義母がバレエファンでオーストラリアン・バレエの会員なのでバレエ公演には義母がよく誘ってくれるし、バンガラ・ダンス・シアターの公演がある時は義姉がとりまとめて家族親戚友達を含めた大グループで行く。
今日は西オーストラリア・バレエ団による「La Boheme」をアートセンターで見てきた。
これが私にとっては今シーズン最後のダンス鑑賞なので、今シーズン見たものを備忘録として残しておきたいと思う。
(本当はその都度書こうと思っていたのだが時間がなかったのでまとめ書き)
3月11日 Telstra Ballet Dancer Award 2005
Australian Ballet@Sydney Myer Music Bowl
これはセントキルダ通り沿いのKing's Domainにある野外ホールで開催される毎年一回限りの無料公演。
公演後に自分のお気に入りのダンサーに携帯で人気投票する仕組みで、若手ダンサーの一種の登竜門になっている。
とはいってもクオリティーはかなり高く、毎回盛況なので早めに行って席を確保しなければならない。
子供達にとっては本格的なバレエに触れるよい機会なので、私も今回は友達とその子供達を引き連れていった。
演し物は「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」など有名どころの抜粋を集めた8幕仕立て。
子供達が飽きないように工夫がされていた。
男性ダンサーが華麗な跳躍を決めるたびに、バレエを習っているリリアナが「は~」っと息を飲むのを聞いて連れてきて大正解だったと思った。
前回義母と二人で来て「コッペリア」を見た時に、次回は絶対リリアナを連れてきたいと思ってたのだ。
来年もまた行けるといいな。
6月18日 Boomerang
Bangarra Dance Theatre@The Arts Center
バンガラ・ダンス・シアターの作品の中で最も完成度が高いと前評判の高かった「ブーメラン」。
タイトルから現代社会で苦悩するアボリジニの若者の伝統回帰、自然回帰に希望をつなぐメッセージが感じられる。
今回もオーストラリアの先住民のドリーミング(神話)、厳しい現実社会、祈り、伝統を織り込んだ素晴らしい作品だった。
確かに今まで見てきた各作品のメッセージが全てバランス良く配合されているとは思ったが、今までの作品より特に傑出しているとは思わなかった。
バンガラ・ダンスを初めて見たのは、こちらに移住してきてすぐの8年近く前だと思うが、ちょうどオーストラリア・バレエ団とのコラボ公演があってそれを見たのが最初。その力強さ、芸術性にすっかり魅了されてしまった。
「Corroboree」公演の時にウラン鉱山開発の周辺で中毒症状を起こして苦しむ先住民達を描いたパート「Toxic」には目頭が熱くなったし、去年の「Bush」では女長老みたいな人の存在感に圧倒された。とにかくバンガラは毎回心にずしっと響く体験をさせてくれる。今年は愛知万博のオーストラリア・パビリオンで日本公演も行われた。
バンガラ・ダンス・シアターは振付師でありアート・ディレクターでもあるスティーブン・ペイジとその親戚家族が中心となっているダンス・グループ。
スティーブン・ペイジの弟であり主要ダンサーでもあったディビッド・ペイジが自殺した時にはどうなることかと思ったがバンガラは存続の危機を乗り越えて戻ってきた。そしていっそう力強いパフォーマンスを見せてくれている。
でもスティーブン・ペイジがもしいなくなったらバンガラはどうなっちゃうんだろう、と考えると暗くなる。
バンガラ・ダンス・シアターには百年後も活躍していて欲しいと思ってるから。
7月2日 Jiri
Australian Ballet@The Arts Center
オランダの振付師Jiri Kylianの世界を再現した4幕構成のバレエ。
モーツァルト風のカツラをかぶった男性がコミカルに飛び上がっているポスターのイメージからして私の趣味じゃなかったので、実はあまり期待してなかったのだがこれがなかなか面白かった。前半2幕は官能的なモダンな作品で後半2幕はモーツァルトの作品にのって男女関係をコミカルに描いた作品だった。会場のあちこちからも笑い声が立っていた。Jiri Kylianの作品は2003年に同バレエ団のTrilogyの中でBella Figuraを見たが、今回全幕を通してJiri Kylianの独自の世界をじっくり堪能する事が出来て印象もより強まって良かった。またJoop Caboortによる照明もとても効果的だった。
8月9日 Sleeping Beauty
Russian Ballet@The Frankston Arts Center
地元フランクストンで開催されたロシアバレエ団の出稼ぎ出張公演「眠りの森の美女」。
鳴り物入りでやってくる外国の有名バレエ団の出稼ぎ出張公演ははずれが多い。
その度にオーストラリア・バレエ団の方がよっぽど質が高いじゃないかと思わされる。
数年前に来た英国バレエ団の「白鳥の湖」も評判倒れだった。値段もかなり高かったのに見に行った人達が揃って「disappointing」と言っていた。
今回のロシア・バレエ団も「うーん・・・」という感じ。
第一幕はみんなカチコチな感じが伝わってきたけど、終盤になってそれぞれのダンサーがのびのびしてきてバレエ自体は楽しめた。
でもオーケストラの生演奏がついてなくて録音テープだったのはやっぱりチープな感じがした。衣装のセンスもいかにも「古典的おとぎ話」って感じでオーストラリア・バレエ団のモダンでシックな色調の衣装に見慣れているせいか、ちょっと悪趣味に見えてしまった。
9月3日 La Boheme
West Australian Ballet@The Arts Center
プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をバレエ化した作品。今まで数多くのオベラ作品がバレエ化されているなかで、今まで「ラ・ボエーム」がバレエ化されたことは不思議な事になかったそうだ。
西オーストラリア・バレエ団の公演を見るのはこれが初めて。オーストラリア・バレエ団に比べて質は劣るだろうなと思っていたけど、なかなかどうして、そんなに見劣りはしなかった。Simon Dowによる振り付けは、どことなく私の好きなGraeme Murphy風。影響受けたのだろうか? セットや照明はあまりぱっとしなくてオーストラリア・バレエ団ほど洗練されてなかった。でもオーケストラの音楽が良かったのでそれだけで十分。やっぱりプッチーニはいいなあ。
二幕目では日本人バレリーナが出てきてしっかり脇を固めていた。以前見たオーストラリア・バレエ団やシドニー・ダンス・カンパニーの公演でも日本人バレリーナが活躍していた。世界で活躍している日本人達を見るとやっぱり嬉しいし応援したくなる。