同僚に、アンガスという体の大きいおばさんがいる
俺の3つ上なので…年齢はあと2~3年で還暦であるが。
…
アンガスが話す話で
なんか笑ってしまうのがあって
たまに聞きたくなってリクエストをして話してもらうことがある
アンガスの中学時代の友達に『ヨネちゃん』と言う女性がいるのだそうだ
今でも付き合いがあるようなので仲良しなのかと思うと
何だかそうでもないみたい。
…
このヨネちゃんは、ちょっと知的な障害があるようなのだけど
両親も他界してしまって一人で暮らしているのだそうだ。
『ヨネちゃんってちょっと変わっててさぁ…』って言って
最初に話してくれたのは温泉饅頭の話だった。
ヨネちゃんが旅行に行ってきてお土産を買って来てくれたらしく
アンガスに連絡があったんだって。
『温泉に行って、お饅頭買ってきたから渡したいんだけど。』
甘いものに目がないアンガスは喜んでヨネちゃんのお宅へ行ったそうだ
すると、ヨネちゃんはアンガスに
箱から出した温泉饅頭を1個だけ渡して
『はい。どうぞ。』
…
『普通さぁ、あんな小さいお饅頭だったら箱で渡すと思うじゃない?箱から出して、1個だけだよ??』
アンガスは熱く語るのである。
アンガスの誕生日にプレゼントがしたいというので
一緒にお出かけをしたのだそうだ。
市内のインテリア雑貨のお店やさんに一緒に行って
『何か気に入ったのがあったらどうぞ』ってヨネちゃん。
で、色々と見てたんだけど
可愛いカップのセットがあったんだって。
カップと皿のセットになって4組になってるやつ。
『これ、可愛いから…これでもいい?』
って聞くと
『いいよぉ~ちょっと待っててね。』って言って
待っていたら、カップと皿が1枚ずつ入ってる袋を渡されたそうだ。
『いや、普通さぁ、ああいうのってセットで買うよね??』
アンガスは思い出して熱く語っていた。
ヨネちゃんには申し訳ないけど、残りの3組は自分で買ったと言っていた。
またある日。
ヨネちゃんからお茶の誘いがあったんだって。
『ウチで一緒にお茶飲まない?』って。
…
で、遊びに行ったんだけど
一人暮らしのヨネちゃんは、お庭の手入れも何もしてなくて
アジサイとかツツジなんかの植え込みの木が伸び放題
それにはツルを巻く雑草が絡まりまくってオバケみたいになってたんだって。
あたりも雑草だらけ。
『ちょっと、こんなにしてたらダメじゃない。手伝ってあげるから草を取って少しスッキリさせましょう。』
と、アンガスが言ったんだって。
アンガスは家に戻って草刈り機を持ってきて
『私はこっちをやってるから、そっちをお願いね~』
『はぁい』
…二人でお茶会だったのが、草刈りになったんだって。
その日は暑い日で、アンガスも汗だくになって草を刈ってたんだけど
機械を止めて一息ついて辺りを見回すとヨネちゃんが見当たらない。
そっちやってねって言った所も草がそのまま。
すると家の中に人影。
ヨネちゃんが涼し気にリビングの窓からアンガスに声をかけたそうだ。
『あらあら、お手伝いさん。暑いのにご苦労様。』
『いや、お前の家だろが!!お前がやれよ!!!』
思わず言いそうになったと、かなり熱く語っていた。
このお手伝いさんの話、俺は大好きである。
東北地方では『芋の子会』と言って
里芋の入った鍋をみんなで食べる…みたいな風習がある。
『芋の子汁を作るから、芋の子会をしましょう』
ってヨネちゃんに誘われたのだそうだ。
で、中学時代の友達で
未婚だったりバツイチだったりする女友達3人に声を掛けて
ヨネちゃんのお宅へ行く事に。
…
ヨネちゃんの事だから、芋の子会って言っても
芋の子汁しか用意してないんじゃない?飲み物とか他の食べ物とかも多めに買った方が良くない?
ってなったんだけど、まさかそこまでじゃないんじゃない?
芋の子会って『会』って言ってるぐらいなんだからさ。
でも、一応。万が一に備えて…
飲み物と、納豆巻、お宅にお邪魔するんでお菓子と、会の最後に食べるデザートを買って行ったそうだ。
嫌な予感は的中。
『芋の子汁は一人1杯だけで、納豆巻と一緒に食べたわよ!!』
食い物の事になるとアンガスは熱くなるのでヨネちゃん次回は気を付けてください。
ヨネちゃんと書いたけど、一応これは仮名である。
…
それにしても、こういう困った友達がいても
卒業して何十年経っても仲良く付き合ってるのだから
スゴイなぁ…って思ってしまう。
『ヨネちゃんの友達は優しい人がいっぱいいて、いいですね。ほっこりします。』
『もうね、しょうがねぇなぁ!!って感じよ!!』
いつかチラッとどんな人なのか
ヨネちゃんを見てみたいなぁと
ちょっぴり俺は思っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます