【2010年1月31日(日)】
◆読んだ新聞
日本経済新聞 1月22日(金) 朝刊 27面
◆記事の見出し
《知りたい価格》《メーカー品安く PBにほぼ並ぶ》《カレー・茶飲料やティッシュ 消費者買い分け》
《販促費増加、値引き原資に》《劣勢のメーカー、挽回に動く》
◆記事の内容
★メーカーのNB(ナショナルブランド)商品が値下がりし、PB(プライベートブランド)商品との価格が接近または逆転している商品が出てきた。1月19日のイトーヨーカドー木場店(東京・江東区)ではPB「セブンプレミアム」の緑茶と「生茶」、「爽健美茶」の2㍑入りがいずれも148円。同日のジャスコイオン南砂町スナモ店(東京・江東区)では大半の商品でPBの方が1~3割安いが、一部のNBはPBと同等まで値下がりする例が見受けられる。PB「トップバリュ」の納豆(40㌘×3)と特売の「あらっ便利!金のつぶほね元気」(45㌘×3)がともに78円。
★NBは特売などで価格が変動することが多いが、月間平均価格の推移を日経POSデータで見ると、NBとPBの価格差が縮小している商品が多い。逆転している例もある。箱入りティッシュ(200組×5箱)の月間平均価格は2008年12月はNBがPBより15円高かったが、2009年4月以降はNBがPBを下回っている。サラダ油でもNBがPBを下回る現象が起きている。
★NBとPBの価格が接近したり逆転する理由は、メーカー、小売双方にある。PBの急速な普及で劣勢に立たされるNBが増え、また2007年以降の原材料価格の高騰による値上げがPBとの価格差を大きくしたことから、現在はメーカー側が値引きの原資になる販促費などを増やすことで挽回を図っている。小売側も店舗間競争が激しくなる中で、より低価格政策を強化する必要に迫られ、PBの拡充だけでは不十分で、有力なNBの値下げが必要になっている。
●今日の気づき
★NBとPBの価格差の縮小は、小売業の経営姿勢、商品開発コンセプト、商品政策そのものが問われる時代に差しかかったことを示しているように思われる。いわば、PBの「第2ステージ」というものだろうか。小売業は「何」を販売するのか、販売する「商品」に小売業の経営哲学が反映していると言える。低価格で販売できる、利益が確保できる、ということに重きを置くPBだと、PB開発は「会社のため」という色合いが強くなる。しかし、同時に「顧客のため」という視点が必要である。価格はもちろん顧客のために大事だが、品質も価格以上に大事である。“価格に相当した品質”では顧客は満足しない。顧客に満足を与える品質のPBが多くなってきた。その品質路線がさらに強まることを期待したい。理想論かもしれないが、「顧客のため」を大事にすることで、「利は後からついてくる」的な経営哲学がPBに打ち込まれなければ、PBの寿命は長続きしないだろう。果たして、NBとの価格差がなくなればPB開発は下火になり、価格差の有利性が期待できるようになれば、また再燃するのであろうか。PB戦略とは、そういうものなのだろうか。今後が注目である。
★仕入商品であるNBは商品の品質責任はメーカーにある。小売側は仕入れた責任はあっても、商品本来の品質までは責任を負うことはない。しかし、PBは製造者としての責任が小売側に生じる。メーカーと同じように品質、商品コンセプトまで問われるのである。仕入商品は価格、品質、顧客支持率など様々な要素を加味して、品揃えの考え方に沿って、仕入れる商品を変えることはできる。しかし、自社開発・製造商品はそうはいかない。メーカーと小売業は「製造業者」として商品で競わなければならない。この時代、価格は消費者の支持を得る、非常に大きな要件だが、それがすべてではない。
★価格差がなくなったことで、価格以外の要素で競わなければならない。価格も含めて、小売業が自らの経営哲学に基づいて、「売りたい商品」を顧客の前に並べ、顧客の評価を得る絶好のチャンスが訪れたと言える。PB開発のきっかけがどうであれ、PB路線に歩み出したからには、メーカーの顔で勝負しなければならない。やがては、メーカーとしてのマーケティング戦略も必要になる。必然的に、自社向けの「プライベートブランド」に徹するのか、「ナショナルブランド」の世界に足を踏み入れるのか、選択肢も分かれてくる。
★メーカーと小売の垣根が低くなり、NBとPBの垣根が低くなり、商品の供給者と需要者の垣根も低くなってきた。消費者の要望で商品が開発される時代である。衣料品の世界では製造と販売を一体化させたファストファッションが脚光を浴びている。成熟社会の到来は、かつて経験したことのないような、様々な変化が出てくる。変化に飲み込まれ、埋没しない、確固たる「芯」が改めて求められているのではないだろうか。PBの「第2ステージ」を思う時、そういう時代の兆しを強く感じる。
(東)
◆読んだ新聞
