『立春』も『雨水』もとうに過ぎてしまいましたが…ようやくおひなさまを出しました。

今年は、立ち雛です。
暮れに片付けものをしていたときに、ひな飾りの入っている3つもの巨箱を横目に見ながら、「来春こそは七段飾りを出そう!」なんて思ってはいたんです。
いたんですけどね…重く大きなひな壇を組み立てるのがどうにも億劫で、ずるずると先延ばしにした挙句、「もう日にちもないことだし」と、すぐに出せる立ち雛のほうにお出まし願うことにしての、このしつらえです(横着)

立ち雛は、私の初節句に、母方の祖父母から贈られたもの。
なので、私の年齢と同じだけ、このおひなさまも、昭和・平成・令和と時を重ねているわけです。
そう考えると…おたがいに、すっかりよい年齢になりましたねぇ。

脇には、にぎやかしの小物をいろいろと。
小さなおひなさまは、京陶人形。
京都の大学に通っていたときに、ふらっと入った四条のお店でひとめぼれして買ったもので、ずっと大切にしています。
ヒヤシンスの芽出し球根を植えた蛸唐草模様のうつわは、父方の曾祖母のもの。
キセル(煙管)を吸う人で、煙草盆の中に入れたこの『火入れ』で、きざみ煙草に火をつけていました。
(うつわの中を細かな灰で満たし、その上に置いた小さな炭で火をつける)
離れた地に住んでいたし、私が物心ついたときには既にとても高齢だったので、話をした覚えもあまりありませんが、『ひいばあちゃん』に頼まれてたびたびおつかいできざみ煙草を買いに行ったことと、それを煙管に詰めて吸う姿だけは、強く記憶に残っています。
先日、母が「こんなものがあったんだけど」と、わが家へ持って来てくれたので、懐かしくなって、おひなさまと一緒に飾ることにしました。
母方の祖父母と、父方の曾祖母。
大好きだったひとたちの思い出の品に囲まれて、今年の桃の節句はおだやかににぎやかです*