平成23年に改正地方自治法が施行され、地方自治法第2条第4項の「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」 という規定が削除された。
これは4つの意味がある。
①策定要件(市町村に基本構想の策定を義務づけること)
②手続要件(基本構想の策定は、議会の議決を経ること)
③内容要件(基本構想は、地域における総合的かつ計画的な行政運営に資すること)
④実行要件(自治体経営は、基本構想に即して行われるべきこと)
これらの義務付けがなくなった。
むろんこれは、総合計画による計画的な市政運営がいらなくなったということではなく、法律による義務としての計画策定がいらなくなったというのにすぎず、自治体が自分たちのニーズと使い方を考えて、総合計画をどうするか、考えろということである。
ここでの論点は、③の内容要件である。これまでは、地域における総合的かつ計画的な「行政運営」に図るための計画だったが、従前通り、行政計画にとどめるのか、公共の担い手の多様化に対応するため、公共計画と位置づけ、この計画の主体に市民(自治会、町内会、NPO等も含む)位置づけるかの違いとなる。
総合計画(基本構想や基本計画)を新たに策定する時期には、必ず、①から④までの議論が必要になる。①や②の議論は、それなりに、ほとんどのところで行わえていると思われるが、③の内容要件については、明確に意識されて、方向性が決定されているのだろうか。
自治基本条例や協働の理念が浸透していれば、必ず、この③の議論は出てくるだろう。自治基本条例や協働の理念が、体にしみこんでいないと、前例踏襲で、議論なく行政計画で行こうという話になってくる。
総合計画は、これまで委員を頼まれてもお断りしてたので、それぞれの自治体で、どんな議論があったのか、聞いたことがなかった。今回、相模原市で初めて、新たな総合計画をつくる審議会の委員になった(白岡市で総合計画の委員長をやったが、後期計画で、議論のしようがなかった)。今のところ、相模原市は、行政計画の体裁であるが、行政も行政計画と言っているので、どんな議論があってこのように決めたのか、聞いてみようと思う。
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