こんばんは。今日はBOX内部のネットワークやダクト等の処理について、ちょっと書いてみたいと思います。
ネットワークなどをBOXにどのように取り付けるかということは、結構ご質問を受けるのですが、経験的に言えば一番いいのはNW全体を箱の外に出してしまうことです。普通、ネットワークの粗調整段階では素子の変更などを簡単にするために、BOXの外にユニットからのケーブルを出して行うのですが、だいたい調整が済んでNWをBOX内に入れると、ほとんどの場合音が悪くなります。経験では1~2割ダウンといった感じでしょうか。まぁもちろん、この差が分かるためには、ユニットの完成度やNWの調整もあるレベル以上でないと分からないこともあったりしますが。
ソニー時代に開発したあるハイエンドモデルでは、完全に独立したネットワークBOXを設置するタイプを検討しましたが、これの効果は予想以上に高いものでした。驚いたのは、そのネットワークBOXの蓋を閉めるかそのまま開けておくかでも音が変わったことで、実は蓋を締めると何故か音が窮屈な感じになったのですが、製品として蓋無しで中身がむき出しというのも無理なので、最終的にはネットワークBOXの中にも吸音材を少し入れることにしました。ただ残念ながら、このモデルはやりたいことをやり過ぎて、企画していた予定価格の倍近くになってしまい、残念ながら企画見直しとなってしまいました。(^^;
ではBOX内にNWを設置する場合、どのような方法がベストかという事ですが、これはメーカーによってもいろいろと考え方があるようです。私の場合はと言えば、今までの経験の中で一番印象の良かったものは、NWをしっかりとしたボードに固定し、そのボードをBOXに吸音材やブチルゴムなどでフローティング処理をして固定するという方法です。直接NWをBOXにしっかりと固定するという方法が一般的かと思いますが、この場合NWがBOXの振動を受けるため、フローティングすることによってその影響を軽減するということが目的です。またNWへのBOX内部の音圧がNW素子へ直接影響することを避けるため、NWを吸音材で覆うというような手法をやったこともありました。これも効果はありますね。ただこれはハイパワーのモデルなどではコイルが結構熱を持ったりするので、その点を考慮する必要はあります。こういうややこしい方法はちょっとという方は、NWボードの下にブチルゴムか吸音材をひいて、それと一緒にNWをネジ止めする方法でも、直接止めるよりはよろしいかと思います。
それとBOX内部の処理でもう1点あるのが、ダクトの処理です。スリットバスレフは別として、一般的なバスレフではダクトは俗に言う片持ち梁(一方だけが固定されて、片方がフリーになっているもの)になっているため、構造的に弱く、長いダクトの場合結構ダクト自体が振動することになります。特に市販の成形品のダクトを使用している場合は、板厚がかなり薄く、強度が弱いので、結構これが問題となります。PARCの純正キットがあえて市販の肉厚塩ビ管を使っているのは、このダクト強度をかせぐためなのです。ダクトの振動対策としては、ダクト外周部にブチルなどを巻くのが効果的で、私はよくこの手法を使います。ブチルがなければ、市販の布製のガムテープなんかでも何回か巻けば効果は得られます。何か低域がいまいちしっくりこないという場合は、是非一度お試しください。ダクト補強の上級編としては、片持ち梁構造の抜本的な対策として、ダクトの先端部とBOXの隙間に木材などを入れて完全に固定してしまうという手法です。これもかなりの効果が期待できますので、長めのダクトをお使いの方は是非お試しを。
ダクトの処理では、風切り音(ポートノイズ)対策としてダクト内部に薄いフェルトを貼り付けるという手法もあります。これはホームセンターなどで市販されているできるだけ薄いフェルトを使っていただけるとよろしいかと思います。あまり厚いものを使うと、ダクト内径が小さくなって、ポートチューニングが変わりますので、ご注意ください。ダクト内径が小さいものについてはポートの流速が早くなるので、この手法は結構有効となります。
次回はプロジェクトFについて少しお話しましょうかねぇ。では今日はこの辺で。