OZLIFE’S DIARY

メルボルンで働く永住者OZLIFEの雑記帳

(および過去記事収納所)

ダンス鑑賞記@メルボルン

2005-09-03 | メルボルンのあれこれ
質の高いダンスパフォーマンスを手頃な値段で楽しめるメルボルンに来てから、毎年秋~春にかけて5本前後のダンス公演を見に行っている。
義母がバレエファンでオーストラリアン・バレエの会員なのでバレエ公演には義母がよく誘ってくれるし、バンガラ・ダンス・シアターの公演がある時は義姉がとりまとめて家族親戚友達を含めた大グループで行く。

今日は西オーストラリア・バレエ団による「La Boheme」をアートセンターで見てきた。
これが私にとっては今シーズン最後のダンス鑑賞なので、今シーズン見たものを備忘録として残しておきたいと思う。
(本当はその都度書こうと思っていたのだが時間がなかったのでまとめ書き)


3月11日 Telstra Ballet Dancer Award 2005
Australian Ballet@Sydney Myer Music Bowl

これはセントキルダ通り沿いのKing's Domainにある野外ホールで開催される毎年一回限りの無料公演。
公演後に自分のお気に入りのダンサーに携帯で人気投票する仕組みで、若手ダンサーの一種の登竜門になっている。
とはいってもクオリティーはかなり高く、毎回盛況なので早めに行って席を確保しなければならない。
子供達にとっては本格的なバレエに触れるよい機会なので、私も今回は友達とその子供達を引き連れていった。
演し物は「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」など有名どころの抜粋を集めた8幕仕立て。
子供達が飽きないように工夫がされていた。
男性ダンサーが華麗な跳躍を決めるたびに、バレエを習っているリリアナが「は~」っと息を飲むのを聞いて連れてきて大正解だったと思った。
前回義母と二人で来て「コッペリア」を見た時に、次回は絶対リリアナを連れてきたいと思ってたのだ。
来年もまた行けるといいな。


6月18日 Boomerang
Bangarra Dance Theatre@The Arts Center

バンガラ・ダンス・シアターの作品の中で最も完成度が高いと前評判の高かった「ブーメラン」。
タイトルから現代社会で苦悩するアボリジニの若者の伝統回帰、自然回帰に希望をつなぐメッセージが感じられる。
今回もオーストラリアの先住民のドリーミング(神話)、厳しい現実社会、祈り、伝統を織り込んだ素晴らしい作品だった。
確かに今まで見てきた各作品のメッセージが全てバランス良く配合されているとは思ったが、今までの作品より特に傑出しているとは思わなかった。
バンガラ・ダンスを初めて見たのは、こちらに移住してきてすぐの8年近く前だと思うが、ちょうどオーストラリア・バレエ団とのコラボ公演があってそれを見たのが最初。その力強さ、芸術性にすっかり魅了されてしまった。
「Corroboree」公演の時にウラン鉱山開発の周辺で中毒症状を起こして苦しむ先住民達を描いたパート「Toxic」には目頭が熱くなったし、去年の「Bush」では女長老みたいな人の存在感に圧倒された。とにかくバンガラは毎回心にずしっと響く体験をさせてくれる。今年は愛知万博のオーストラリア・パビリオンで日本公演も行われた。
バンガラ・ダンス・シアターは振付師でありアート・ディレクターでもあるスティーブン・ペイジとその親戚家族が中心となっているダンス・グループ。
スティーブン・ペイジの弟であり主要ダンサーでもあったディビッド・ペイジが自殺した時にはどうなることかと思ったがバンガラは存続の危機を乗り越えて戻ってきた。そしていっそう力強いパフォーマンスを見せてくれている。
でもスティーブン・ペイジがもしいなくなったらバンガラはどうなっちゃうんだろう、と考えると暗くなる。
バンガラ・ダンス・シアターには百年後も活躍していて欲しいと思ってるから。


7月2日 Jiri
Australian Ballet@The Arts Center

オランダの振付師Jiri Kylianの世界を再現した4幕構成のバレエ。
モーツァルト風のカツラをかぶった男性がコミカルに飛び上がっているポスターのイメージからして私の趣味じゃなかったので、実はあまり期待してなかったのだがこれがなかなか面白かった。前半2幕は官能的なモダンな作品で後半2幕はモーツァルトの作品にのって男女関係をコミカルに描いた作品だった。会場のあちこちからも笑い声が立っていた。Jiri Kylianの作品は2003年に同バレエ団のTrilogyの中でBella Figuraを見たが、今回全幕を通してJiri Kylianの独自の世界をじっくり堪能する事が出来て印象もより強まって良かった。またJoop Caboortによる照明もとても効果的だった。


8月9日 Sleeping Beauty
Russian Ballet@The Frankston Arts Center

地元フランクストンで開催されたロシアバレエ団の出稼ぎ出張公演「眠りの森の美女」。
鳴り物入りでやってくる外国の有名バレエ団の出稼ぎ出張公演ははずれが多い。
その度にオーストラリア・バレエ団の方がよっぽど質が高いじゃないかと思わされる。
数年前に来た英国バレエ団の「白鳥の湖」も評判倒れだった。値段もかなり高かったのに見に行った人達が揃って「disappointing」と言っていた。
今回のロシア・バレエ団も「うーん・・・」という感じ。
第一幕はみんなカチコチな感じが伝わってきたけど、終盤になってそれぞれのダンサーがのびのびしてきてバレエ自体は楽しめた。
でもオーケストラの生演奏がついてなくて録音テープだったのはやっぱりチープな感じがした。衣装のセンスもいかにも「古典的おとぎ話」って感じでオーストラリア・バレエ団のモダンでシックな色調の衣装に見慣れているせいか、ちょっと悪趣味に見えてしまった。


