<操縦桿の保持、不十分…全日空系機の背面飛行>
2012年8月31日(金)14:34
(読売新聞)
全日空系のエアーニッポン機が2011年9月、浜松市沖の太平洋上でほぼ背面飛行の状態になり、急降下したトラブルで、運輸安全委員会は31日、副操縦士(39)が十分な力で 操縦桿 ( そうじゅうかん ) を操作しなかったため、機体の傾きを制御できなかったとする経過報告書をまとめた。
同委では今後、社内のパイロットの訓練体制が適切だったかなどについても調査を進める。
トラブルがあったのは、那覇発羽田行き140便(ボーイング737―700型機、乗員乗客117人)。報告書などによると、トイレから戻ってきた機長(65)を操縦室に入れようと、副操縦士がスイッチでドアを解錠する際、誤って、機首の向きを制御する別のスイッチを操作。機体は急激に左側に傾き始めた。
副操縦士は約17秒後、機体が左に約50度傾いた時点で異変に気付き、操縦桿を大きく右に操作。この操作で機体は左に約80度まで傾いた後、水平状態への回復が始まった。しかし、操縦桿を保持する力を緩めたため、いったん約50度傾いた状態まで回復した機体は再び大きく左に傾き始め、最大約131・7度とほぼ背面飛行の状態に陥った。
当時の操作について、同委員会は「操縦桿を十分な力で切り続けていれば、背面飛行の状態にはならなかった」としており、社内の操縦訓練が適切だったかなどについても調査を進める。