ペコリーノのBL読書日記

BLスキーのペコリーノのBL読書日記。素人の感想&個人的な覚書です。100%自分向けのためネタバレ全開です。

「年上の恋人」岩本薫・著 イラスト・木下けい子 角川書店ルビー文庫

2008-12-02 22:22:13 | 岩本薫
「年上の恋人」岩本薫・著 イラスト・木下けい子 角川書店ルビー文庫
 2008年11月11日初版 290ページ 552円+税

 以前、ビブロスで発行された「太陽の恋人」の新装版です。

 ストーリーは・・・
 眩いばかりに若くて野性的な6歳年下の幼なじみ兼恋人の及川悦郎。しかし5年前、悦郎に告白され、熱情に流されるようにしてセックスをしたあの日から、鳴沢水城は悦郎に対し罪悪感を持っていた。実の弟のように愛しんできた悦郎の将来を考えるなら、あのとき大人の自分が彼を拒むべきだったのではないか…と。耐えきれず悦郎のために別れを切り出した水城だが!?「なぁ…言えよ。二度と離れないって。オレなしじゃ生きていけないって」一途な年下の男×大人の男が贈る情熱的なラブストーリー!

 久々にルビー文庫を呼んだのですが、なんか・・・読みづらい。
 どうしてだろうと思ったら、やたらとルビ(フリガナ)が多いんですよ。
 手元にあったガッシュ文庫やキャラ文庫の本と比べてみましたけど、ガッシュ文庫やキャラ文庫は、本文中にルビなんて殆どふってません。
 でも、この「年上の恋人」の本文の1ページ目だけでも
・囁き
・腰
・鳴沢水城(人名)
・好奇
・眼差し
・攻撃
・籍
・名刺
・立派
・肩書き
・開催
・控えた
・削り
・居心地
・煙草
・多忙
・犠牲者
・下旬
・薄暗い
・点ける
 これだけルビがふってあるのです。その後のページも似たり寄ったり。
 ガチャガチャしすぎて読みにくいことこの上ありません。
 若年層の能力低下が叫ばれて久しいですし、映画の字幕が読めない・・・ということで、字幕映画を敬遠する層が増えてきたとか、いろいろ聞きますけど、BLにも「ゆとり教育」修了者の波が押し寄せてきているんでしょうかね。

 それはさておき、肝心要のお話なのですが、水城はカメラマンの父親と、看護師の母親、シングルマザーで黒人の子供を産んだ姉の4人家族。
 家族を顧みずに死んだ父親を母は恨んでおり、勝手に黒人とデキて、黒人とのハーフの子供を産んだ姉と母の関係は悪い。家族関係がギクシャクしている中で、水木は幼馴染の悦郎とつきあっており、姉が期待を背いた分、水城に期待を一心に向ける母に、自分がゲイであると告白できないでいる。
 いまや「人類総ホモ」的な世界観があたりまえの岩本先生ですが、かつてはゲイであることが少数派な話を書いていたんだなぁと感慨深く思いました(しかし、その後の話で出てきた男が実は水城とかつて関係があって・・・と、『人類総ホモ』チックな話になるんですけど)。
 
 この本には「風とライオン、きみとぼく」「年上の恋人」「太陽の恋人」「風とライオン、ぼくときみ」の4編が収録されています。
 最初の「風とライオン、きみとぼく」の時は、まだ大学在学中だった悦郎ですが、「風とライオン、ぼくときみ」では、悦郎31歳、水城37歳になっています。
 (水城が)中年になってもまだラブラブな二人。そんな二人の、文字通り十年愛がこの一冊につまっています。

 最初の「風とライオン」は、水城がゲイとしての自分のアイデンティティと向き合う話。ちょっと気になったのが、水城の母親の描写です。水城27歳、姉の風子が30歳という設定なので、母親は50代半ばくらいだと思うのですが、まるで老女のような言葉遣いなのです。
 それはさておき(今回二回目ですよね、このフレーズ)、今回の話を読んで一番、感じたのは、最近の岩本作品もそうなんですけど、BL全体として「ゲイである自分に悩む」ということがなくなっているように思います。
 多分、BLや、エロ目的のゲイノベル以外では、このことってけっこう重要だと思うんですが、これが描かれなくなったのは、すでにホモが一般社会で受け入れられ、ホモであることが特別視されなくなったのか、それとも、BL小説がある意味、お手軽(悩みなんか辛気臭いこと書いてられっか。男同士でやることやってればいいのよ)になってしまったのか、それとも別の理由なのか、何なんでしょうね。
 とりとめがないですが、終わります。


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1 コメント

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Unknown (ペコリーノ)
2009-05-12 01:48:35
 読み終わってすぐ(発売日から2週間以内)持ち込んだが、だらけ、K-書店ともに買い取り拒否だった。
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