「花廓~凶刃の閨」本庄咲貴・著 イラスト・国沢智 竹書房ラヴァーズ文庫
2009年5月2日初版 232ページ 590円+税
「水揚げ」の意味が違ってやしませんか?
ストーリーは・・・自動車販売会社に勤める桜木岳斗は、凋落する実家の極道・雨水会を存続させるため、経済ヤクザの石黒と取引をする。だが―、「お荷物を引き受けるんだ。相応の対価は払ってもらおう」岳斗が石黒に連れて行かれたのは、都心の片隅に、身を隠すように佇む日本家屋。提示された条件とは、男娼専門の現代遊郭・蘭華楼で体を売ることだった。緋襦袢に身を包み、赤い格子に入れられ―石黒に「初物」として捧げられた岳斗は、次々に客を取らねばならない運命なのだが… というもの。
BL本を読まない友人が、ある日、私の読んでいたBL本を取って、値段を見ていいました。「この本、高いね」と。
この本は税込みで620円なのですが、東京でこの値段を出せば、安めの定食屋さんでぎりぎり1食、食べることができるでしょうか。
この本に一食分の価値を見出すことは私にはできませんでした。
主人公の桜木はヤクザの息子なのですが、別の道を歩んでいました。が、自分の親が盛り立てていた組の存続が危うくなったので、有力ヤクザである石黒に自分の組を引き取ってもらえないかと持ち出します。家宝の刀まで差し出して。
石黒はOKしますが、条件をつきつけます。それは、桜木の弟・真冬を男相手の遊郭で働かせること。
理由は、雨水会(桜木の組)の連中はお荷物だから、真冬に働いてもうというもの。持参金をつけろってことなのでしょうか?だからといって、回収に何年もかかるような方法を取らなくてもいいんじゃないかと思いますが。
ともかく、石黒からとんでもない条件をつけられた桜木は、愛する弟をそんなところで働かせることはできないと拒否。いくら弟がゲイで奔放で、本人はノリノリで遊郭で働くことに同意していても、兄としては許せない!と、桜木はお兄ちゃんぶるのです。
俺が金を用意する!ではなく、なぜか弟のかわりに遊郭で働くと申し出ます。
そんなわけで桜木は遊郭で働きはじめるのですが、25歳という男娼にしてはトウが立っていることと、元リーマンという面白みもない経歴で買い手がつきません。
しょうがないので石黒がお情けで買ってやる・・・という話になり、石黒に抱かれる桜木。
その後も買い手がつかず、石黒だけに抱かれるのですが、ある日、弟がやってきて自分も遊郭で働きたいと言いだします。弟は石黒に惚れており、石黒に抱かれたいと言うのです。
そんな理由で遊郭で働きたいという弟に憤りを感じる桜木。弟のために処女喪失したというのに、報われません。
結局、弟と和解しないまま話が終わります。
桜木の自己犠牲は完全に無駄でした。報われないにもほどがあります。
一応、石黒とは相思相愛になりハッピーエンドだったのですが、それまでの桜木の行動(手を切っていた父親の組の組員のための取引、弟の身代わりで遊郭で働き身体を売るETC)がすべて無駄だったので、何かすっきりしません。というか、これらの設定は、桜木を遊郭で働かせて、石黒とくっつけるというストーリー上の都合でしかなかったわけです。
最後の最後でいきなり石黒が桜木を「俺のオンナ」呼ばわりしはじめ、桜木を遊郭から出して自分で囲うことを宣言。
「明日お前を水揚げするぞ」(P225)と、石黒が言うのですが、ちょっと待ってください。水揚げってウィキペディアによると「水揚げとは江戸時代から売春防止法施行以前の時代、芸妓遊女が初めて客と寝所にて接することであった。そのとき処女を喪失することになっていた。」ということなのですが。
私も、遊女の「貫通式」だと思ってたので、なんで散々やりまくっていまさら「水揚げ」なのかと不思議に思いました。
遊郭から貰い受けることは「身請け」とか「落籍」って言うんじゃなかったですっけ?遊郭モノに疎い私でもこの程度は知っていますが・・・・・・。
流行に乗って「遊郭」モノを。ついでに流行のヤクザを入れてとかその程度で書いた話のように思いました。
2009年5月2日初版 232ページ 590円+税
「水揚げ」の意味が違ってやしませんか?
