛星だょ。表面は小天体の衝突によってできたクレーターで覆われているんだ。プロメテウスは土星のFリングの近くを、時には横切りながら回っているんだ。
反射率: 当たった光の強さに対する反射される光の強さの割合。つまり、どのくらい光を反射するかってこと。光を全部吸収しちゃう真っ黒なものの反射率は0だし、光を全部反射しちゃう真っ白なものの反射率は1になるんだ。
仮符号: まず、衛星らしい天体が発見されて認められると、仮符号っていう番号がつけられるんだ。例えば仮符号S/2004 S7を例にとると、S/は衛星(Satellite)、2004は発見された年、Sは土星(Saturn)、7はその年7番目に発見されたことを表しているんだ。つまりS/2004 S7は、2004年に新しく発見された土星の衛星のうち7番目に発見された天体を表してるってわけ。
その後、衛星であることが確かめられると、国際天文学連合(IAU)で話し合われて新しい名前が決まるんだ。その時に衛星には通し番号がつけられるょ。
エンケの隙間: Aリングの中にある隙間だょ。Aリングの外縁から3210km内側にあって、幅は325km。1837年、エンケが発見した隙間だょ。ほぼ中央を衛星パンが通ってるんだ。
パン: パンは土星のエンケの隙間を公転する小さな衛星だょ。1990年、ボイジャーの画像からM. Showalterらによって発見されたんだ。大きさは25km。