9月3日 La Boheme
West Australian Ballet@The Arts Center

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をバレエ化した作品。今まで数多くのオベラ作品がバレエ化されているなかで、今まで「ラ・ボエーム」がバレエ化されたことは不思議な事になかったそうだ。
西オーストラリア・バレエ団の公演を見るのはこれが初めて。オーストラリア・バレエ団に比べて質は劣るだろうなと思っていたけど、なかなかどうして、そんなに見劣りはしなかった。Simon Dowによる振り付けは、どことなく私の好きなGraeme Murphy風。影響受けたのだろうか? セットや照明はあまりぱっとしなくてオーストラリア・バレエ団ほど洗練されてなかった。でもオーケストラの音楽が良かったのでそれだけで十分。やっぱりプッチーニはいいなあ。
二幕目では日本人バレリーナが出てきてしっかり脇を固めていた。以前見たオーストラリア・バレエ団やシドニー・ダンス・カンパニーの公演でも日本人バレリーナが活躍していた。世界で活躍している日本人達を見るとやっぱり嬉しいし応援したくなる。

防災の日によせて-原発震災を考える

2005-09-01 | 日々のつぶやき

この記事は 「ブログで囲もう!浜岡原発」のアピール企画に賛同し、姉妹ブログであるOZ GARDENと連動して書いている。


私が浜岡原発のことを知ったのは昨年5月頃、メルボルン在住の友達からである。興味を持ってすぐにインターネットで調べてみるとストップ浜岡というサイトを見つけた。読み進むに つれて「こりゃあ、やばい・・・」と思った。 これほどまでにどこのメディアも取り上げず、日本国民に知られていない一大危機があっていいものか・・・。

私は別に静岡県出身でもなければ、東海大地震の直接被害を受ける場所に在住しているわけでもない。でも原発震災を防ごう! というサイトの中で原発技師であった故・平井憲夫氏の懺悔の告発を読んで、あまりのショッキングな内容に怒りがこみ上げてくるのがわかった。こんなずさん な管理体制でこんなに多くの周辺住民が苦しんでいたとは・・・。 余命いくばくもない体で勇気をもって訴えてくれた平井憲夫氏には頭が下がる。

「私もなんとかしなければ・・・」と思わされた。

それからネット署名に参加したり、ストップ浜岡のサイト管理者に連絡してOZ GARDENからリンクをさせてもらったり、私が見込んだ日本の知人に(煙たがられない程度に)知らせたりして、個人的にできること をやってきた。

その後一年余り経って、坂本龍一氏などの著名人の賛同も得て、メディアの露出度も上がってきて、この問題についての関心が徐々にひろ がってきている。


防災の日である今日は、NHKが午後7:30より「連動する巨大地震・“東海・東南海・南海”同時発生の衝撃」という番組を放映するようだ。 最新の研究によると、東海・東南海・南海地震の大地震が連動して発生する可能性が高いことが分かったそうだ。 同時発生した場合、地震の規模は実にマグニチュード8.7。これまでの想定をはるかに超える。

「老朽化した浜岡原発はそのような規模の地震に耐えられない」と多くの専門家が指摘しているにもかかわらず、中部電力はかたくなにこれ を拒否している。ロシアン・ルーレットで「はずれ」がでることに賭けている。

ところで、オーストラリアは原子力発電の原料となるウランの供給地である。先住民のコミュニティーを、生活を、若者の未来を破壊するウ ラン鉱山開発は深刻な社会問題・環境問題となっている。

去る8月7日(日)、メルボルン在住の日本人有志が中心となって日豪間の平和構築を目指すJapanese for Peace (JfP) が現地NGOと協力してヒロシマ・ナガサキ 被爆60周年記念の平和イベントを行った。

あいにくの雨だったが、音楽や歌を通していろいろなバックグラウンドをもつ人々が一堂に会して核廃絶を訴えている姿を見ることが出来た のは良かった。特に尺八とディジュリドゥの競演は胸にジーンと来た。

写真は舞踏ダンサーとミュージシャンによるパフォーマンス。 ヒロシマ、ナガサキだけではなく、ウラン鉱山開発による被爆者、核実験による被爆者、原発技師や周辺住民の被爆者など、世界にはさまざまな被爆者がおり 「ヒバクシャ」という日本語が時にそのまま使われている。その一人一人のヒバクシャが今日もあちこちで苦しんでいる。

地震という天災は避けられないものであるが、原発震災という人災は私達の声が届けば避けられるものなのだ。

これ以上多くのヒバクシャを増やさないために1ブロガーの声を届けたいと思う。

原発震災を防ぐために、東海地震の震源域にある浜岡原発の停止を求めます。

賛同するブロガーの方は、 「ブログで囲もう!浜岡原発」を参照して企画に参加していただければと思う。

参考サイト
◆ストップ浜岡
◆原発震災を防ごう!
◆浜岡原発リポート
◆浜岡原発は制御不能になる~設計者が告発する浜岡原発耐震偽装