温泉はつけたままあがる? それとも洗い流す?

2008-12-26 10:16:00 | 温泉談義
 偉いセンセイの中には「温泉は絶対につけたままがよい」とおっしゃる方もいるようですが……。私でいいますと


 「泉質がお肌にあっていて、かつ清潔なお湯の場合はつけたままにするが、それ以外はシャワーで軽く洗い流す」


ですね。


 理由は2つ。1つは


 1.どんな温泉もお肌にあうわけではない


からです。


 私の場合はアトピー持ちの乾燥系(脂もあまり出ない)敏感肌なので、酸性度が強い硫黄泉などに入ってそのままにすると痒くて眠れなかったり、かきむしりすぎて一夜にして「因幡の白ウサギ」のようになってしまうことが体調によってあります。温泉は肌(=角質表面)につけたままにしなくても、有効成分は毛穴や皮脂腺・もしくは湯気から呼吸器を通じて体内から血管へと吸収されている(by 温泉観光士の養成講座より)ので洗い流しても保温効果などはシッカリ作用するらしい。なので乾燥しそうな感じの温泉は、肌の調子がよいときに入り、かつ湯あがりは軽く洗い流して(強い酸性の温泉は軽く流せば弱酸性になる)保湿をしっかりと行います。


 ただし、これは「私の場合」の話であって、例えば脂性肌の方などは酸性度の強い硫黄泉は脂の分泌を抑えるので逆にいい感じになることもありえます。薄毛(脂性の)で悩んでいる女性が硫黄泉で何日か洗ったら髪が濃くなってきた、とか、脂性で毛穴が目立ちきめの粗いお肌で悩んでいた女性が硫黄泉で顔を洗い続けていたらきめが細かくなり色白な印象に変わった…… なんて話もききます。温泉は人によって、もしくはその日の体調によって合う・合わないがあるので、体質が敏感な人は泉質をよくみて体表に残す湯については慎重になったほうがよいと思います。


 2.免疫力の問題


 大勢の人が入る温泉はいろいろな人の肌についた常在菌がたくさん入っています。本来は体に備わっている免疫力が余裕で勝るので問題ないはずなのですが、アトピーな私の場合はちょっと注意しないといけないのです。

 アトピー=免疫疾患であるという点。


 もう1つ、アトピーゆえに体の表面に掻き傷があることがある。以前(あまり注意しないで温泉にバンバン入っていた頃ですが)、ただでさえ免疫力がないのに、温泉取材の時間をつくるために無理して何日もの寝不足がたたったせいか、温泉で(たぶん)ウイルス性イボに感染したことがあります。イボウイルス(ヒトパピローマウイルスの1種)は、ものすごく弱いウイルスなのですが、そのときは免疫力がマジで弱っていたのでしょう。アトピーでひびわれた手の指の関節部分にしっかりイボができてしまい、半年それで不自由な生活を強いられましたorz


 安心のために書いておきますが、イボウイルスは健康な人の角質表面についても発病しません。免疫力が弱っているところへ、角質表面に小さな傷があるとそこから感染します。


 江戸時代ならいざしらず、現代人は清潔に育ちすぎていて、細菌やウイルスに対する免疫が本当に弱まっているともいいます。免疫力に自信がない人の場合は、休日の日帰り温泉など、不特定多数の人が入った浴槽の湯をつけたままにするのはやめたほうがいいかも…… と私は思います。免疫力ないかも…… な状態を具体的にあげますと、


 ・連日の残業や暴飲暴食で体が疲れている
 ・アトピー&アレルギー体質
 ・病み上がり
 ・60年代以降に車の多い都心部の土のない家(団地やマンション)で生まれ育った


 人は、免疫力が低い可能性があると思います。まあ、見ていくそばからお湯が入れ替わっていくようなところ(1時間で浴槽の湯が全部入れ替わるようですと、細菌類は増殖しないらしい)や、平日で貸切になっちゃっているような穴場については、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。


美肌温泉イメージ それでも、せっかく成分が豊富な美肌温泉、できれば体につけたままにしたい、というのはあると思います。私もそうですし……。免疫力に自信がないけれど、あえて温泉を体につけたい場合は、湯口からきれいなお湯を桶にとっておき、それで仕上げに体を流すのがいいと思います。かけ湯用にきれいな温泉を別に用意してあったり、シャワーも温泉だったり、という施設はたくさんありますので、そういうところはありがたいですね。客ごとにお湯を入れ替える貸切風呂などは、その贅沢さが文字通り身にしみます。


