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神々の恋愛事情~八上姫の悲恋

2015-04-19 18:28:31 | 出雲神話
身を引く。

兎神のお告げにより、結ばれたオオクニヌシ(大国主)とヤカミ姫(八上比売=八上姫)
大国主は、兄弟神からの仕打ちから、身を守るため出雲の国まで逃げました。
残された、八上姫は因幡の国(鳥取県河原町)の長でもありましたので、逃げ出してしまった大国主の帰りを来る日も来る日も待っていました。

ある時、八上姫は愛する大国主の子を授かっていることに気づきます。
それゆえに、大国主を慕う気持ちは高まるばかりで、一目逢いたいと、はるばる出雲の国に旅だちました。

かよわい足取りで、厳しい旅を続けられ、出雲の入り海(宍道湖)を船で進んでいたおり、南の山あいの岩の間から、こんこんと湯が湧き出ているのを見つけられ、近づいてそこに腰掛けられた時、わずかなお湯が大量の温泉となりました。

そこで、大国主に逢う前に、汚れた体を洗おうと、湯に浸かられたところ、瞬く間に素肌はよみがえり、旅の疲れもすっかり癒され、いっそう美人神となられました。



これが日本三大美人の湯(龍神温泉、川中温泉)と言われる湯の川温泉(出雲市斐川町)のはじまりと言われています。

旅の疲れも癒し、大国主の住む近くまで旅を進めた時、そこで初めてスセリビメの存在を知ることになります。

スセリビメは、大国主の正妻となっているばかりではなく、良妻賢母ではあるが、強烈な嫉妬心の持ち主であることを知りました。
八上姫を寄せ付けないスセリビメ(イメージ写真です。)

一族を治めるほどの八上姫ではありましたが、スセリビメの嫉妬心は、想像を絶するほどで、これを恐れた八上姫は、子を宿した体で因幡の国に帰ろうとされ、湯の川を過ぎた当たりで、産気づかれ御子を生み落とされました。

八上姫は、生み落とされた御子を、木の俣(また)にかけて因幡の国にお帰りになられました。
生まれたその子の名を木の俣の神、別名 御井の神と言われるそうです。
この時詠まれた歌が、

火の山のふもとの湯こそ恋しけれ 身を焦がしても妻とならめや

この御子と悲恋の母である八上姫をお祀りされているのが、湯の川温泉の近くにある御井(みい)神社です。

また、八上姫は御子を産んださい、産湯につけるため三つの井戸を掘られ御子の安全を祈られたそうです。この井戸は、御井神社のそばにあり、生井、福井、綱長井(つながい)と呼ばれ、それぞれ、安産と子育て、母子の幸せ、母子の寿命を守りつかさどるとされています。

産湯として掘られた生井の井戸

そんな悲恋に耐えた八上姫ですがその後、因幡の国にお帰りになり一族をいっそう発展させられたそうです。

八上姫の悲恋の受けとめかたは、それぞれで、夫を見限り子を捨てた女性が以前より、より輝いて行くという話、たとえ正妻の座は捨てようと、大国主の第一子を授かった喜び、そしてこの子を出雲に残し、いずれは父を助け出雲の国を治めて欲しいと願う母としての強い願いをこめているのではないかという話~。

この八上姫の伝説は、前段紹介させていただいた図書を参考に掲載していますが、一連の流れをまとめたものが少なく、私自身で加筆した部分がたくさんありますので、あくまでも伝説として受けとめて頂ければ幸いです。
八上姫伝説

八上姫神社(湯の川温泉にあります)

御井神社に掲げてある八上姫伝説
余談、実はさすがの大国主もスセリビメの余りの嫉妬深さが恐くなり、逃げ出してしまおうとされたそうですよ。m(__)m