松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市民参加(大阪・三浦半島)

2013-02-25 | 1.研究活動
 大阪の自治体職員のみんなと書いている『熟議の市民参加』の原稿がだいぶ書けた。
 ここ数日、研修も講演もないので、集中して手直しをした。8万字くらいあったのが、ようやく6万5千字くらいになった。あと5千字くらいをカットすると、完成だろう。
 削るところがなくなってきたということは、あと一息ということだと思う。
 「はじめに」はざっとこんな感じである。
 
はじめに
 自治体の政策づくりにおいて、市民参加はデュープロセスとなった。自治体の決定に市民が加わらないと、その適正さが疑われるようになった。市民参加の内容についても、形だけの参加ではなく、参加の実質化を問う段階になった。単に市民が参加したというだけでは足りず、内実を伴う市民参加が行われたかどうかが問われるようになった。
 このように、今日では、市民参加は一般化し、また深化もしたが、依然として克服すべき課題も多く残っている。
 本来ならば、市民参加である以上、広範な市民が参加することが期待されるが、現実はいつも同じ市民ばかりの参加が目立っている。また全体に高齢者の占める比率が多く、若者の参加はきわめて低調である。これでは、せっかくの市民参加も市民全体の声を反映していないのではないかという謗りを受けることになる。
 また、たしかに市民は参加しているが、そこで行われた議論が、果たして実質を伴っているのかという疑問もある。依然として行政側もアリバイ的な参加でよしとし、参加している市民のほうも、その場の単なる思いつきで発言し、あるいは単に自己主張を繰り返しているのではないかという疑問もある。つまり市民の英知を結集するための熟議が行われていないのではないかという疑念である。
 市民参加は住民自治の具体化であるが、こうした疑念は、市民参加の正当性にかかわり、ひいては住民自治そのものの正当性にかかわってくる。
 本書の目的は、こうした市民参加の課題を乗り越えようとする新たな試みを紹介するものである。市民参加の先進国ドイツに学びつつ、それを日本の地方自治の現状に合わせて、考えてみようという試みでもある。

 夏には本になるだろうか。
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