goo blog サービス終了のお知らせ 

掌蹠膿疱症とたたかう”たかが皮膚科医” in 愛媛

変わり者と後ろ指を差されながらも、掌蹠膿疱症とひたすらとりくむ元北海道地域医療従事臨床研究者のひとりごと。

師走に思うこと

2012-12-15 07:04:45 | Casval@Dohgo-spaのひとりごと。

早いもので、もう12月となり、あと二週間で今年も終わってしまいます。

PPP外来は先日二人新規で来られたので20人の登録となり、案外忙しくなってきましたが、幸い経過良好の人が大部分でなんとかよいスタートが切れたように思います。どうしても加療に時間がかかるのがこの病気なのですが、誰でも一日も早く治りたいという想いは同じですから、”ちぇ、まだ治んないのかよ”とか思われる方もおられるだろうと思っています。

10年あるいはそれ以上治らなかった病気を、一週間で治せと言われてもそんなの無茶です。まずは、”なぜ10年もこの病気を患っているのだろう?どうして5年で自然寛解していないのだろう?”ということを考えることが、この病気を考える第一歩だと思います。私の外来では、まずそこからスタートしてお話をさせていただくのですが、その時に、”なんだ、こいつ薮医者だな。どうせなにもできないだろう”と思われるのであれば、私と一緒に歩くのはやめておきましょうねともお断りしています。だって、私が患者だったら、信用できない医者には絶対診てほしくないですよ。あたりまえです。

世の中にはとてもたくさんの名医や良医がおられますが、私はおそらくどちらでもありません(おたく医者であることは間違いがないのです)。私の外来診療風景をみたら、きっと学生教育上よくないといつも思います。しかしながら、他人と同じことをして全然うまくいかないのであれば、理論の根底からひっくり返して、全く違うアプローチを試みようというのが、研究者としての勇気であると思っているので、今のスタイルに行きつきました。だから、どうしても私とタッグを組んで治療をする必要はないと思って、時には”やめておいたら?”ともお話するのですが、今までに出会った掌蹠膿疱症の患者さんたちはやさしい人ばかりで、”お前なんか薮医者だからもうこないよ”という感じになった人は本当に数人でした。(3-4人かな。たぶん)。

よく患者さんから”今まで全然うまくいかなかったのに、どうしてこんなにきれいになったのでしょう”と言われることがあるのですが、”それはきっと今までと違った試みがたまたまうまくいったんですね”とお答えしています。でも、その試みにたどり着くまでは、すごく長い時間ととても多くの北海道の掌蹠膿疱症の患者さんたちの協力があったからであることを必ず申し添えさせていただきます。医療の歴史は、経験醫學すなわち患者さんの犠牲の上になりたっているものであるという認識を我々医師は決して忘れてはいけないといつも自分に言い聞かせています。

”病気のことは患者にきけ”とむかーしある老医師(失礼、大先輩医師)に言われたことがあります。私も医師になってまだ20年たらずのペーペーですから、こういう先輩たちの経験と教えに敬意を払って、謙虚にもっと学びたいと思います。

臨床医としてまた臨牀研究者として生きることは茨の道だなと改めて痛感した今年一年でした。


新型(?)について

2012-08-10 05:31:20 | Casval@Dohgo-spaのひとりごと。

赴任して4か月が過ぎました。やっと街にも大学にも、そして電子カルテにもなれてきましたが、まだまだ電子カルテに関してはレジデントの先生方のレベルをこえることはできません。

”紙カルテ(旧式)なら3倍速いのに。私もかつてはCHAR(富良野限定だけど。)と呼ばれていた男だ、このまま引き下がるわけにはいかない”

”電子カルテの性能の差が臨床力の違いではないということを教えてやろう”

などど言いながら(言い訳しながら)、外来診療をしています。旧式は旧式でいいところがあり、新式は新式でこれまたいいところがあります。うちのレジデントの一人は、MD.SEと肩書に書きたくなるほどのエンジニアがいて、日々システムの改善を図ってくれているので、大変ありがたいと思っています。前任地にもできるオタク(N先生ごめんね。)はいたのですが、ちょっとうちのSE様にはかなわないかな(笑)

