By ALASTAIR GALE
(画像:従軍慰安婦を象徴するソウルの「平和モニュメント」)
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【ソウル】安倍晋三首相による米議会での演説を来週に控えるなか、韓国政府が日本と対立する歴史解釈について
自国の立場を広く訴えるため、米国のPR企業と契約したことが分かった。同社の幹部が明かした。
韓国は安倍首相の行動を警戒している。安倍首相が第2次世界大戦中の日本の侵略行為を明確に認めないか、
もしくはそれについて謝罪しないだろうと考えている。両国間の歴史解釈の違いは日韓関係の緊密化を阻んでおり、
中国の自己主張の強まりと北朝鮮の好戦的な態度に対処するため協調体制の構築を試みている米国は、そうした状況に
不満を募らせている。
安倍首相は4月29日に米議会上下両院合同会議で演説を行う予定だ。
韓国政府が雇ったPR企業は首都ワシントンにある。企業名の非公開と匿名を条件に取材に応じた同社の幹部によると、
求められている仕事は日韓で異なる歴史観をめぐり韓国側の立場を代弁することだ。この幹部は「安倍氏の演説を聴いた
記者団に、彼が言わなかったことを理解させる」ことが自分たちの任務だと話した。
韓国が重点を置くのは、戦時中の旧日本軍による韓国人女性の強制売春をめぐる長年の論争で自国の立場を
主張することだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は日本が改めて謝罪し、女性に対する賠償計画を提示しない限り、
安倍首相とは会談を行わない構えを示している。
一方、損害賠償などの問題は1965年の国交正常化の際に結んだ請求権協定で解決済みだというのが一貫した
日本の立場だ。その際、日本は韓国に対し、支援および借款として数億ドルを支払った。日本はまた、戦時中の行為に対する
一連の謝罪がすでに政府高官らによって行われたとしている。
存命の約50人の韓国人女性が日本軍によって強制的に売春婦、つまり「従軍慰安婦」として利用されたと自ら公表している。
安倍首相は最近、こうした女性たちは人身売買の犠牲だったと発言したことを認めた。また首相は1993年に当時の
河野洋平官房長官が従軍慰安婦への旧日本軍の関与を認めて謝罪した、いわゆる河野談話を見直す考えがないことを表明している。
日韓関係を担当する韓国のある政府高官は、安倍首相による米議会での演説は両国関係の最近のゆるやかな
雪解けを妨げることになりかねず、「大きな懸念材料」だと述べた。
韓国外務省の関係者は米国のPR会社についてコメントしていない。
ウォール・ストリート・ジャーナル 2015 年 4 月 21 日 18:25
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