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アットホームな明礬泉のお宿・湯元屋

2009-07-03 10:13:10 | 大分の温泉など
 別府・明礬温泉。意外なことに、明礬温泉において本当に明礬泉はここ湯元屋だけだといいます。他も硫化水素泉に酸性泉、緑礬泉と狭い地区に泉質がひしめき合っているのですが……。


 ちなみに明礬泉は療養泉の種類でいえば含アルミニウム泉。1kgの温泉水のうちアルミニウムが100mg以上入っているものが含アルミニウム泉になるのですが、明礬温泉の中でもそれに該当する湯はここだけなのです。それに惹かれて泊まってきました。明礬温泉の入口の狭い坂道に入ると、鶴寿泉の斜め前に湯元屋があります。旅館というより民宿、というか親戚のうちといったたたずまいが親しみやすい。


 網戸になった玄関をあけると、女将さんが「いらっしゃい」と迎えてくれました。いきなりアットホームな大分弁のタメ口、女将さんというより「おばちゃん」というような感じです。こっちもまったくタメ口で口きけそうな雰囲気がホントに親戚のうちのようです。お部屋もこんな感じです。和室にカーペットがしいてあります。手作りのクッキーでおもてなししてくれます。手作りのバターの味がしてさくさくとした歯ざわり。懐かしい味です。クッキーと一緒に、このあたりの地図やイベント告知の新聞などを持ってきてくれて、しばしおしゃべり。明礬温泉も若い人が中心になって町おこしがさかんになってきているそうです♪


 たしかに明礬温泉あたりは懐かしい里の路地を散策しながらさまざまな泉質(別府にある10の泉質のうち5つくらいが集中している)を楽しめるのがなんとも魅力です。


部屋
部屋おもてなし



 廊下は昭和の佇まい。


廊下



 洗面所は共同、タイルが懐かしい感じです。トイレは洋式にはウォシュレットがついていました。


洗面所



 蛇口などが真っ黒に変色しているのが、泉質の濃さを想像させます(硫黄泉系で濃いところは金属がすぐに変色するのです)。一日4組までだそうですが平日のこの日は私の貸切でした。いよいよ「親戚のうち」感全開です(笑)。


 さっそく、明礬泉の温泉へ。湯元屋は露天と内湯と1つずつ温泉があります。もちろん貸切使用、24時間利用可。


露天風呂



 いきなり露天に入ろうとしたら…… 熱い! ハンパない熱さ! 我慢を超えてる!


 湯船の中に出る水道はもちろん、カランの水道を洗面器にためて次々湯船に入れたのですが、埋めても埋めてもいっこうに適温になりません。ちなみにシャワーはなし(そのうちカランの水道も止まってしまいました)。おばちゃんにいうと「自分で好きな温度に埋めて」。しばらく水(湯船のほう)出しっぱなしにしといて、それまで内湯で我慢してとのことで内湯に入りました。内湯はちょうどよい湯加減。薄く濁った湯はレモンのように苦酸っぱい味で後口がなぜか爽やか(口内炎がある人はしみるかも!)。


内湯



 PH2と強酸性の湯ですが、加水してあるせいか口の中がシワシワになる感じまでは至りません。ですが、シャワーがないので、この湯船の強酸湯で髪も洗います。真水は水しかない! この状況、秋田の秘湯「鶴の湯」を思わせます。あそこも強酸泉の湯もしくは真水は冷水しかなかったはず。ボディソープとリンスインシャンプーと固形石鹸が備えてあり、泡はとてもよく立ちましたが、髪へのダメージが心配だったので、仕上げは冷水をかぶりました。民宿風のたたずまいですが、タオル・バスタオル・浴衣はちゃんと用意してあります。ドライヤーもいえば貸してくれます。


 お風呂あと、熱をさますべく、夕食までの間、明礬地区を散歩してみました。


明礬



 宿の前の道をのぼると湯の花小屋があり、そこかしこから噴気がふきだしています。この噴気は前にもかきましたがスペインあたりでは禁煙や花粉症、ぜんそく治療に使う天然の硫化水素です。思わず吸い込んでみます。熱いゆで卵の匂いが強烈に鼻に飛び込み、長い時間は無理でした。坂をあがりきったところには、地獄蒸しプリンがあります。


 帰ってくると「夕ご飯にする?」と出迎えられます。


 食事は朝夕部屋にて。


ディナー



 お膳で一気に出してくれるお気楽方式。肉陶板焼きに煮魚、刺身、茶碗むし、海老フライと、結構なボリュームです。中でもカレイ煮付けが、ちょっと食べたことのない美味! 口の中でホロホロっとくずれる身がなんとも甘くておいしい。