システム(MS)がどんどん改良されて進化しているので、これにおいて行かれないように自分も医師(パイロット)としての技量をどんどんあげていかないといけない、、、と、思います。

 


Society for Investigative Dermatology, annual meeting

2012-05-11 03:05:05 | Casval@Dohgo-spaのひとりごと。

5月9日より米国研究皮膚科学会の年次集会に参加しています。世界中の皮膚科研究者が集まるのでかなり大きなイベントです。愛媛大学に移籍して、しばらくぶりにSIDに参加させてもらいましたが、すごくいろんな皮膚科領域の研究が進んでいて、今後の自分の研究のヒントがゴロゴロころがっていることを感じます。

そればかりではなく、いろんな研究者と知り合いになれて、今後一緒にこういう仕事をしようという話ができることも大変すばらしく、自分ひとりでは解決できない問題も、世界中のどこかしらで誰かが解決できるということがよくわかります。

旭川にいるときはなかなか忙しくてこういう機会がめっきり減っていたのですが、PPPの病態解明に早く近づくためにも、これからはますますこういうネットワークを利用して戦わなければいけないと思いました。そして、そのような機会を与えてくれる愛媛大学佐山教授をはじめとした、愛媛大学皮膚科の仲間に対する感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。

まだ中日ですが、実は現地時間でも不眠症(何時に寝ても朝の2時におきてしまふ・・・)になやまされております。困った困った。


伊予鉄道 横河原駅

2012-05-08 05:15:24 | Casval@Dohgo-spaのひとりごと。

愛媛大学医学部の近くに伊予鉄道横河原線の終着駅”横河原駅”があります。

すばらしい建築物でありながら未だ現役というところに感激しました。ちなみにこの時入線していた二両編成の700系車両は、マニアならばすぐにわかる京王帝都5000系のお下がり。年式も私の一歳年上ということで、伊予鉄ファンになってしまいました。自分も”こいつらに負けないように現役で現場でがんばろう!”という気持ちにさせてくれます。もしこの駅舎の改築話がでたら、絶対に反対運動に署名したいと思います。

そのうち、伊予鉄道市内線の写真ものせようかな。。。。


あっというまの一か月でした。

2012-05-04 23:35:18 | Casval@Dohgo-spaのひとりごと。

旭川で引っ越し準備に追われていやになり、愛媛に来て家の片づけでさらに嫌になりながら格闘していたら、あっという間に一か月が過ぎてしまいました。

少し街に慣れてきましたが、なかなか外来システムに慣れることができません。あー、旭川だったらこれはもうこうなっているよなとか何度も思うのですが、郷に入らば郷に従わなければなりませんから、泣き言をいうのではなく己がシステムに順応すべく連日格闘中です。

幸い掌蹠外来も開店休業で、あまりに申し訳ないので紹介状を持たない初診患者を引き込んで診察して、皮膚科臨床医のようなことをしています。この一か月のリハビリのおかげで、かつてのように掌蹠膿疱症の患者さんを診る余裕と気力がだいぶ復活してきました。

一番の収穫は、こちらの大学は皮膚角化細胞の研究がすごく進んでいることと、今までの自分の考え方と異なる(バックグラウンドが違う)研究者が複数おられることです。つまり、今までとは違った角度からの意見がいただけることが大変ありがたく、改めて旭川での6年間の掌蹠膿疱症の研究と外来で経験したことが、すこしずつ統合されてきているように思います。すなわち、病気の本態に少しにじり寄ったかな、というところです。

いままでの旭川での生活とはまったく異なる生活パターンとなり、ON-OFFがかなりはっきりして昔のSanDiegoでの生活のような感じに少しなってきたので、かなり精神的に楽になりましたが、まだ新しい土地と生活に完全に順応したわけではないので、今しばらくかなと思います。新しい土地での生活はこれで4回目(富良野をいれたら5回目)となりますが、引っ越しは年を取ると意外とつらいということだけはよくわかりました。

連休明けから米国研究皮膚科学会に参加します。今回は久しぶりの参加でmentorにも会ってきますので、ますます研究に対するテンションを上げるべく頑張ってみたいと思います。