私の兄はとても働きもので優しい。私が兄の家にいくと"飯は食ったか、とか言ってさっさと味噌汁やご飯をよそってくれて"この天ぷら俺か今朝とってきた野菜だからうめえぞ"とおかずの説明もしてくれる。89歳になる母はそんな兄のもとで兄嫁とともに暮らしてきた。その兄は毎年お盆になると高速も使わず、ホテルや旅館にも泊まらないで好きなバイクで北海道に行った。今年兄は私に母を預けて出発し事故で大怪我をしてしまった。兄をとても頼りにし大切にされてきた母に私は事故の事を話した。母はここ数年の間に脊椎圧迫骨折をしとても小さくなり老化した。過去の経験や出会った人が不意に会話として整理されないまま出てきたり、わたしのダンススタジオの大きな鏡に映る自分にはなしかけたりしている。がほとんどまともで、面倒かけて悪いねえ、とか稔のとこへどんな具合か行かなくちゃ、と心配する。自分を産んでくれた母の世話をするのは当たり前だ。それに幸せな時だ。今まで兄がこんな大怪我をするまで兄夫婦に任せっきりだった事を申し訳なく思うと同時に勿体なく思う。子育ての期間が繰り返せない貴重な時間と同じで母とのこ
の時間はかけがえがない。母に聞いてみた。稔の所へいく?すっごく遠くて車で4時間位かかるけど、日曜日の朝早く休みながら行こうか。母は私の顔を見て、しっかり首をたてにふった。
の時間はかけがえがない。母に聞いてみた。稔の所へいく?すっごく遠くて車で4時間位かかるけど、日曜日の朝早く休みながら行こうか。母は私の顔を見て、しっかり首をたてにふった。