朝食



 朝は食後のコーヒーももってきてくれます。


 出発時、「またおいでね~」と手をふってくれました。温泉がある親戚のうちにお世話になったような、アットホームで寛げるお宿でした。


 豪華さはありませんが、気が張らないもてなしに気楽さ(値段も気楽ですね♪)、そして好きなときに入れる濃いお湯は本当に魅力です。汗を抑えるのに明礬水がいいといいますから、汗どめの効果があるかもしれないですね♪ いずれもこれからの季節には特にお勧めの泉質といえるでしょう。


 髪の毛を洗えるシャワー(真水のお湯)がないのが女性にはちょっとキツイですが、髪洗い機能が充実している岡本屋さんか、えびすやさんに外湯しにいくとよいでせ
う。


 湯元屋
 1泊8000円くらい~
 温泉は貸切で400円。(人数問わず一人当たり)
 http://www.yumotoyaryokan.jp/index.htm







蛍川荘が日帰り湯になっていました。残念

2009-06-26 10:20:49 | 大分の温泉など
 蛍のシーズンですね。ホタルと言えば、流れぞいに壁湯温泉や宝泉寺温泉がある町田川を思い出します。ここに蛍の名前がつく老舗宿が川底温泉・蛍川荘です。


老舗宿,川底温泉・蛍川荘



 湯治風情があふれる湯は知る人ぞ知る名湯で有名ですが、江戸時代・安政3(1856)年に、当時の庄屋が川底に石を敷き詰め湯小屋を建てて温泉を開業したのが始まりだといいます。湯船の底に漬物石のような石が敷かれ、そこから透明な温泉がわきだしているわけですが、つまり石ごろごろの温泉は江戸時代の姿のままなんです。最近までれっきとした宿だったのですが、残念ながら泊まれなくなってしまっていました。


 しかし日帰りで立ち寄り入浴してきました。土曜日でも午前中だったせいか他のお客さんはおらず、管理していたおばあちゃんのはからいで混浴の広い温泉を独り占めすることができました(女湯もあります)。


混浴の広い温泉



 石ごろごろ温泉は打たせ湯のほうから3つにわかれており、手前が一番ぬるい気がしました。れっきとした源泉かけ流し。PH6.7と中性、町田川ぞいでは少し珍しいナトリウム塩化物泉です。保湿成分メタケイ酸が256mgも含まれており、そのままで化粧水効果が見込めそうな素晴らしいお湯です。


 ただ源泉温度88度なので加水はありですが、加水の水も飲んでみましたが美味しい水でした。湯触りは目立ったヌル付きなどはありませんが、本当に柔らかく、混浴じゃなかったらずーっと長湯したい感じでした。


石ごろごろ温泉




 漬物石状の石は足裏の刺激、バランス感覚を鍛えるのにもよさそうです。できれば宿泊を再開してほしいです。


 蛍川荘
 大分県玖珠郡九重町菅原1453







「旅」が実感できる絶景の宿・東匠庵

2009-01-30 12:29:57 | 大分の温泉など
 東京カレンダーも無事発売されましたので、誌面で書けなかったレポなどを少しずつ書いていきますね。まずは今回、泊まったうちの1軒「東匠庵」さんを。以前にもここで絶景のラウンジの様子などを書きましたが、泊まると本当に素敵な宿でした。


 「東匠庵」は由布院の温泉街を離れた住宅地の中にあります。おかげで由布院の田園地帯と街を前に置いた由布岳の雄大な姿を館内のいたるところから見ることができます。写真はラウンジのカウンターごしに。東京カレンダーより遅い時間に撮影したもの。


ラウンジ



 そしてこの宿の最大の特徴、それが由布岳をバックに走る久大線を間近に見ることができるのです。ディーゼル区間のおかげで電線がない久大線ゆえに、「ゆふいんの森」号や赤や黄色の、おもちゃみたいなローカル線がトコトコ走っていく姿が邪魔なものなしに見える!


