今日は、現在の歯科医療の現状をお話してみたいと思います。
日本歯科医師会は、『8020運動』を展開中です。『8020運動』とは、皆様ご存知だと思いますが、
「80歳になっても20本の歯を残そう」というものです。要するに、一生自分の歯で食べようということなのです。
が、残念ながら、未だ達成されてはいません。
しかし、この20年間少しずつではありますが、近づいてきています。
厚生労働省のデータがありますが、20本以上の歯が残っている人の%を年代別に見てみますと、
60~64歳の人では、S.62年に40%、H7年では70%。70~74歳の人では、S.62年に15%、H17年に42%。
80歳では、S.62年に9%、H17年に21%です。
約20年間に、実に倍以上の人は、20本の歯が残っているのです。それでも、80歳の人の残存歯数は10本です。
このように良くなっていった原因としましては、国民の口腔衛生思想が向上したという事もありますが、
大きい理由としては、我々歯科医の努力があったからではないかと自負しています。
では、歯を失う原因を見てみますと、主なものではむし歯と歯周病ですが、歯周病によるものが少し上回っています。
むし歯はむし歯菌(ミュータンス)が糖を摂取し、酸を排出し、その酸が歯を溶かす事によって発生します。
むし歯を作らない為には、ミュータンスがウヨウヨいる歯垢を取ってやる、つまり歯磨きです。もう一つは、酸に溶かされない強い歯を作る事。
一番手っ取り早いのが、フッ素です。最近は沢山の歯磨き剤にフッ素が配合されています。このフッ素の普及と、
先ほどの口腔衛生思想の向上により、若年者や子供のむし歯は減少しています。
これからもどんどん減少していく事と思います。むし歯になって治療するよりも、先ず予防が大切です。
今日はむし歯について、一言で申しましたが、又の機会に歯周病について話してみたいと思います。
(週報2007/11/30)