テアトル広島は広島の放送局「中国放送」専属劇団を前身として、今年は40周年という歴史を持つ地元アマチュア劇団。年間に2~3回の定期公演をしていて、アマチュアといっていいのか。
翻訳劇から永井愛までレパートリーも広い。他に定職をお持ちだという意味ではプロの役者ではないのだけれど、なかなか芸達者な役者さんぞろいなのだ。
今回は特に上演に選んだ作品がよかった。
日系アメリカ人という設定の英語交じりの台詞や日本人離れしたちょっとしたしぐさ。
5人の役者のていねいな役作りで、休憩10分をはさんで2幕2時間半の芝居を飽きさせない。
原爆劇や反戦をテーマにした芝居が上演されていそうなイメージの広島だが、音楽の興隆に較べて演劇のほうはごく僅かしか上演されない。
だが反戦を訴える芝居ではなく今回のような「自分の内なる差別意識(ナショナリズム)」を糾弾する芝居がさりげなく上演されていることに広島のスゴサを感じるな。
真珠湾奇襲を境にアメリカ国内の日系人は急造の強制収容所に収容された。
そのひとつ、63年前のマンザナ強制収容所が舞台。
その一室に集められた5人の女性にマンザナの芝居を上演せよという任務と台本が渡される。
「ここは収容所ではありません、みんなで住みよいステキな町を作ろう」という内容だ。
そんな嘘っ八はやれないと、5人が親日派とアメリカ派の二つに分かれて・・。
どんでん返しあり、演劇論、演技論あり、浪曲やハリウッド映画まで飛び出す、井上ワールド。
威勢のいいアメリカ批判の矛先がアジア人には平気でひどい差別をする日本人の批判に向き、
客席の自分の居心地が悪くなったと思っていたら
さらに上の平等世界を夢見る彼女たちにホッと胸をなでおろしたり。
非国民としてさらに過酷な収容所に送還されることになったソフィアを残りの4人が協力して
阻止し、一緒に芝居を上演しようというシーンには感激しちゃった。
わくわくハラハラの2時間半。
ヒヤリとさせられた分、心にちくりと痛みが残る。さすが、井上ひさし!
地元の劇団で楽しむ芝居は格別で、チケットも手軽に買えるので家族連れで観に来ている常連客が多い。ちょっと年齢は高いが、映画の観客層とよく似ている。
人間同士の関係性を描く演劇は、
人が人に影響を与えてそれが人を動かしていくさまを象徴的に描き出す。
このようにして人は生きているんだと思うと、テーマの如何に問わず勇気が湧いてくるではないか。
「マンザナ、わが町」の初演は1993年の「こまつ座」公演。演出は鵜山仁。
ちなみに5人の女性は、川口敦子・神保共子・松金よね子・白都真理・篠崎はるくの女優5人が演じている。
翻訳劇から永井愛までレパートリーも広い。他に定職をお持ちだという意味ではプロの役者ではないのだけれど、なかなか芸達者な役者さんぞろいなのだ。
今回は特に上演に選んだ作品がよかった。
日系アメリカ人という設定の英語交じりの台詞や日本人離れしたちょっとしたしぐさ。
5人の役者のていねいな役作りで、休憩10分をはさんで2幕2時間半の芝居を飽きさせない。
原爆劇や反戦をテーマにした芝居が上演されていそうなイメージの広島だが、音楽の興隆に較べて演劇のほうはごく僅かしか上演されない。
だが反戦を訴える芝居ではなく今回のような「自分の内なる差別意識(ナショナリズム)」を糾弾する芝居がさりげなく上演されていることに広島のスゴサを感じるな。
真珠湾奇襲を境にアメリカ国内の日系人は急造の強制収容所に収容された。
そのひとつ、63年前のマンザナ強制収容所が舞台。
その一室に集められた5人の女性にマンザナの芝居を上演せよという任務と台本が渡される。
「ここは収容所ではありません、みんなで住みよいステキな町を作ろう」という内容だ。
そんな嘘っ八はやれないと、5人が親日派とアメリカ派の二つに分かれて・・。
どんでん返しあり、演劇論、演技論あり、浪曲やハリウッド映画まで飛び出す、井上ワールド。
威勢のいいアメリカ批判の矛先がアジア人には平気でひどい差別をする日本人の批判に向き、
客席の自分の居心地が悪くなったと思っていたら
さらに上の平等世界を夢見る彼女たちにホッと胸をなでおろしたり。
非国民としてさらに過酷な収容所に送還されることになったソフィアを残りの4人が協力して
阻止し、一緒に芝居を上演しようというシーンには感激しちゃった。
わくわくハラハラの2時間半。
ヒヤリとさせられた分、心にちくりと痛みが残る。さすが、井上ひさし!
地元の劇団で楽しむ芝居は格別で、チケットも手軽に買えるので家族連れで観に来ている常連客が多い。ちょっと年齢は高いが、映画の観客層とよく似ている。
人間同士の関係性を描く演劇は、
人が人に影響を与えてそれが人を動かしていくさまを象徴的に描き出す。
このようにして人は生きているんだと思うと、テーマの如何に問わず勇気が湧いてくるではないか。
「マンザナ、わが町」の初演は1993年の「こまつ座」公演。演出は鵜山仁。
ちなみに5人の女性は、川口敦子・神保共子・松金よね子・白都真理・篠崎はるくの女優5人が演じている。
私の愛する作品の一つですよ!
実は、
名古屋である劇団が上演したとき、
同僚に、戦前ハワイに渡り苦労した母親を持ち、母親が帰国したために結局日系人にはならなかったものの、大人になってからハワイ留学を果たした結果、日系人の妻を持ってしまった人がいて・・・その方に英語交じりの日本語指導をお願いするコーディネートをしたのですよ。
(その方、今、広島在住です☆)
その方は日本語教師なので、教え方が抜群。当然ですが、母親を通してマンザナのことは詳しくご存知でした。
そんなわけで、あ、もちろん演出も素晴しかったし、役者さんも達者でしたのでその劇団はその作品で名古屋の賞をもらいました☆
私はただのコーディネーターでしたが、とても嬉しかったです。
「マンザナわが町」。真剣、やってみたい作品なんですよ☆
上演までには多くの人手とお金とあまたの困難があるのですもの。上演作品は納得のいくいい作品を選んでほしいものです。
ラストはちょっと楽観的な理想主義に流れるきらいはあるけれど、本当に心の底からハッとさせられる感慨深い作品です。
芝居の楽しさも十分味合わせてくれて、悔しいけれどやっぱり井上ひさしは面白い!