大和市は、知り合いも当事者なので、やりにくい。
専決処分には、2つある。ひとつが、議会が議決すべき事件について、議決できないような場合に、補充的・例外的に長が処分するものである(179条)。他のひとつが、軽易な事項で、長に任されているものである(180条)。
今回のケースは、179条である。
179条の専決処分ができるのは4つの場合で、①議会が成立しないとき、②113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、③長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、④議会において議決すべき事件を議決しないときである(179条1項)。
本件は、③の場合である。
「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」は、通常考えられるだけの時間の余裕をおいたのでは、時期を失することが明らかであると認められる場合である。
コロナ対策で、緊急措置として10万円が配られたが、このときは、とにかく今すぐ、急いでという雰囲気だったので、その補正予算は、専決処分された。
この「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである」かどうかの判断は、長に裁量権があるが、自由裁量ではなく覊束裁量とされている。長の判断に客観性がなかったら、議会の議決権の侵害となる。
専決処分後の大和市議会の臨時会では、この点も論点になっている。専決処分については2名の議員が指摘している。
なお、この問題は、条例の内容と密接に関係している。マスク条例は、全4条の条例で、第1条は目的、第2条は定義で、第3条、第4条が内容である。
第3条は、市の役割で、「市は、マスクの着用に係る意識の啓発等、この条例の目的を達成するために必要な施策を推進するものとする」という内容である。
第4条は、市民の役割で、「市民は、この条例の目的を達成するために、マスクの着用を心がけるよう努めるものとする」という内容になっている。
このような内容の条例が、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め」られるかである。
1名の議員さんは、「議会での議論や議決を経ることなく、専決処分とした理由は何か」とストレートに聞いている。
お答えいたしますとして、「新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する中、本市としても、遅滞なく感染症対策を進めることが重要でございます。本条例において感染拡大の防止に向けた市民へのメッセージを速やかに発信する必要から、専決処分として行ったものでございます」(令和2年5月臨時会-05月07日-01号)。
10万円の給付金なら理解できるが、マスクの着用を心がけるようにしましょうという内容が、「通常考えられるだけの時間の余裕をおいたのでは、時期を失することが明らかであると認められる場合」というのはやはり苦しい。このくらいの内容なら、市がまず大いにPRして、そのうえで、議会の大いに議論をして、市民の喚起を図った方がもっと有効ではないかと誰しも思う。
もう1名の議員さんは、その点を突いている。
「おもいやりマスク着用条例は罰則規定もなく、理念条例と位置づけられます。なので、緊急性は薄いと考えられます。マスク着用を啓発するのは通常の施策でもできますし、強調したいならマスク着用宣言でも事足ります。仮に条例にする場合でも、条例を臨時議会に諮るという前提で記者会見を4月中旬に行うこともできたはずです。なので、私は理念条例を専決処分するということが理解できませんし、議会制民主主義を否定するものだと捉えております。「そうだ」と呼ぶ者あり)
(略)専決処分の適用に関する市の考え方、スタンスはどのようなものであるか」。
答弁は、「本市の専決処分は、地方自治法の規定に基づき、普通地方公共団体の長において、議会の議決すべき事件について、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときに行っております」(令和2年5月臨時会-05月07日-01号)と答えている。問いに対して問で答えるような回答であるが、詳しく答えれば答えるほど、ドツボにはまるので、こう答えたのだろうか。
率直に言って、これで「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである」となれば、何でもありなので、議会は、あってなきが如くなってしまう。
マスク着用条例は、訴訟にならないので、このままいけるが、議会は、どう思っているのだろう。
それにしても、なぜ、大和市は、条例を急ぐのだろうか。
専決処分には、2つある。ひとつが、議会が議決すべき事件について、議決できないような場合に、補充的・例外的に長が処分するものである(179条)。他のひとつが、軽易な事項で、長に任されているものである(180条)。
今回のケースは、179条である。
179条の専決処分ができるのは4つの場合で、①議会が成立しないとき、②113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、③長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、④議会において議決すべき事件を議決しないときである(179条1項)。
本件は、③の場合である。
「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」は、通常考えられるだけの時間の余裕をおいたのでは、時期を失することが明らかであると認められる場合である。
コロナ対策で、緊急措置として10万円が配られたが、このときは、とにかく今すぐ、急いでという雰囲気だったので、その補正予算は、専決処分された。
この「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである」かどうかの判断は、長に裁量権があるが、自由裁量ではなく覊束裁量とされている。長の判断に客観性がなかったら、議会の議決権の侵害となる。
専決処分後の大和市議会の臨時会では、この点も論点になっている。専決処分については2名の議員が指摘している。
なお、この問題は、条例の内容と密接に関係している。マスク条例は、全4条の条例で、第1条は目的、第2条は定義で、第3条、第4条が内容である。
第3条は、市の役割で、「市は、マスクの着用に係る意識の啓発等、この条例の目的を達成するために必要な施策を推進するものとする」という内容である。
第4条は、市民の役割で、「市民は、この条例の目的を達成するために、マスクの着用を心がけるよう努めるものとする」という内容になっている。
このような内容の条例が、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め」られるかである。
1名の議員さんは、「議会での議論や議決を経ることなく、専決処分とした理由は何か」とストレートに聞いている。
お答えいたしますとして、「新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する中、本市としても、遅滞なく感染症対策を進めることが重要でございます。本条例において感染拡大の防止に向けた市民へのメッセージを速やかに発信する必要から、専決処分として行ったものでございます」(令和2年5月臨時会-05月07日-01号)。
10万円の給付金なら理解できるが、マスクの着用を心がけるようにしましょうという内容が、「通常考えられるだけの時間の余裕をおいたのでは、時期を失することが明らかであると認められる場合」というのはやはり苦しい。このくらいの内容なら、市がまず大いにPRして、そのうえで、議会の大いに議論をして、市民の喚起を図った方がもっと有効ではないかと誰しも思う。
もう1名の議員さんは、その点を突いている。
「おもいやりマスク着用条例は罰則規定もなく、理念条例と位置づけられます。なので、緊急性は薄いと考えられます。マスク着用を啓発するのは通常の施策でもできますし、強調したいならマスク着用宣言でも事足ります。仮に条例にする場合でも、条例を臨時議会に諮るという前提で記者会見を4月中旬に行うこともできたはずです。なので、私は理念条例を専決処分するということが理解できませんし、議会制民主主義を否定するものだと捉えております。「そうだ」と呼ぶ者あり)
(略)専決処分の適用に関する市の考え方、スタンスはどのようなものであるか」。
答弁は、「本市の専決処分は、地方自治法の規定に基づき、普通地方公共団体の長において、議会の議決すべき事件について、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときに行っております」(令和2年5月臨時会-05月07日-01号)と答えている。問いに対して問で答えるような回答であるが、詳しく答えれば答えるほど、ドツボにはまるので、こう答えたのだろうか。
率直に言って、これで「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかである」となれば、何でもありなので、議会は、あってなきが如くなってしまう。
マスク着用条例は、訴訟にならないので、このままいけるが、議会は、どう思っているのだろう。
それにしても、なぜ、大和市は、条例を急ぐのだろうか。