早いもので、もう12月となり、あと二週間で今年も終わってしまいます。
PPP外来は先日二人新規で来られたので20人の登録となり、案外忙しくなってきましたが、幸い経過良好の人が大部分でなんとかよいスタートが切れたように思います。どうしても加療に時間がかかるのがこの病気なのですが、誰でも一日も早く治りたいという想いは同じですから、”ちぇ、まだ治んないのかよ”とか思われる方もおられるだろうと思っています。
10年あるいはそれ以上治らなかった病気を、一週間で治せと言われてもそんなの無茶です。まずは、”なぜ10年もこの病気を患っているのだろう?どうして5年で自然寛解していないのだろう?”ということを考えることが、この病気を考える第一歩だと思います。私の外来では、まずそこからスタートしてお話をさせていただくのですが、その時に、”なんだ、こいつ薮医者だな。どうせなにもできないだろう”と思われるのであれば、私と一緒に歩くのはやめておきましょうねともお断りしています。だって、私が患者だったら、信用できない医者には絶対診てほしくないですよ。あたりまえです。
世の中にはとてもたくさんの名医や良医がおられますが、私はおそらくどちらでもありません(おたく医者であることは間違いがないのです)。私の外来診療風景をみたら、きっと学生教育上よくないといつも思います。しかしながら、他人と同じことをして全然うまくいかないのであれば、理論の根底からひっくり返して、全く違うアプローチを試みようというのが、研究者としての勇気であると思っているので、今のスタイルに行きつきました。だから、どうしても私とタッグを組んで治療をする必要はないと思って、時には”やめておいたら?”ともお話するのですが、今までに出会った掌蹠膿疱症の患者さんたちはやさしい人ばかりで、”お前なんか薮医者だからもうこないよ”という感じになった人は本当に数人でした。(3-4人かな。たぶん)。
よく患者さんから”今まで全然うまくいかなかったのに、どうしてこんなにきれいになったのでしょう”と言われることがあるのですが、”それはきっと今までと違った試みがたまたまうまくいったんですね”とお答えしています。でも、その試みにたどり着くまでは、すごく長い時間ととても多くの北海道の掌蹠膿疱症の患者さんたちの協力があったからであることを必ず申し添えさせていただきます。医療の歴史は、経験醫學すなわち患者さんの犠牲の上になりたっているものであるという認識を我々医師は決して忘れてはいけないといつも自分に言い聞かせています。
”病気のことは患者にきけ”とむかーしある老医師(失礼、大先輩医師)に言われたことがあります。私も医師になってまだ20年たらずのペーペーですから、こういう先輩たちの経験と教えに敬意を払って、謙虚にもっと学びたいと思います。
臨床医としてまた臨牀研究者として生きることは茨の道だなと改めて痛感した今年一年でした。