会長スピーチ

綾部ロータリークラブ会長スピーチを収録します。これは週報に掲載されたものをそのままコピーしたものです。

「バイオ燃料」

2007-10-30 15:06:27 | 会長スピーチ
          
 最近、バイオ燃料という単語をよく耳にします。バイオ燃料とは、植物性の物質を利用して作られる自動車用燃料の事です。
具体的には、木材などからエタノールやメタノール、食用油などからメチルエステルなどを作り、これを自動車用燃料として利用する事を意味します。バイオエタノール、バイオエタノール混合ガソリン、バイオディーゼル(メチルエステル)などと区別して呼ばれています。
ガソリン等の化石燃料に10%程度混ぜて使用されます。

 地球温暖化が進む中、バイオ燃料はCO2を排出しない為、各国で研究・実験化が進められています。
バイオ燃料のメリットは、CO2排出ゼロ、硫黄酸化物の排出がゼロなどですが、課題としては、車両を変更しなければならない事や、
窒素酸化物の増加、それに燃費が悪い事等があります。

 京都市では、市営バスなどにバイオディーゼルを利用し、年間約4000トンのCO2削減が実現しているということです。
ところが最近様々な問題点が出てきました。トウモロコシもバイオ燃料に使用するのですが、トウモロコシの値段の高騰で、
家畜の飼料に回らなくなった所もあるそうです。

 インドネシアでは、やしの実から取れるパーム油、これもバイオディーゼルになるのですが、値段が約2倍になり、熱帯雨林を伐採して
やしの木に植え替えた結果、熱帯雨林が年々減少しています。例えば、スマトラでは1960年に比較して、2000年には、熱帯雨林が
(他の原因もありますが)5分の1になっています。しかし熱帯雨林はCO2を吸収する為、一体何の為のバイオ燃料なのかと思ってしまいます。

 限られた化石燃料の使用を減らす為、また地球温暖化を防止する為に、バイオ燃料の研究は必要でしょうが、
それよりも先ずしなければならない事は、我々が化石燃料の使用量をもっともっと減らすということです。今まで通りジャブジャブ使うだけ使っておいて、バイオ燃料によってCO2排出を減らそうというのは、余りにも虫が良すぎるのではないでしょうか。

(週報2007/10/26)

「職業奉仕」

2007-10-23 15:06:28 | 会長スピーチ
       

 10月は職業奉仕月間です。(米山月間でもあります)最近、職業奉仕に関して、ロータリーが変って来ているのではないかという意見があります。
といいますのは、当クラブも導入していますCLPの中で、職業奉仕の位置付けが少し軽んじられているのではないかというものです。
しかし、決してそうではありません。やはり、職業奉仕は「ロータリーの金看板」であり、ロータリーのアイサーブの根幹を成すものです。

 ロータリークラブ以外に、ライオンズクラブ、キワニス等、いくつかの奉仕クラブがありますが、職業奉仕という概念があるのは、ロータリークラブだけです。職業奉仕を考えます時、3つの側面があると思います。1番目は、職業により生計を立てなくてはならない。
2番目は、職業を通じて奉仕をするということ、3番目は、職業を通じて自分を高め、また職業そのものを高めていくということです。

 厳しい時に、生計を立てるという事と、職業を通じて奉仕をするというのは、相反する2つの事、二律背反ではないかとよく議論されますが、
私はそうではないと思っています。ロータリーには「超我の奉仕」(最も良く奉仕する者、最も多く報いられる)という標語があります。
厳しく苦しい時こそ、この標語を思い出したいものです。

 色々と申しましたが、職業奉仕はやはり難しく、私も未だしっかりと理解できていなくて、実践も出来ていないのではないかと思っています。
最後に、最も職業奉仕の事を表現していると思われる言葉を紹介して、会長タイムを終わります。

『職業にもし善意というものが無いなら、ロータリーはただの社交クラブだ。職業はただの金儲けに過ぎない』

(週報2007/10/19)

