TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 112

2017年05月08日 | エッセイ
 閉鎖されて久しい香港の啓徳空港のことを思い出した。今でこそ多くの航空会社が着陸の実況中継を行っているが、当時は全日空(ANA)だけだったように記憶している。操縦席から見た着陸の模様を実況で客席のモニターに映し出しているのだ。観て驚いた。これほど危険な着陸だったとは夢にも思っていなかった。凄い迫力だった。上から見ると小型自動車でも通れないように見える滑走路に我々が乗っている飛行機が降りようとしているのだ。片側が山を削ったような崖で、その反対側は海である。滑走路の長さはそれほど長くない。台湾の航空機が尻餅をついて海に落ちかかった事件まであった。実況中継を観て如何に危険な空港であるかを認識した。香港を拠点にしていない航空会社のパイロットにとってはサーカスに入団したような気分になるに違いない。
 着陸するまで、息を飲むようにしていた乗客たちが、無事に着陸したことを知ると客席から一斉に拍手が起こった。私も拍手した。二回目の実況からはそれほどの感激は受けなかった。ただパイロットの腕を信じて着陸をじっと待つだけであった。

 此の啓徳空港は1998年の7月に閉じられたが、それまでは進入経路になるビル群の騒音は凄まじかった。四角いビルの角を削って誘導灯を設置してあるのだ。着陸態勢に入った飛行機はビルすれすれに降りてくる。騒音なんて生易しいものじゃない。地下鉄が一度に何台も押し寄せてくるよりひどかった。そんな中、香港のおカミさん連中がおしゃべりを中断しなかった事に驚いた。

 今は取壊されてしまったが、啓徳空港の象徴とも云うべき九龍城があった。その近くに四川料理の旨い店もあった。香港では広東料理と相場が決っているが、辛みを効かせた四川料理店があった。この店の特徴は豆乳が旨いこと、出されるお茶が旨い。値は安いが、その味は高級品のそれであった。私は乳製品は好きだが、牛乳は飲めない。従って豆乳も飲んだことがなかった。この店で、連れに勧められ、恐る恐る一口飲んでみた。私の先入観は一瞬に消えた。お茶も驚きの味であった。これなら料理も期待が持てると周囲を見廻した。どの客もおしゃべりを止して料理に夢中になっていた。この店が移転するまで、私は何度も何度も通った。

 以下の写真は4月の中頃に写真仲間と行った所沢の多聞院のものである。此処は典型的な「神仏混淆」の寺であった。正面に神社があり、その右手に毘沙門堂があり、渡廊下の先には法事を行う施設がある。庭にはクマガイソウをはじめ、ユキモチソウ、エンレイソウ等々、私にとっては初めて見る草花が多くあった。また、椿の寺としても知られ、5月になれば楽しめる。草花を大事に育てる専門家がおり、草花の名前を詳しく教えてくれた。


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/13秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「ユキモチソウ」


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/160秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
「クマガイソウ」


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 風車の先に納められた「身がわり寅」。この「納め処」は毘沙門堂の周囲はどこでも良いようである。正面左右、裏側。何処にでも納められた「身がわり寅」があった。


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キャノンEOS7Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 「身代わり寅」は毘沙門堂の至る処に納められていた。上の写真は一人で納めたのか、二人分なのか、或いは別々の三人が納めたのか、楽しい想像をした。


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2 コメント

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啓徳空港 (M/M)
2017-05-08 10:43:38
噂には聞いていましたが、それほど恐ろしい空港だとは知りませんでした。
多聞院の「身がわり寅」はかわいいです。
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懐かしい空港 (Jamco)
2017-05-08 10:53:37
コメントを有難うございました。現在の広々とした、香港らしからぬ空港より、あの啓徳空港を懐かしく思います。狭苦しい、汚れた空港に降りると、「香港に来た」との実感が湧きました。
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