そのお客様は、決まってORAEの空間を独り占めできる時間帯におこしになります。必ず窓際の席にお座りになり、コーヒーをご注文されます。お連れ様はいらっしゃいませんが、いつもお手元には本が置かれています。
静かに、静かに、ゆっくりと時間を味わうように過ごされ、お帰りになります。
ORAEから見える湖畔の景色を、心に浸透させるように見つめるまなざしは、優しくどこか無垢な感じがします。
ありがたく自店本位の考え方をさせて頂くと、そんな弊店での時間がその方の心の浄化につながっているような気がします。好きな時間、贅沢な時間、楽しみな時間・・・・誰にも告げず密かにそんな時間を持つ事は、心をニュートラルにしたい時、または余計なものを省くなんて時に必要な気がします。
ORAEはやはり、素晴らしい湖畔風景のお力を借りて、営みを続けさせて頂いているのだなあ、と思うと共にこのお客様に対し、1杯のコーヒーを価値あるコーヒーとして真剣にお入れしなければと思うのです。