 1時間に1~2本程度で見えるこれが本当にかわいくて、かつ意外に大きく見えて、同行したカメラマンさんも「こんなに大きく見るとは思わなかった!」とびっくりしていました(東京カレンダーの誌面ではいまいち、大きく見えないですが、裸眼で見るともっと大きいです)。眼をよ~くこらすと、街の中に特徴ある由布院駅の屋根が見えます。そこへカーブしながら走っていく列車の姿は本当にけなげで、旅情を感じます。あとに残された、夕日に光るレールも、「これが青森とか北海道までつながってるんだなあ……」と思うと感慨深いです。


部屋1部屋2



浴衣 露天風呂付きの客室7部屋のお宿なのですが、特におすすめは2階の3つの並び。この3部屋には、由布岳に向かう大きな窓にカウンターがしつらえられています。今回泊めていただいた「夕菅(ゆうすげ)」は中でも客室からの眺めが最高にいいです。






 カウンターの椅子もらくちん。ここでくつろぎながら、時とともに色を変えていく由布岳と空、時報のようにときおり行く列車を眺めていると、こちらが殺伐とした日常を過ごしている間にも、由布院は毎日このように美しい変化を繰り返しているんだろうなあ、などと感傷的になったりして(となりの「竜胆(りんどう)」は由布岳に向かって張り出すように作られた露天風呂からの眺めが良し)。


 元は大分で料亭を開いていたという森内夫妻が営む東匠庵、大分時代のお客が繰り返し訪れるというだけあり、お料理も上品で美味しい。


ディナー1ディナー2ディナー3

ディナー4ディナー5


 写真は夕食の一部ですが、うつっていない前菜も大粒のしじみのめんたいあえや、地鶏のくんせいやら、最初からお酒がすすみそうな(笑)思い出して唾飲み込みました。全体的に関西風にダシが効いた正統派の和食といえると思います。このダシが美味しい。


 しゃぶしゃぶなどは豊後牛の旨さもさることながら、それを浸すダシが主役のように思える美味で、タレはいらなかったです(いちおうポン酢とごまだれと選べる)。女将さんによるとお客様の要望でうどんをつけはじめたということですが、そのお客様グッジョブ! 本当にうま~い!


 牛肉の脂の濃厚な香りを含んだ美味しいダシに、うどんは本当においしいです。ぎんなんを搗きこんだ焼き餅を浮かべた大麦茶漬けは圧巻でした。香ばしくてモチモチプチプチしててとろんとした葛のダシが。繊細な食感をあますところなく楽しませてくれる嬉しい〆です。


 一般的な「由布院」のイメージだと、もう少し野菜料理(朝ごはんの漬物とか)があってもいい気もしますが、今のままでも洗練されているし、なにしろ量がちょうどいい。満足だけどそこまで苦しくはならない、というこの匙加減はさすがです。余談ですが、デザートのシャーベットがこれまた果肉感があって美味しかった♪ 5種類から選べます。私が選んだのは野イチゴ。デザートはラウンジで場所を変えていただくこともできるそうで、それがお勧めです。


 燃える囲炉裏のまわりでもいいし、星影に浮かび上がる由布岳と由布岳の夜景を眺めながらでもいい。写真は朝ごはん。後ろは湯豆腐です。


朝ごはん



 私が泊まった「夕菅」の部屋には檜風呂がついています。ここだけ厳密にいえば露天ではなく、大きな窓をあければ半露天状態という温泉なのですが、寒い時分だったので逆に気に入りました。温泉で温まってから窓をあければ、夜の由布岳が浮かび上がります。


温泉



 ここでお湯に温まりながら待つことしばし。窓の外を列車が、緑がかった閃光とともに、由布院の街明かりの中に滑り込んでいくのが見えました。それは星雲の中に滑り込んでいく銀河鉄道みたい! それをなんとか写真に撮りたいと、お風呂の中にデジカメを持ち込んで待っていると、由布岳の山裾から真っ赤な満月が顔を出し、その色にびっくりしました。そうこうしているうちに、あたりがだんだん霞んできて、列車の窓から漏れる光がいよいよ幻想的に。朝霧になるのかな、と思ったら案の定翌朝は真白、由布岳も線路もなにもかも霧に隠れていました。女将さんによるとそれが晴れるところがまたドラマチックらしいですが、次の取材のためそれを見ることなく出発したのがすごく心残りでした。


 しかし長湯したせいか、ゆっくり眠れて、おかげでお肌の調子がよいこと。温泉はもちろん源泉かけ流し、部屋露天のほかに男女別の露天風呂もあり、ここからの由布岳や久大線の眺めもいいです。銀河鉄道の撮影はことごとく失敗しましたが、写真は「夕菅」の檜風呂に浸かりながら撮影した夜の由布岳。


