松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆少年町長、少年議会(遊佐町)

2017-05-14 | 1.研究活動
 日本における若者議会の先駆、山形県遊佐町を訪ねた。

 若者議会といえば、愛知県新城市であるが、そのルーツは、山形県遊佐町である。ここはすでに2003年から若者議会をやっている。正式名称は、遊佐町少年町長・少年議員公選事業である。そのいきさつや運用実態をヒアリングに行った。とても勉強になった。

 始まったきっかけは、自治体国際化協会(クレア)の記事とのことである。担当者が、イギリスの地方都市、ミドルズブラ市で行われている青年市長・区長(Young Mayor)の記事を読み、それを町長に話したところ、面白い、導入しようとなって始まったものとのことである。町長さんがイギリスに視察に行って、それで始まったとばかり思っていたので、新鮮な驚きだった。

 遊佐町のシステムは、少年町長と少年議員10名が選挙でえらばれるシステムで、二元代表制である(最近は定数一杯の立候補しかなく選挙がない)。少年議会として45万円の独自予算があり、これに基づく政策提案と有権者のアンケートから昇華した町への政策要望の二本立てになっている。両者の関係が分かりにくかったが、担当の方が、懇切に教えてくれて、よく理解できた。

 内容の詳細については、現在書いている本に載せたいと思うので、ここでは印象に残ったことをメモしておこう。

 1.学校の民主主義と学校外の民主主義。学校でも民主主義を学ぶが、こちらは学校外の民主主義である。違いは、学校のほうは机上の学びになるが、こちらは実践の中で民主主義を学ぶことになる。実践だから身につくということでもある。

 2.民主主義というとすぐに選挙である。しかし、選挙は下手をするとお任せ民主主義となりやすい。すぐに議会や議員に対する不満・不平民主主義になりやすい。確かに選挙も民主主義であるが、もっと基本的なことは、自らが当事者となって公共課題を考え、予算を執行する中で、民主主義の基本を学ぶことの大事さである。主権者教育というとすぐに選挙や投票であるが、こちらの方が、主権者教育の基本である。

 3.参加した学生がみるみる変わることのこと。これは新城市でも同じことが言われている。要するに、責任ある当事者になって、公共的な仕事をすると、人はどんどん変わっていくということである。若者だけでなく、むしろ大人にこういう機会をたくさん作るべきである。

 4.遊佐町では、所管は教育委員会の社会教育であるが、やはり若者議会は、政策課に置いた方が絶対よい。若者政策は、自治経営の問題なので、全庁内、全市ににらみがきき、政策としてリードできるセクションでないと荷が重いからである。
 5.面会した担当の方は、2月に新城市であったシンポジュームに参加したとのことであるが、新城市の市長、職員、そして若者に至るまで、一丸となって取り組んでいる熱量に非常に驚き、うらやましかったと話しておられた。新城市の市民まちづくり集会でも、他の自治体の人から、同じ話を聞いた。新城市の人たちは、外からこのようにみられていることに、きっと、気がついていないだろう。

 遊佐町は、海岸近くにある町営の湯楽里というホテルに泊まった。値段も安く、食事もうまく、何よりも温泉がとてもよかった。これは連れ合いの太鼓判なので間違いはない。

 今回の調査では、金山町のヒアリングも行った。羽州街道沿いに開けた宿場町で、白壁造の土蔵、地元の木材をふんだんに使った住い、まちづくりは、周囲の山々の緑に映える落ちついた街並みだった。これは 地道な街並みの保存運動の成果である。

 この日の宿は、銀山温泉にも泊まった。銀山温泉は、風評被害を逆手にとって、お客さんがまったく来ない時期に、まち全体のリニューアルを成し遂げた。若い人、外国人を中心に人があふれていた。

 今回の調査では、がんばっているところをたくさん見た。がんばっている姿は、気持ちがいいし、応援したくなる。






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