ある大手自動車会社の社員が、アルバイト先での狂言強盗の容疑で逮捕されました。
この大手企業というのは、2000年に発生したリコール問題で大きく業績不振に陥った三菱自動車工業であり、逮捕された社員は減産に伴う大幅な給与カットを補うため操業の時間外に働いていたようですが、このダブルワークは全ての社員に許可されていたわけではなく、逮捕された社員には許可されていませんでした。
ここで問題点がいくつか見えてきます。
1) ダブルワークの是非について
大半の企業は、就業規則で正社員の副業を禁止しています。
理由は簡単で、一般的に副業を可にしてしまうと本業がおろそかになってしまうことや、企業の知的財産を守るために禁止している場合もあります。
企業経営側にとっては、副業を許可した場合の社員の士気の低下や、統率が行き届かなくなる、または情報漏洩などのリスクを常に意識しているはずです。
2) 副業を許可しないといけない事情
統計データによると2009年の三菱自動車の新車 販売台数 は前年度比較で -56.7%!
自動車業界全体が落ち込んでいる中でも三菱自動車の販売不振は群を抜いています。
唯一販売台数を押し上げていた軽自動車の販売も落ち込みが目立ちます。
これは、2000年に発覚したリコール隠し問題による悪影響を、
現在でも受けている可能性を無視することは出来ないでしょう。
3) 決まり事を守れない
副業を許可されていないにも関わらず、副業をしていた事実により、社員の倫理意識の低下と、企業経営側の管理能力の低下が懸念されます。
また、社員のみならず、こうした環境下で製造される製品(自動車)の品質やサービスの低下も懸念されます。
こうした数字には現れにくい現状を、投資家はどう見ているんでしょう。
------ ロイター 発表の販売実績 ------
2009年5月 2008年5月 増減率
4,352 10,430 -56.7%
2009年1―5月 2008年1―5月 増減率
22,105 46,389 -51.6%
*増減率は1日当たりの販売台数に基づく。
販売日数は2009年5月が26日、08年5月は27日。
09年1─5月は127日、08年1─5月は129日。
大企業だから 「つぶれない」 「安定している」時代はとうの昔に終焉しました。
そして未曾有の不況下でも「輝いている企業」は存在し、明確なビジョンが感じられます。
この違いは興味深いですね。