「やればできる」

2007-10-17 10:35:54 | 会長スピーチ
               
 先日、NHKの番組で、ある小学校に続いている伝統行事を放映していました。非常に感銘を受けましたので、紹介させていただきます。
 
 鹿児島市にある松原小学校で、毎年4年生になった生徒達が、鹿児島湾を桜島から4、2kmを泳いで渡るというものです。
4、2kmといえば、半端な距離ではありません。それを全員で渡ろうというのです。この行事は大正時代から続いているそうです。

 プールでの特訓が5月から始まり2ヶ月続きます。泳げない子ども達が殆んどで、鹿児島といえども水はまだ冷たい時期です。 4年生といえばまだ身体は小さく、水の苦手な子、運動の苦手な子、体の弱い子もいます。練習は先生と6年生が指導し、まず泳げるようになる事から始めて、徐々に距離を伸ばしていきます。 しかし脱落しそうになる子ども達が何人か出てきます。
「海に挑み、未来に挑む」、「やれば出来る」、「皆で泳ぎ切れ」をモットーに、親や先生がなだめたりすかしたり・・・、と
懸命に説得するのです。

 7月に入ると、2度の検定試験があります。合格基準は、プール40周2、7kmを70分以内に泳ぎきるというものです。
そして子供、親、先生にとって大変な試練を乗り越え、漸く全員が合格した後、7月23日にはいよいよ本番です。 
桜島側から出発し、4年生~6年生合わせて91名が2列の隊列を組み、その長さは100mにもなります。
隊列の周りは、地元の漁船・船舶が何十もの船を出し、子ども達の伴走をします。正しく地域をあげての応援です。
2時間をかけて、漸く全員が泳ぎきります。

 全員が達成すると言う事は、本当に凄い事です。「やれば出来る」という事なのです。これ以上無い学校教育だと思います。子供達の将来にむけて、どれ程の自信を得た事でしょうか。

 近年、学級崩壊、学校崩壊等、教育現場が荒廃している中、多分この小学校では、決して『いじめ・引きこもり』とは無縁だと思います。何故ならば、子供の育成には、家庭、学校、地域社会の三者全てが必要だと思いますが、
ここには、見事にこの全てが揃っているからです。

(週報2007/10/12) 

 

「古人類学」

2007-10-10 13:41:41 | 会長スピーチ
         

 今日は古人類学について話してみたいと思います。人類の起源の話です。
ヒトという定義は、直立2足歩行が可能であると言う事です。直立2足歩行する人類が誕生したのは、以前は約500万年前であろうと言われていましたが、研究が進むにつれてどんどん古くなって、今では約700万年前であろうといわれています。

 人類は、猿人→原人→旧人→新人と、淘汰や進化を重ねてきたわけですが、すべてアフリカの大地での出来事です。
つまり、アフリカが人類発祥の地であります。

 淘汰と進化を繰り返しながら、そのうちに食糧事情などで、何種類かがアフリカから外へ飛び出しました。それを第一次アウト・オブ・アフリカと言います。飛び出した彼らは、世界各地に拡散し、ジャワ原人とか、北京原人とか言われる化石となって発見されています。数十万年前のことです。

 10万年前ごろに同じように、アフリカを飛び出し(第二次アウト・オブ・アフリカ)世界各地で暮らすうち、環境変化の挙句、白人と黄色人種となったと言う事です。人類は元々黒人だったのです。

 アメリカの大統領選挙が近づきつつあります。民主党指名の最右翼とまで思われていた黒人のオバマ上院議員が、8月の世論調査では、ヒラリー・クリントン氏に随分差を広げられました。アメリカはまだまだ人種差別感情の強い国ですが、この支持率の急落は、オバマ氏が黒人だからだと指摘する人がいます。もしそうであるならば、馬鹿馬鹿しく悲しい話です。
何故ならば、『我々全て人類の祖先は黒人である』からです。

(週報2007/10/05)