ストーリーは・・・自動車販売会社に勤める桜木岳斗は、凋落する実家の極道・雨水会を存続させるため、経済ヤクザの石黒と取引をする。だが―、「お荷物を引き受けるんだ。相応の対価は払ってもらおう」岳斗が石黒に連れて行かれたのは、都心の片隅に、身を隠すように佇む日本家屋。提示された条件とは、男娼専門の現代遊郭・蘭華楼で体を売ることだった。緋襦袢に身を包み、赤い格子に入れられ―石黒に「初物」として捧げられた岳斗は、次々に客を取らねばならない運命なのだが… というもの。
BL本を読まない友人が、ある日、私の読んでいたBL本を取って、値段を見ていいました。「この本、高いね」と。
この本は税込みで620円なのですが、東京でこの値段を出せば、安めの定食屋さんでぎりぎり1食、食べることができるでしょうか。
この本に一食分の価値を見出すことは私にはできませんでした。
主人公の桜木はヤクザの息子なのですが、別の道を歩んでいました。が、自分の親が盛り立てていた組の存続が危うくなったので、有力ヤクザである石黒に自分の組を引き取ってもらえないかと持ち出します。家宝の刀まで差し出して。
石黒はOKしますが、条件をつきつけます。それは、桜木の弟・真冬を男相手の遊郭で働かせること。
理由は、雨水会(桜木の組)の連中はお荷物だから、真冬に働いてもうというもの。持参金をつけろってことなのでしょうか?だからといって、回収に何年もかかるような方法を取らなくてもいいんじゃないかと思いますが。
ともかく、石黒からとんでもない条件をつけられた桜木は、愛する弟をそんなところで働かせることはできないと拒否。いくら弟がゲイで奔放で、本人はノリノリで遊郭で働くことに同意していても、兄としては許せない!と、桜木はお兄ちゃんぶるのです。
俺が金を用意する!ではなく、なぜか弟のかわりに遊郭で働くと申し出ます。
そんなわけで桜木は遊郭で働きはじめるのですが、25歳という男娼にしてはトウが立っていることと、元リーマンという面白みもない経歴で買い手がつきません。
しょうがないので石黒がお情けで買ってやる・・・という話になり、石黒に抱かれる桜木。
その後も買い手がつかず、石黒だけに抱かれるのですが、ある日、弟がやってきて自分も遊郭で働きたいと言いだします。弟は石黒に惚れており、石黒に抱かれたいと言うのです。
そんな理由で遊郭で働きたいという弟に憤りを感じる桜木。弟のために処女喪失したというのに、報われません。
結局、弟と和解しないまま話が終わります。
桜木の自己犠牲は完全に無駄でした。報われないにもほどがあります。
一応、石黒とは相思相愛になりハッピーエンドだったのですが、それまでの桜木の行動(手を切っていた父親の組の組員のための取引、弟の身代わりで遊郭で働き身体を売るETC)がすべて無駄だったので、何かすっきりしません。というか、これらの設定は、桜木を遊郭で働かせて、石黒とくっつけるというストーリー上の都合でしかなかったわけです。
最後の最後でいきなり石黒が桜木を「俺のオンナ」呼ばわりしはじめ、桜木を遊郭から出して自分で囲うことを宣言。
「明日お前を水揚げするぞ」(P225)と、石黒が言うのですが、ちょっと待ってください。水揚げってウィキペディアによると「水揚げとは江戸時代から売春防止法施行以前の時代、芸妓遊女が初めて客と寝所にて接することであった。そのとき処女を喪失することになっていた。」ということなのですが。
私も、遊女の「貫通式」だと思ってたので、なんで散々やりまくっていまさら「水揚げ」なのかと不思議に思いました。
遊郭から貰い受けることは「身請け」とか「落籍」って言うんじゃなかったですっけ?遊郭モノに疎い私でもこの程度は知っていますが・・・・・・。
流行に乗って「遊郭」モノを。ついでに流行のヤクザを入れてとかその程度で書いた話のように思いました。