 もっとも、いくら細菌やウイルスに対して安全でも、塩素をたくさん添加してある循環温泉はそもそもアトピーの大敵なので、そういう温泉は入りたくないですねえ。ただ、そういう温泉でも、水面より湯口が上にある場合は、そこから出てくるお湯だけは「循環していない新しい温泉」です。厚生労働省の指導で、循環したお湯は水中から出さなくてはならないと決まっているからです。


 だからといってむやみに湯口のお湯を独り占めしないように……。





24時間貸切OKの美肌湯堪能宿 湯ノ釣温泉・渓仙閣

2008-12-19 12:58:11 | 大分の温泉など
 休みなく取材&仕事の日々です。昨日まで09年1月21日発売の「東京カレンダー」の取材で九州を走り回っておりました。新しい宿の特集だったのですが、個性的な魅力がある宿ばかりで役得満喫でした~♪ 原稿を書き終わったら、原稿と重複しない部分のことなどここで書きますのでお楽しみに。詳しくは「東京カレンダー(九州では大きな書店で手に入る)」をご覧くださいね。


 さて、先日(あの、雪が降った前日に泊まった)の宿・湯ノ釣温泉にある渓仙閣のレポです。天ケ瀬から玖珠方面に少々行ったところにある国道沿いにある源泉かけ流しのこの宿、前からずっとチェックしていたのですが、なかなか訪れるチャンスがなく、今回前日に電話をかけたところ一人でもあっさり予約がとれました♪ 大変感じいいです。


 ただ当日は、申し訳ないことにかなり到着が遅れてしまい、しかもすでに雪が降りしきっていたのですが、遅れると連絡した時や、着いた時のスタッフの対応などとても温かいものでした。寒い外からようやく到着してスタッフの感じがいいとすごくほっとしますよね。


 全10室、3階建ての建物は、正直なところ鉄筋に、ロビーまわりはリノリウムばりの床、蛍光灯のような明るさ…… と出会った時の風情はあんまりない(スイマセン)。情報誌を見ると平成9年築とのことで、清潔感はあります。到着したのが昼なら、碧に流れていく玖珠川ぞいに奇岩がそそりたつ風景が窓から見えて印象が違ったんだろうなあとおもいます。この風景は全客室からも露天からも眺められます。お部屋は清潔感ばっちりで、大きな冷蔵庫がついていました。ドリンク持ち込みOK。


部屋



 しかし、「温泉は24時間、貸切でご利用できます」この案内を受けて、一人で色めきだちました(笑)。一部、時間帯によって男女別はあるのですが、館内に4か所ある温泉は基本的に貸切利用、しかも24時間(掃除のとき以外)利用~! 九州で24時間利用の温泉は少数派(なんでかな?酒飲みが多いから事故が多いのかな?)なので、ここで私の中のポイントがものすごくあがりました(笑)。さっそく内湯を利用します。タオルが積んであり、アメニティもひととおり置いてあるので浴衣を着ていけば手ぶらでOKです。


 また、このお湯がよい。透明、少し黒ずんで見えるような温泉は、柔らかく保湿力があります(なめると甘苦さがあるしょっぱさ)。乾燥肌な私は持参のホホバオイルのみちょっぴりつけましたが、化粧水なしで十分ふっくらしていました。成分表を見るとやはり保湿成分のメタケイ酸が192mgも含まれています。PHは7.4で弱アルカリ性。泉質はナトリウム―炭酸水素塩・塩化物泉、すなわち肌の汚れを落とす重曹と体を温める食塩…… という美肌→保温&保湿が揃った湯ということになります。湯口から源泉のままの温泉を洗面器にとって、それで顔を洗い、かつ湯上がりにもたっぷりかぶりました。


 食事はオーソドックスな山の幸という感じです。豊後牛、刺身、鯉こく、鮎、揚げたての天ぷらなどなど。最初にずらっと並び、天ぷらなど温かいメニューなどが一部、あとから出てきます。


ディナー



 2人で泊まると1万円、しかも朝夕部屋食の宿と考えればボリューム、味とも合格(スイマセン・偉そうで)だと思いますが、もうちょっと野菜メニュー(漬物あたりとか)が充実しているるほうが私好みではあるかな……。とくに豊後牛がかなり美味しかった。陶版の上に乗って出てきたのがつくづく惜しかったです。前にも書きましたが、この状態で火を付けるとどんなに美味しい肉でもまずくなってしまいます。まあ、こういう場合はスタッフに火をつけてもらわないようにして、他のメニューを食べた皿に牛肉をいったん退避させる。それからおもむろに火をつけてから皿を温め、熱くなってから肉をさっと焼く……という風にやると美味しくいただけます。


