焼津市の自治基本条例に基づく大ワールドカフェに、ゼミ生たちと出かけた。
これは焼津市自治基本条例第17条の市民まちづくり集会に基づく大ワークショップである。市民まちづくり集会は、市民、行政、議会の3者が一堂に会して、まちの課題を考えるものである。愛知県新城市が最初であるが、焼津市で独自の進化を遂げている。
この日は、第2回目であるが、参加者は120名で、とりわけ議員さんについては、体調不良の1名を除き、全党で全員参加だった。
この日のテーマは、今年策定した地方創生の総合戦略を市民の暮らしに落とし込むことである。地方創生の総合戦略は、本来ならば、地域において、地域の人たちが知恵を出しながら策定していくのが筋であるが、国からの指令で1年以内につくらないと、地方創生をやる気がないとみなされて、お金が来なくなる。
そこで、焼津市でも役所がバタバタとつくる地方創生総合戦略になってしまった。お金が来ないと困るので、とりあえず、行政主導で総合戦略をつくるが、それは本来の筋とは違うので、せめて市民まちづくり集会で、市民に周知し、具体案の知恵を出してもらおうということになった。
今回は、問題提起が、若い市民のたちからだったこともあり、若者をキーワードにそれぞれのテーブルで意見交換が行われた。若者の政策が注目されるようになったのは、ほんの1,2年であるが、急速に若者が政策対象として認知されるようになったことを実感する。
この会では、テーブルを回って、発表を引き出し、コメントするというのが私のいつもの役割であるが、今回は、時間が押してしまい、ファシリテーターの今井邦人さんからの厳しい注文は、テーブルからの発言は30秒、私のコメントは10秒という無茶ぶりであったが、参加者も協力してくれて、参加者にとっては、満足度の高い大ワールドカフェになったと思う。
この日は、松下ゼミの3年生が8人参加した。お金がないので、各駅停車で焼津まで行った。いつものことであるが、焼津の人たちは、よそ者である私たちを快く迎え入れてくれて、学生たちは、どこのテーブルでもかわいがられたようだった。
この日は、焼津市の商用旅館のようなところに、みんなで泊まった。こんな雰囲気のところに泊まるのは、みんな初めてだろう。夜の食事では、焼津市の同じイニシャルになるIさん2名が、駆けつけてくれた(気も使ってくれた)。この2人は、自治基本条例を始めようという最初に、私の研究室を訪ねてくれた二人である。酔った勢いなのか、過分な褒め言葉をいただき、ゼミ生の手前、私は、ちょっと鼻が高かった。
その時、つくったのが、自治基本条例ズによる『自治基本条例はじめました』(音が出るので職場の公共の場所にいるときは、ご注意ください)である。
焼津市の自治基本条例検討委員会では、休憩時間にバンド演奏をしたが、それもこの2名が中心となって始めた。それが恒例になり、検討委員会の最後の会には、市民メンバーがそろって大合唱になった。市民と政策をつくるというのは、こういうことである。ちなみに、2名とも焼津市の枢要なポストについていて、どんどん偉い人になっているが、当然だと思う。