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松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆質問から 自治基本条例の目的を「ひとづくり」とすべきではないか

2011-01-22 | 1.研究活動
 九州で、自治基本条例策定の委員をされている方から、「自治基本条例の目的を「ひとづくり」とすべきではないか」という質問をいただいた。

「ひとづくり」についてのご質問ですが、私は次のように考えています。

1.まず、この条例を何のために規定するかです。
(1)数年前までは、ニセコ町パターンをなぞったものが多く、ここでは、役所(+議会)をどう統制するかが目的で、したがって条例の記述は、役所の責務が中心でした。
(2)むろん、(1)も重要で、しっかりとやっていくべきであることは異論はありません。同時に、市民自身の問題も考えるべきではないかという私の問題意識です。簡単にいうと、役所をコントロールする市民自身が、もっと自立(自律)し、しっかりしないと、いいまちにならないからです。(2)のような発想が出てきたのは、この条例が市民参加でつくられるようになったからだと思います。

2.このように考えると、ご質問の「ひとづくり」を条例で規定する意味が明確になります。
 1の(1)では、「ひとづくり」は出てきません。「役所づくり」が主眼だからです。
 1の(2)になると、「ひとづくり」が重要なテーマになってきます。自治を担う市民の市民性が問題だからです。最近の条例では、この点を意識するようになってきたと思います(ただ、いまだ大半は、1の(1)が多いようですが)。私が関わった小田原市条例では、あえて市民を中心に論じています。

3.目的に「ひとづくり」を明示すること
 この条例の目的は「まちづくり」だと思います。「まち」の概念は、ハードの街だけでなく、ソフトのまちも含みます。ソフトとは、人と人とのふれあい、安心、信頼、歴史・文化などを含みますが、その重要な担い手は「ひと」であると思います。同時に、自然人以外に、自治会町内会という地域コミュニティ、NPO、企業も重要な担い手です。したがって、この条例の目的を「ひとづくり」とすることに躊躇を覚えます。狭すぎるよう感じるからです。

4.「ひとづくり」とは
 ひとづくりについて、条例に書かれていないわけではありません。ひとづくりとは、私たちが暮らす民主主義社会の中では、自立(自律し)、他者への配慮ができる市民をつくることだと思います。多くの条例で、こういった趣旨の規定が書かれますが、これは要するに「ひとづくり」をもう少し、具体的に書いたものだと思います。まちづくりにとって、重要であるからこそ、こうした「人づくり」に関する規定がおかれるのだと思います。

 以上、私が現時点で考えていることです。お考えをまとめる際の参考にしていただければ幸いです。
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