日本経済新聞 1月22日(金) 朝刊 27面
◆記事の見出し
《知りたい価格》《メーカー品安く PBにほぼ並ぶ》《カレー・茶飲料やティッシュ 消費者買い分け》
《販促費増加、値引き原資に》《劣勢のメーカー、挽回に動く》
◆記事の内容
★メーカーのNB(ナショナルブランド)商品が値下がりし、PB(プライベートブランド)商品との価格が接近または逆転している商品が出てきた。1月19日のイトーヨーカドー木場店(東京・江東区)ではPB「セブンプレミアム」の緑茶と「生茶」、「爽健美茶」の2㍑入りがいずれも148円。同日のジャスコイオン南砂町スナモ店(東京・江東区)では大半の商品でPBの方が1~3割安いが、一部のNBはPBと同等まで値下がりする例が見受けられる。PB「トップバリュ」の納豆(40㌘×3)と特売の「あらっ便利!金のつぶほね元気」(45㌘×3)がともに78円。
★NBは特売などで価格が変動することが多いが、月間平均価格の推移を日経POSデータで見ると、NBとPBの価格差が縮小している商品が多い。逆転している例もある。箱入りティッシュ(200組×5箱)の月間平均価格は2008年12月はNBがPBより15円高かったが、2009年4月以降はNBがPBを下回っている。サラダ油でもNBがPBを下回る現象が起きている。
★NBとPBの価格が接近したり逆転する理由は、メーカー、小売双方にある。PBの急速な普及で劣勢に立たされるNBが増え、また2007年以降の原材料価格の高騰による値上げがPBとの価格差を大きくしたことから、現在はメーカー側が値引きの原資になる販促費などを増やすことで挽回を図っている。小売側も店舗間競争が激しくなる中で、より低価格政策を強化する必要に迫られ、PBの拡充だけでは不十分で、有力なNBの値下げが必要になっている。
●今日の気づき
★NBとPBの価格差の縮小は、小売業の経営姿勢、商品開発コンセプト、商品政策そのものが問われる時代に差しかかったことを示しているように思われる。いわば、PBの「第2ステージ」というものだろうか。小売業は「何」を販売するのか、販売する「商品」に小売業の経営哲学が反映していると言える。低価格で販売できる、利益が確保できる、ということに重きを置くPBだと、PB開発は「会社のため」という色合いが強くなる。しかし、同時に「顧客のため」という視点が必要である。価格はもちろん顧客のために大事だが、品質も価格以上に大事である。“価格に相当した品質”では顧客は満足しない。顧客に満足を与える品質のPBが多くなってきた。その品質路線がさらに強まることを期待したい。理想論かもしれないが、「顧客のため」を大事にすることで、「利は後からついてくる」的な経営哲学がPBに打ち込まれなければ、PBの寿命は長続きしないだろう。果たして、NBとの価格差がなくなればPB開発は下火になり、価格差の有利性が期待できるようになれば、また再燃するのであろうか。PB戦略とは、そういうものなのだろうか。今後が注目である。
★仕入商品であるNBは商品の品質責任はメーカーにある。小売側は仕入れた責任はあっても、商品本来の品質までは責任を負うことはない。しかし、PBは製造者としての責任が小売側に生じる。メーカーと同じように品質、商品コンセプトまで問われるのである。仕入商品は価格、品質、顧客支持率など様々な要素を加味して、品揃えの考え方に沿って、仕入れる商品を変えることはできる。しかし、自社開発・製造商品はそうはいかない。メーカーと小売業は「製造業者」として商品で競わなければならない。この時代、価格は消費者の支持を得る、非常に大きな要件だが、それがすべてではない。
★価格差がなくなったことで、価格以外の要素で競わなければならない。価格も含めて、小売業が自らの経営哲学に基づいて、「売りたい商品」を顧客の前に並べ、顧客の評価を得る絶好のチャンスが訪れたと言える。PB開発のきっかけがどうであれ、PB路線に歩み出したからには、メーカーの顔で勝負しなければならない。やがては、メーカーとしてのマーケティング戦略も必要になる。必然的に、自社向けの「プライベートブランド」に徹するのか、「ナショナルブランド」の世界に足を踏み入れるのか、選択肢も分かれてくる。
★メーカーと小売の垣根が低くなり、NBとPBの垣根が低くなり、商品の供給者と需要者の垣根も低くなってきた。消費者の要望で商品が開発される時代である。衣料品の世界では製造と販売を一体化させたファストファッションが脚光を浴びている。成熟社会の到来は、かつて経験したことのないような、様々な変化が出てくる。変化に飲み込まれ、埋没しない、確固たる「芯」が改めて求められているのではないだろうか。PBの「第2ステージ」を思う時、そういう時代の兆しを強く感じる。
(東)
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