久しぶりに東京にいる友人Nから電話がかかってきた。
しばらくの間仲間の近況報告のあと、彼は競馬のことを切り出してきた。
友人N「阪神すげぇ雨じゃん」
ok-era「何で知ってんの?」
友人N「TV見てるよ。こんなときはでっかい馬が来るんだよな。お前やんの?」
ok-era「やんないよ。当たる気しねぇもん」
彼は予想はするけど、馬券はあまり買わない。グリーンチャンネルも電話投票もあると言うのにだ。抑えの利かない私からしてみれば彼はとても偉大に見える。
ok-era「いいこと言うなあ。そんなのありそうだよ。でかい馬から買っちゃえよ。
じゃあ切るよ」
電話を切った時刻が3時27分。まだ10分ちょっとある。
友人Mが言っていた「でかい馬が来る」は私の中からデビルを呼び出していた。このレースまで土日の収支はプラスである。安全策でこのG1は無料観戦をしようと決めていた。なのに意志の弱い私。豆腐のように。
でも友人Nの「でかい馬が来る」はすごく的を得ているように思えた。雨の日には力強く掻き込むワイルド走法でなければならない。それができるのは大きい馬だ。馬体重の小さい馬は非力で地面を掻き込めない。
そこで馬体重の大きい馬を調べてみる。
◇第1位 アサヒライジング 514Kg
◇第2位 フサイチパンドラ 486Kg
◇第3位 シークレットコード 480Kg
◇第4位 テイエムプリキュラ 478Kg
◇第5位 クリノスペシャル 470Kg
馬単のボックスで行ってみよう。いや意外とイケるかもしれない。
パソコンのスイッチを入れる。画面が開かないアクシデント。再起動してみる。やはり開かない。どうやらその前のPATをログアウトしないで閉じたのが原因だったらしい。それに気がついて画面が開いたのは3時37分。もう間に合わない。
まあ、どうせいいや。神様がやめなさいと言っているのだろう。
そのときまではただそう思っていた。
だが大悲劇が起こるまでにはそう時間はかからなかった。
結果は
■1着 テイエムプリキュラ 478Kg(馬体重ランキング第4位)
■2着 シークレットコード 480Kg(馬体重ランキング第3位)
■3着 フサイチパンドラ 486Kg (馬体重ランキング第2位)
意気消沈しているときに追い討ちの電話が鳴る。
友人N「とったか?」
ok-era「とんないよ」
友人N「うそだろ。俺とったよ」
ok-era「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのあとの彼の言葉はヒーローインタビューさながら。何を言っていたのかあまり記憶にない。
友人N「よかったよ。お前に電話して」
感謝されても全然うれしくない。それよりつらい。悲しい。空しい。切ない。
あとから言ってもだめだよ。知っている。
こんなこと言っても何の得にも何の慰めにもならないことを。
ただ私の HEART’S CRY を少しだけでもわかってもらいたくて。(泣)
私の心は泣いている。
私の心は破れている。
私の心は痛んでいる。
私の心は壊れている。
私の心は叫んでいる。
また少しだけ競馬を嫌いになりたい。
開かないパソコンを嫌いになりたい。
今は涙の海に沈みたい。
そして明日からはいつもの自分に戻りたい。