忍山 諦の

写真で綴る趣味のブログ

君はそもそも誰なの?

2016年03月29日 | 如是日、如是時、如是想
季節は少し遡る。
2月の末に東京へ出る機会があった。
時間が少し空いたので江戸川区の葛西臨海公園まで足を延ばした。
今にも泣き出しそうな空模様でとても寒い日だった。





梅と菜の花が満開で、ちらほらと早咲きの桜も開花していた。





あちこち歩き回り、疲れたのでベンチに腰かけておにぎりを取り出して食べようとした。
すると、どこからか野鳥がやってきてこちらをうかがっているではないか。





初めは雀かな、と思った。
しかし、雀にしては少し大柄なのだ。
モズか?
そう思ってよく見ると嘴の先が細く尖っている。
モズではなく、ヒヨドリのようなのだ。





手のおにぎりが欲しいのか、ドンドン近くに寄ってきて、私の手の中を窺っている。
試みに掌にご飯粒を何粒か載せて差し出してみた。
すると、そのヒヨドリはさらに近づいてきてホバリングしながら私の掌のご飯粒を器用についばんだのである。
私はびっくりしてしまった。






私の家の廻りには農家が多く、ヒヨドリはいつも群れでやってきて農作物を荒らす手に負えない厄介物なのである。
ヒヨドリも自分が人間に嫌われているのを弁えているらしく、決して人に近づこうとしないし、人の姿を見るとすぐ飛び立って逃げてしまう。
だから、この公園のように人に馴れたヒヨドリがいることを知らなかったのである。





その内に他のヒヨドリまで集まってきて、私の手から米粒を啄み始めた。そんなやり取りが私のお握りがなくなるまで続いた。





最近、野鳥ばかりでなく、熊や猪や鹿など、人里に近づく野生の被害が問題なっている。

しかし、考えてみれば、彼らが人の生活域に姿を現すようになってきたのは、人が長年にわたって彼らの生息域を侵害し、その生存環境を奪ってきたからなのである。





もともと、地球は人間だけの独占物ではなく、地球上に生命を授かるあらゆる生命の共有物の筈なのである。
なのに人間はそれを自分たちだけの独占物のように妄想し、自らの富や利益のために自然や地球を壊し、他の生命の生存を脅かす営みを続けてきた。
悪いのは野生の生物ではなく、他ならぬ人類の方なのである。





人類も、もうそろ、貴重な自然や他の生命との共生のため、万物の霊長として真にふさわしい叡智を身につけることを迫られているのである。

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