 もちろんそのようにしていただきましたが、1万円代前半のお宿にしては、なかなかいい肉で、ついてきた焼肉のたれより、お刺身のお醤油でいただくほうが肉そのものの美味しさが味わえるほどでした。写真は朝ごはんです。


朝食



 翌朝、起きると雪でした。対岸の羅漢の風景が雪でかすんで見えるほど。こりゃー雪見風呂じゃ、と小躍りして露天に向かいました。しかしハンパなく寒いっ! 寒い脱衣スペース(ここもほとんど露天です)からかけ湯するのももどかしく温泉に飛び込んでしばし。ようやく体がほぐれ、安堵とともに吐き出される白い息の向こうに雪の羅漢を眺めたのでした。それにしても肩まで温泉につかりつつの雪の羅漢の風景ひとりじめ、はとても得した気分でした。


露天風呂



 ゆっくり朝湯したせいか、湯あがりはホカホカでした。そのあとの雪の山口行もあまり寒く感じなかったのはこの朝の長湯の保温作用のおかげかもしれませんね。気をよくして朝ごはんの後もチェックアウトギリギリまで露天を堪能していたら、オーナーがコーヒーをサービスしてくれました。


 一人旅OK・風景良し・部屋食・貸切露天・24時間風呂・源泉かけながし・あまけに泉質良好。料理やお部屋に派手さはないですが、1万円の宿(ひとり旅だと1万2750円)としては満足度は高かったと思います。ぜひまたのんびりしに行きたいですね。


 湯ノ釣温泉 渓仙閣
 http://www.wakadanna.com/oita/keisenkaku.html






冬のドライブ♪ ボンネットの猫に要注意!

2008-12-12 11:16:00 | 中国地方の温泉など
 雪が降りましたねえ♪ その前日から私は大分の良宿に泊まっていて(その宿のレポはまた後日します)、翌日は由布院にでも行くかと思っていたのですが、雪のため九重で引き返すはめに。


 しかし、冬大好きな私、そのままうちに帰るわけありません。特にこんな雪の日こそ、普段見れない絶景に出会えるチャンス! しかも、絶対に人出が少ないぜェ!(←つまり土曜日に一人で出歩くのにうってつけ)


 『急』のつく運転さえしなければ大丈夫さ♪ と、ジェロの歌ばり(笑)に「海に降る雪」をめざして関門海峡を渡ったのでした。


 あいにく雪は止んでしまいましたが、どんより重い雲間から陽がさして、田んぼや木に残った雪を輝かす…… というふだんは見られない景色に出会えました。


 写真は山口県の千畳敷にある「カントリーキッチン」より暮れかけた日本海。


カントリーキッチンからの展望
カントリーキッチン店内



牛肉のビール煮込み 高台にあり窓に沿ってぐるりと配置したカウンターから日本海を見渡す人気のカフェもこの日はさすがに私の貸切でした~。芝生の上に雪が積もっているのがわかりますか? ホットチョコレートが飲めたらいいや、ぐらいで訪れてみたのですが貸切なのに気をよくして、早めの夕御飯をいただいてしまいました。牛肉のビール煮込み(天然酵母パンとサラダのセットで1800円だっけ?)、煮込んだ肉が柔らかくほぐれて美味しかったです。 ネットの情報では17時と表記されていますが、現在は18時30分までやってるようです。


 カントリー・キッチン
 0837-37-3824
 木曜定休




 10年くらい前から好きでたまに行くお気に入りの店なのですが(サンドイッチやハンバーグも美味しいです。チョコレートケーキもずっしりしていて好み)、ただし店内にトイレがナイ。キャンプ場のを利用するようになっていますが、これがやや遠いうえに汚い(暗いとたぶん怖い)。ここを訪れる前にコンビニなどで必ずトイレを済ましておくことをお勧めします。


 さて、寒い時のドライブ、温泉好きならなおさら楽しいですが、先日取材中に思いもかけぬ出来事がありました。とある取材場所(すごく寒い)を終了して車をスタートさせてまもなく。


 カメラマン「猫の鳴き声しません?」
 高山「カーラジオっすかね」


 ……と、ラジオをオフに。


 止んだ? と思ったらまたしばらくすると猫の鳴き声が。しかもかなり大きく。座席にはもちろん猫は入り込んでいません。あわてて車を止めました。


 ……折しも、引きずり事故が多く報道されている時節柄。え、まさかひいちゃった!? とおそるおそる車の下をのぞきこみましたが、猫の姿はなし。しかし猫の鳴き声はあいかわらず聞こえます。しかもさっきより大きく、かつ苦しげに。


