松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市長選挙 統一地方選挙をみて(三浦半島)

2019-04-21 | 1.研究活動

  わが三浦半島では、40人を選ぶ市議会選挙で、50人も出ている。知っている人はほとんどいない。どうやって選んだらいいんだろう。

 総務省によると、2015年の統一地方選挙の投票率は、知事選挙が47.14%、都道府会議員選挙が45.05%、市区町村長選挙は50.02%、市区町村議会議員選挙が47.33%だった。市区町村長選挙は、なんとか50%を超えたが、軒並み50%を割り込んでいる。

 1951年は、いずれも80%以上あったので、30ポイント以上も下がっている計算となる。何よりも、問題なのは、毎年、右肩下がりになっていて、30%台突入もそう遠くない時期に起こってくるだろう。ちなみに4人も候補者が出た相模原市長選挙では、市会議員選挙と同日選挙であったが、投票率は48.91%だった。

 他方、国政選挙では、平成29年10月に行われた第48回衆議院議員総選挙では、53.68%、平成28年7月に行われた第24回参議院議員通常選挙では54.70%と低い数字になっている(乱高下が激しく、平成21年の衆議院選挙では、69.28%あった)。低い理由として、「投票率の伸び悩みは、野党が分裂して「政権選択選挙」の色合いが薄れたことも影響した」とみられると評価されている。

 国政選挙と比較して、地方の選挙は、直近の例でも、4ポイントから10ポイントくらい低い。国政選挙も、長期的には低落傾向であるが、ときによって乱高下があるのが特徴で、地方の場合は、ほぼ一貫して低落傾向であることと違いがある。

 両者が違ういくつかの理由があるが、
①市民のなかに、国と地方で軽重の意識がないだろうか。国立大学はすごくて、市立大学はちょっと下のような感覚である。国政選挙では、国民の義務感が出てくるが、地方ではそれが若干弱いといった感じである。
 ちなみに、私が教員採用の際に、国立大学と県立大学と私立大学の3つから声をかけてもらったが、条件は、私立大学が一番よく、国立―県立の順番だった。

②国政では、政権選択選挙のような争点を作りやすいが、地方では、あまりないこと。これは、国と地方の制度の違いに由来する。国は議院内閣制、地方は二元代表制である。議院内閣制は、政策競争を通して、甲党を選ぶか乙党を選ぶかの選択なので、争点を作りやすい。他方、二元代表制は、人を選ぶ制度なので、争点競争よりも人柄競争である。

 政策競争ではなく、人柄競争になると、地方では、どの党でも国政のような違いは表に出てこない。日米安保条約が防衛の基本と考える自民党でも、地元で米軍基地は、大いに結構と言ったら、たちまち選挙に落ちてしまう。理由付けはそれぞれあるが、地方では、米軍基地は返還という意見になる。つまり、地方自治は、AかBかの選択ではなく、現在の条件のなかで、与えられたAをどうすればラージAにできるかがポイントである。その分、迫力がないから、選挙は魅力がないものに映ってしまう。

 地方では人を選ぶとすると、①その人の人柄、②思い・やろうとしていること、③説得力や実行力などが、分からないと選びようがない。

 ポスターには、その一端が垣間見れるが、写真の修整技術は進んでいる。連写すれば、なにかに使える写真も撮れる(体験)。

 選挙公報にも、いろいろ書いてあるが、いいことばかりで、確かにその通りである。しかし、ご本人が本当にそう思っているか、それを実現できる力があるのかは分からない。親からは、「うまいことばかり言う人は注意しなさい」と教わってきたので、むしろ懐疑的になる。

 こんなことで、投票率がどんどん下がると、選挙に行く人は、限られたコアのメンバーだけになる。候補者は、その人たちだけを意識して、政治を行うようになる。そもそも投票率が30%にでもなったら、もはや代表制度とは言えないだろう。

 その改革は、いくつかのアプローチが可能であるが、一発逆転ホームランはない。むろん、私の関心は、公開政策討論会である。

 

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