ギャンジャン

人は独りでは生きてゆけないのに人は独りで死んでゆく。刹那い一瞬に人は何を求める?

清原、オリックスへ

2005-12-21 07:00:00 | プロ野球ジャングル

清原のオリックス入りが正式に決まったらしい。
セリーグとパリーグ
何だかんだ言ってもパリーグはセリーグには敵わない。
FAでパリーグからセリーグへの移籍は多数あっても、その逆は少ない。
ドラフトでパリーグから強行指名を受けてありがた迷惑顔のTV生中継の表情アップは昔何度も見かけた光景だ。
合格ラインすれすれの選手ならパリーグに指名されても文句は言えないが、本格化即戦力や素材一級品の選手なら、以前ほどではないにしろ、セリーグできれば在京セリーグ、極めれば巨人ということになる。
清原はその巨人ブランドを長い時間、紆余曲折を経て手に入れた。
できればそれを掴んで永遠に離さないつもりでいた。
そしてそのブランド巨人からの解雇。
清原がここまで結論を長引かせたのも可能性が低いながらも他のセリーグからのオファーを待っていたからではないのか?
巨人という恋人に振られた腹いせに「めちゃめちゃしたれ」ではなかったのか?
プロ野球の表舞台に立ち続けていた男の最後の死に場所がオリックスじゃ巨人に対する怒りをぶちまける手段もない。
故仰木前監督に「大阪に戻って来い」と言われたそうだが、単純な流れからすれば「大阪に飛ばされた」「大阪に拾われた」である。
オリックスファンには大変申し訳ないが、オリックスはイチローをメジャーに売り飛ばしてからあまりイメージがよくない。
現ホークス新垣の入団拒否によるスカウトマンの自殺という暗い過去もある。
先日ドラフトで辻内の選択権が手違いでオリックスから巨人に移ったときにも、辻内は感情の高揚を隠せなかった。
巨人で活躍できる実力があるのなら、メディアへの露出や待遇面でも他球団とは確たる差が生じる。

何せ明るい話題が少ないオリックス。
清原の入団ごときでさほどのディープインパクトはない。
関西人のほとんどが興味は阪神タイガースに偏っていてオリックスにはあまり行き届かないのではないか。
もしオリックス対阪神の日本シリーズなら関西対決と言われながらも、大多数が阪神を応援するだろう。
阪神が優勝して道頓堀に入水することはあっても、オリックスが優勝してそのようなことはおそらく起こらない。
そんなオリックスで清原は来年走り出すのだ。ただ野球をやるために。
走り続けるために走るエイシンチャンプのように。

環境が変わろうとも来年の清原の苦戦は免れない。
思えば「泥水を飲む」覚悟で臨んだ堀内巨人でも、泥水のように周りの和を乱しただけだった。
それによって元木は球団からはじかれた。
そして来年は確実に年齢が1つ加算される。確実に下りの階段を1段下りる。
気力や根性、「見返したる」パワーがあっても体力が言うことを聞かない。
もう20年以上前の清原はいない。
清原の全盛期は実は16歳~19歳まででプロ入りしてからは無冠なのだ。
無冠と言っても無敗の3冠の略ではない。文字通り冠が無いのだ。
PLで数々の記録を積み上げてもプロではまだ誇れる金字塔が無い。

さんざん清原の悪い部分を書いて来たが嫌いではない。
改めて清原の会見を見た。
少し感動した。
イアリングが耳から消えていた。
胸に深く沈めた決意を表情で具現しながら。
瞳の奥には薄っすら霧がかかっていた。
ラストランを迎えるその日はそう遠くないかもしれない。
それでも完全燃焼する道を選んだ。
タップダンスシチーのように。


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