 「巻きこんじゃってたらどうしよう」と二人でおろおろと這いつくばるようにして車の下を懸命にのぞきこみますが猫の姿はまったく見えず。だけど苦しげな猫の声は止みません。


 「どうしよう」「JAF呼びましょうか」


 猫の声はボンネットの下から響くように大きく聞こえます。


 もしかして……と、「ボンネットをあけてみましょう」と提案し、カメラマンさんが開けたとたん、ぴょーん! エンジンルームの中から猫が飛び出しました。野良猫のようでした。どうやら、あまりに寒かったせいか、車のエンジンのあったかさに惹かれて猫は車のエンジンルームにもぐりこんだようなのです。走り出した車のエンジン音にびっくりしたのでしょうか、それで騒ぎ出したらしい。猫は、まだ温かいエンジンに未練があるのか、車のそばで鳴いてます。まったく怪我はしてなさそうです。


 「よかった~」カメラマンさん、安心のあまりべそをかいてました。ボンネットをあけて血まみれの猫の一部が見えたらどうしよう、と私も怖かったのでほんとうに腰砕けになりそうでした。


 それにしてもどこから?…… 全然ボンネットはあけてないし、どう考えても車の底部から入り込んだとしか考えられません。車の底からボンネットって、猫なら簡単に入り込めるほど大きな隙間があいてるんですね……。初めて知りました。


 ということで、冬のドライブに出かける皆さん。こんなこともあるんですよ~。


 出発前、および出発してしばらくは、くれぐれも知らない猫がエンジンルームに入り込んでいないかご注意ください。ま、めったにないとは思いますが(笑)


 最後に写真は先日取材した「めかり山荘」からの夜景。


「めかり山荘」からの夜景








1泊3400円で絶景露天付き&部屋食の客室!? 白鳥温泉上湯

2008-12-05 11:28:00 | 宮崎の温泉など
 いや、それがあるんですよ。そういう宿が。


 宮崎県えびの市、霧島山系の北麓斜面にその宿、白鳥温泉上湯はあります。西郷隆盛も訪れたという歴史ある温泉なのですが、この露天風呂が大変素晴らしい。湯船に浸かったまま、えびの市のパノラマがぱーっと開けます。女湯からも目隠しなしに、です。これぞ絶景露天風呂。


温泉



 もちろん温泉は源泉かけながし。自噴する源泉自体が熱い(70度)ので加水はありますが、PH2.9の酸性泉の泉質は十分に感じられます。ゆえに乾燥肌の人は保湿剤をもっていって念のために湯あがりにケアしておくのがよさそうです。


 1泊2850円~(寝具や浴衣は別途。寝具一組850円、浴衣200円。テレビコイン式。寝具持ち込みも可能)と格安の素泊まり宿なのですが、こぢんまりとした専用露天風呂がついた部屋もあり(専用露天からも、もちろん絶景が見えます)、こちらは3名までは1室11000円、4名以上は3400円。2間続きなので4人家族で泊まっても余裕の部屋です。


 トイレ洗面付き。新しくはないですが、いずれも清潔にしつらえられています。しかもテラスの端にある露天は客室からは壁で見えないようになっているので、子供さんが大きくなった家族でも気兼ねないですね♪ 写真は客室の露天です。1枚岩をくりぬいてあります。


露天風呂



キッチン ロビーには絶景を目の前にしたラウンジ的なスペースもあり、湯上りに寛ぐのもよし。お食事は自炊施設があり、鍋や食器は借りることができます。食材の持ち込みも可能です。


 そしてお部屋には写真のようなメニュー表が掲げてあります。








「白鳥茶屋」のメニュー 併設の「白鳥茶屋」のメニューなのですが、聞くと宿泊客がオーダーすると部屋まで持ってきてくれるということでした。つまり部屋食可ということ。もちろん食堂のメニューは別料金ですが、つまりは格安で部屋付き露天&部屋食が楽しめてしまう! すげえ! 


 会食コースとかではないですが、湯治目的なら逆に気軽でいいかも。


 ちなみに、宿の裏手には「地獄」がありそれを利用した蒸し風呂(サウナ)や蒸し釜もあります。蒸し釜の利用は宿泊者は無料ということでした。


 なんといっても絶景温泉が素晴らしく、次はここに連泊して湯治気分を味わいたいなあ、なんて思いました。




 白鳥温泉上湯
 HP: http://www.city.ebino.lg.jp/kanko/shiratori.html