松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆忖度を考える(三浦半島)

2017-04-02 | 地方自治法と地方自治のはざまで
 ジムに行って、テレビを見ながら、自転車をこいでいると、先週は、大半が籠池問題だった。

 籠池さんは、キャラがたつので、ついつい引き込まれてしまうが、本来は、そうではなく、国会なのだから、他にもっときちんと議論すべきことがあるのではないかと思いながら、テレビを見ている人が多いと思う。これは、朝食後、きまってテレビをつけて、フジテレビのワイドショーを見るのが日課になっている、いわば普通の主婦である、わが連れ合いが、この国会審議に怒っているのだから間違いない。

 我が家の喫緊の課題は平和の問題である。北朝鮮には在日米軍を狙る専門部隊がいるそうで、北朝鮮のミサイルは、それに狙いをつけているとのことである。わが三浦半島には、第7艦隊がいるが、これは真っ先の標的だと思う。もし北朝鮮がミサイルを発射して、正確に空母に当たれば、それはそれであるが、その前にやや狙いが外れて、高層マンションの我が家を直撃するのではないかというのが、我が家の心配である。こうした国民の不安に対して、きちんと議論をするのが、国会の役割というのが、わが連れ合いの意見で、私もまったく同意である。

 籠池問題は、簡単な話である。まずはっきりしているのは、役所は組織を挙げて違法なことはしない。それができない組織だからである。ただ裁量の幅があるので、今回は、精一杯の裁量をしたのだろう。つまり違法ではないが妥当とは言えない裁量を行ったのだと思う。忖度のしすぎをやったのだと思う。

 良いか悪いかは、別にして、日本は忖度社会である。組織に勤めれば、「言われなくて気をまわせ」ということをいやというほど叩き込まれる。上司から命じられる前に、気働きをすることが求められる。社会人で、忖度をしたことがない人はいないだろう。忖度できないと、気が利かないやつだと言われて、組織からはじかれてしまう。

評論家の内橋克人さんは、「日本の企業はトップダウンではなくボトムアップだと言われて,企業の中に草の根民主主義のようなものがあるとおもわれがちだけれでも,それは多分に錯覚であって,本質は,下の者が上は何を望んでいるかをそん度してボトムアップしていく忖度社会」(日本株式会社批判 現代教養文庫 91年)であると指摘している。

 国や大阪府の役人は、安倍首相の奥さんの名前が出てきたので、要するに,気を使いすぎたのだと思う。忖度のし過ぎである。他方、安部さんの奥さんのほうは、そのように自分の名前が使われることになるので、注意すべきだったのに、配慮が足りなかった。それだけのことである。

 だから、役所の方は、裁量の幅を利かせすぎたことを反省し、今後は、そうならないようなルールやチェックをしていく方向に向かえばいいし、他方、安部さんの奥さんの行動もうかつだったので、今回のような問題が起こらないように、注意するとともに、そうならないような仕組みを整備していけばよい。事実は小説よりも奇なり、災い転じて福となすで、淡々と前向きに話を進めていけば、より公正で納得的な社会づくりに進んでいく。

 それを口利きなどがあったら首相を辞めると大見得を切ったり、忖度などない、書類は廃棄してしまったなどと言い張るから、話が混乱し、せっかくの災い転じて福となす機会を活かせなくなってしまった。その間、北朝鮮のミサイルはさらに増強され、中国との摩擦は強まり、アメリカのトランプさんはますます無茶を言い、イギリスはEUから離脱して、戦争をしない仕組みであるEUが、存続に危機に存していく。私たちの代表ともあろう人達が、馬鹿をうっている、これがワイドシューを見ながらの、我が連れ合いの怒りの源泉で、私も同意である。

 むろん、国会やマスコミのほうも言い分はあるのだろう。国民のニーズというか、レベルに合わせて、国民が楽しめる話題を提供しているのだというのが、彼ら(国会議員やマスコミ)の言い分なのだろう。ジムで自転車をこぎながら、「金子(きんす)」や「事実は小説よりも奇なり」を連発する籠池さんのテレビ中継を見ている私とすると、返す言葉がないが、言えることは、テレビを見ながら、自転車をこぐと、運動が捗るのも事実ということである。
 
忖度で思い出した。
 市役所のころ、市長説明の席で、市長がエンピツで机をコツコトと2,3度たたいたら、それは説明を早く切り上げろとの合図であるとの解説がまことしやかに語られていた。市長さんに聞いたわけではないので、その真偽は定かではないが、もし、市長さんが無意識にエンピツで机をたたてしまって、話が中途半端になってしまったことはないのだろうか、気になっている。

 小さな組織のトップにいたときに、たくさんの忖度の場面に出会った。忖度はうっとうしいが、慣れてくると心地よいものである。だから大いに注意すべきと自戒したが、どこまでできたのだろうか。

 今回の事件で私たちが学ぶべきは、人のふり見て、我が身をふり直せかもしれない。

 閑話休題。原稿に戻ろう。
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