夜の由布岳



 東匠庵
 HP:http://tosyoan.com/






フグと源泉と仏様がありがたい臼杵の宿

2009-01-09 10:27:58 | 大分の温泉など
 あけましておめでとうございます。


 今年も温泉&ぐうたら宿ヲタク(笑)度にますます磨きをかけたいと思いますのでよろしくお願いいたします。温泉関連の学会にも入ろうかなあとか考えてます。


 さて8日発売の「大人のウォーカー」で訪れた「湯の宿 うすき亭」。宿についての詳しくは大人のウォーカーを読んでもらえるとありがたいですが、誌面に収まりきれなかったこぼれ情報をここで書きます。


 臼杵に出来た待望の「夕食でフグが食べられて温泉もあるお宿」のうすき亭ですが、お湯は本当にGOODです! 温泉に入っていると何人ものお客さんが


 「ここはお湯がいいわ~」とか


 「とろっとしてるもんね~」と


 うっとりと話しているのが聞こえてきました。


 溶存物質3500mgという濃い食塩泉はヒスイみたいな緑色。ホウ酸も多めに含まれていて、眼にも効きそう、というか実際に効いたお客さんもいるとのことでした。


 泊まり客は源泉かけ流しの貸切風呂(内湯と露天と選べる)に無料で入れるのでお湯目当ての人は泊まりをお勧めします。ちなみに素泊まりもOK(6室しかないのにビジホ値段です)で畳敷き(廊下も畳敷きなのでスリッパがいりません)で木造りの新しい和室(なぜか鍵の部屋とカードキーの部屋がある)に泊まれるのも落ち着きますよ(^0^)。


部屋


 部屋につくと写真のように、すでにフトンが敷いてありました。フロントをはじめサービスも丁寧で感じがいいです。


部屋


 フグ(←美味しくて量がたっぷりです。せっかくのぞうすいが食べきれなかったのが悔しい)が贅沢すぎ、と思うのであれば食堂もあるのでそこで定食やウドンなどもチョイスできます。


 写真は朝食。テーブルのレストラン(というか食事処)にていただきます。コーヒーもセルフサービスでついています。


朝食



 さて、この宿の広い敷地内には仏殿が3つ点在しており、宿泊者はこちらの拝観料も無料です。


 フグに備えて腹ごなし、と散策してみたのですが、これがかなり壮観!


 事前にみておいた公式HPにある写真はイマイチ(スイマセン;)だったのでそれほど期待していなかったのですが、本物は度肝を抜かれました。


 特に大仏殿にある9mの薬師如来さまは素晴らしかったです。


 本当に大きい! 圧倒されます。


 小仏殿に安置されている不動八大童子は色鮮やかでポップで可愛く(失礼かな)、「あの像の髪型が好き♪」…… などとみていると退屈しません。


 なでると願いがかなう水晶も置いてあり、しっかりお願いしてきました。


 ところで、なぜ宿の敷地内に仏殿があるのか…… については誌面でお確かめくださいm( _ _ ) m


 臼杵石仏の近くにあるのも便利な、心も体も癒される温泉宿でした。



 臼杵 湯の里 湯の宿 うすき亭
 HP: http://usuki-yunosato.com/index.html




24時間貸切OKの美肌湯堪能宿 湯ノ釣温泉・渓仙閣

2008-12-19 12:58:11 | 大分の温泉など
 休みなく取材&仕事の日々です。昨日まで09年1月21日発売の「東京カレンダー」の取材で九州を走り回っておりました。新しい宿の特集だったのですが、個性的な魅力がある宿ばかりで役得満喫でした~♪ 原稿を書き終わったら、原稿と重複しない部分のことなどここで書きますのでお楽しみに。詳しくは「東京カレンダー(九州では大きな書店で手に入る)」をご覧くださいね。


 さて、先日(あの、雪が降った前日に泊まった)の宿・湯ノ釣温泉にある渓仙閣のレポです。天ケ瀬から玖珠方面に少々行ったところにある国道沿いにある源泉かけ流しのこの宿、前からずっとチェックしていたのですが、なかなか訪れるチャンスがなく、今回前日に電話をかけたところ一人でもあっさり予約がとれました♪ 大変感じいいです。


 ただ当日は、申し訳ないことにかなり到着が遅れてしまい、しかもすでに雪が降りしきっていたのですが、遅れると連絡した時や、着いた時のスタッフの対応などとても温かいものでした。寒い外からようやく到着してスタッフの感じがいいとすごくほっとしますよね。


