掌蹠膿疱症とたたかう”たかが皮膚科医” in 愛媛

変わり者と後ろ指を差されながらも、掌蹠膿疱症とひたすらとりくむ元北海道地域医療従事臨床研究者のひとりごと。

膏薬の塗り方一つをとっても。

2012-11-16 06:11:12 | 火曜日は専門外来日!

保湿剤にはかなりいろんなメーカーが参入していますが、我々皮膚科医が処方するものとしてM社の”H*r*doid”というものがあります。ヘパリン類似物質含有剤で、軟膏、クリーム、ローションといろんな基材があり、実際冬季に多くなる、皮脂欠乏症や皮脂欠乏性皮膚炎の治療の際にかなりお世話になるものです。

先日杏林大学皮膚科教授の塩原先生の講演がここ松山でありまして、この薬が単に保湿効果のみならず発汗促進作用があることを講演されました。そしてかなり大量のM社”H”を処方され、実際に患者さんにべたべた塗らせています。驚くべきことに皮脂欠乏症のみならず、扁平苔癬、アトピー性皮膚炎などに対してもステロイドを使わずにHのみで改善した症例を多数供覧して下さいました。

私も汗の自然免疫とPPPの研究者の一人として、非常に興味深いデータだと拝聴しましたが、確かに思い起こすとかさかさして湿疹がなかなか治らないと訴える患者さんに、前医と全く同じ処方で外用方法の変更を指導しただけで、劇的に改善する症例を何十例あるいは何百例と経験しています(富良野地区(特に南富良野)では、私は”膏薬をすごくたっぷり塗らせる医者”として有名だったと聞き及んでいます)。

北海道地区の一部の先生からは”あいつはやたらに軟膏べたべた塗りすぎ!”と批判的なことをいわれたこともありますが、私自身の経験と先日の塩原先生の講演を聞いて、自分の判断が正しかったと改めて思うとともに、一方的にあんなのだめだよと(実際に自分で試してみたりもしていない癖に)決めつける”理論武装のみ経験知ゼロ”の輩なんかのいうことに耳を貸すより、”これからも自分の経験と正確な理論や実験データに基づいた診療を組み立てる姿勢を変えないでいこう”と自信を深めることができました。

そして塩原先生の医局員も体を張っていますが、先生御自身も体を張ってデータをとっているだけにすごく好感が持てました。現場の臨床医の匂いのする臨床研究者だと改めて尊敬することができて、講演会を楽しむことができ良かったと思います。

ちなみに、うちの佐山教授も自ら体を張って研究のために汗を採取して下さるし(自転車で走り回って採取する・・・)、僕だってSanDiegoにいたときは大竹先生(現:旭川医大准教授)と長谷先生(現:東京大学特任教授)と三人で仲良くUCSDキャンパスを走りまわって熱中症になりかけながら汗を集めました。あ、PPPの実験のため自分の手掌から皮膚生検もしたっけ・・・僕らも自分の体を張ってがんばって研究しています、山中教授のようにマラソンにはでれないけど(^_-)-☆

 

 

 


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