 全10室、3階建ての建物は、正直なところ鉄筋に、ロビーまわりはリノリウムばりの床、蛍光灯のような明るさ…… と出会った時の風情はあんまりない(スイマセン)。情報誌を見ると平成9年築とのことで、清潔感はあります。到着したのが昼なら、碧に流れていく玖珠川ぞいに奇岩がそそりたつ風景が窓から見えて印象が違ったんだろうなあとおもいます。この風景は全客室からも露天からも眺められます。お部屋は清潔感ばっちりで、大きな冷蔵庫がついていました。ドリンク持ち込みOK。


部屋



 しかし、「温泉は24時間、貸切でご利用できます」この案内を受けて、一人で色めきだちました(笑)。一部、時間帯によって男女別はあるのですが、館内に4か所ある温泉は基本的に貸切利用、しかも24時間(掃除のとき以外)利用~! 九州で24時間利用の温泉は少数派(なんでかな?酒飲みが多いから事故が多いのかな?)なので、ここで私の中のポイントがものすごくあがりました(笑)。さっそく内湯を利用します。タオルが積んであり、アメニティもひととおり置いてあるので浴衣を着ていけば手ぶらでOKです。


 また、このお湯がよい。透明、少し黒ずんで見えるような温泉は、柔らかく保湿力があります(なめると甘苦さがあるしょっぱさ)。乾燥肌な私は持参のホホバオイルのみちょっぴりつけましたが、化粧水なしで十分ふっくらしていました。成分表を見るとやはり保湿成分のメタケイ酸が192mgも含まれています。PHは7.4で弱アルカリ性。泉質はナトリウム―炭酸水素塩・塩化物泉、すなわち肌の汚れを落とす重曹と体を温める食塩…… という美肌→保温&保湿が揃った湯ということになります。湯口から源泉のままの温泉を洗面器にとって、それで顔を洗い、かつ湯上がりにもたっぷりかぶりました。


 食事はオーソドックスな山の幸という感じです。豊後牛、刺身、鯉こく、鮎、揚げたての天ぷらなどなど。最初にずらっと並び、天ぷらなど温かいメニューなどが一部、あとから出てきます。


ディナー



 2人で泊まると1万円、しかも朝夕部屋食の宿と考えればボリューム、味とも合格(スイマセン・偉そうで)だと思いますが、もうちょっと野菜メニュー(漬物あたりとか)が充実しているるほうが私好みではあるかな……。とくに豊後牛がかなり美味しかった。陶版の上に乗って出てきたのがつくづく惜しかったです。前にも書きましたが、この状態で火を付けるとどんなに美味しい肉でもまずくなってしまいます。まあ、こういう場合はスタッフに火をつけてもらわないようにして、他のメニューを食べた皿に牛肉をいったん退避させる。それからおもむろに火をつけてから皿を温め、熱くなってから肉をさっと焼く……という風にやると美味しくいただけます。


 もちろんそのようにしていただきましたが、1万円代前半のお宿にしては、なかなかいい肉で、ついてきた焼肉のたれより、お刺身のお醤油でいただくほうが肉そのものの美味しさが味わえるほどでした。写真は朝ごはんです。


朝食



 翌朝、起きると雪でした。対岸の羅漢の風景が雪でかすんで見えるほど。こりゃー雪見風呂じゃ、と小躍りして露天に向かいました。しかしハンパなく寒いっ! 寒い脱衣スペース(ここもほとんど露天です)からかけ湯するのももどかしく温泉に飛び込んでしばし。ようやく体がほぐれ、安堵とともに吐き出される白い息の向こうに雪の羅漢を眺めたのでした。それにしても肩まで温泉につかりつつの雪の羅漢の風景ひとりじめ、はとても得した気分でした。


露天風呂



 ゆっくり朝湯したせいか、湯あがりはホカホカでした。そのあとの雪の山口行もあまり寒く感じなかったのはこの朝の長湯の保温作用のおかげかもしれませんね。気をよくして朝ごはんの後もチェックアウトギリギリまで露天を堪能していたら、オーナーがコーヒーをサービスしてくれました。


 一人旅OK・風景良し・部屋食・貸切露天・24時間風呂・源泉かけながし・あまけに泉質良好。料理やお部屋に派手さはないですが、1万円の宿(ひとり旅だと1万2750円)としては満足度は高かったと思います。ぜひまたのんびりしに行きたいですね。


 湯ノ釣温泉 渓仙閣
 http://www.wakadanna.com/oita/keisenkaku.html