医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会
医賠責の支払い、年間300億円は妥当な数字か◆
2011年10月29日 橋本佳子
厚生労働省の「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」(座長:里見進・東北大学病病院長)の第3回会議が10月24日、開催された(資料は、厚労省のホームページに掲載)。前回会議で、無過失補償制度の検討に当たって、医療事故の発生件数やそれに伴う死亡数、医賠責の件数などのデータが求められたのを受け(『フランスの無過失補償制度などを検証◆Vol.2』を参照)、同省は、全国の医賠責保険の支払額は、年間300億円程度との見方を示した。
医事紛争に伴う損賠賠償や示談金などの支払額が不明な中、注目されるデータだったが、この数字に疑問を投げかけたのは、弁護士の宮沢潤氏。「(日本医療機能評価機構が運営する)産科医療補償制度はほぼ同額の規模で運営している。産科だけでこの金額になる。推計の根拠を教えてほしい」と質問。これに対し、厚労省は、この数字は統計的データではなく、「一部の保険会社にも当たったが、保険の支払額は非公開。業界全体としての数字を聞いたところ、関係者の話では300億円程度ということだった。情報の根拠を把握しているわけではない」と述べるにとどまった。
「次回以降は、この検討会で何を議論するか、焦点を絞り進めていきたい」と里見進座長。 |
さらに医療事故件数として同省は、日本医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業」のデータを紹介。同事業は、特定機能病院などには報告義務を課しているが、中小病院や診療所には報告義務はない。このデータに対しては、弁護士の加藤良夫氏は、「大きな病院でも、事故報告がないケースがあると聞いている。義務があってもきちんと報告しているのか」と質した。
宮沢氏はさらに、「新たな制度を設計する場合、現状がどうなっているのか、それを知るのが大前提。医師会や病院団体関係でどの程度事故があるかを把握していないのか。別の観点から情報収集できる可能性はあるのではないか」と述べ、関連データの有無を引き続き探すよう求めた。
日本医師会常任理事の高杉敬久氏は、「日医の医賠責で扱っている総件数のデータくらいは出すことができるだろう」としながらも、日医以外で各都道府県医師会が扱う医賠責のデータは把握していないとした。そのほか、「金融庁を通じてそうしたデータは入手できないのか」(健康保険組合連合会参与の椎名正樹氏)との意見も。
医療事故件数については、カルテを基に分析した研究がある。厚労省は次回会議でこのデータを提出するとしたものの、医賠責関係については今後、どんな詳細データが提出されるか注目されるところだ。
24日の会議では、医療事故の被害者へのヒアリングのほか、委員が提出資料を基に説明。政府の「死因究明制度に関するワーキングチーム」の検討状況も報告された。同ワーキングチームは、警察庁の「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会」の2011年4月の報告書を受け発足(『法医解剖の理想的な形の第一歩 - 千葉大学法医学教授・岩瀬博太郎氏に聞く◆Vol.1』を参照)。警察に届けられた死体について、解剖率などを向上させ、死因究明制度を確立することを目指しており、法改正が必要な部分は次回11月に検討するとした。
医療事故をめぐる議論は、原因分析と再発防止、被害者の補償、責任追及など非常に多岐にわたる。里見座長は、「次回以降は、この検討会で何を議論するが、焦点を絞り進めていきたい」と述べ、「20年ぐらい前と現状を比較すれば、医療安全に取り組んでいる施設はかなり増えている。隠ぺいは不可能であり、ほとんど意味がない。全部説明し、謝るべきとことは謝る。しかし、まだそうした施設が多くはない、という指摘があれば、医療界としてこのような文化を広めていく必要がある」と締めくくった。
第3回会議では、政府の「死因究明制度に関するワーキングチーム」の検討状況も報告された。 |
「原因分析と再発防止が実現すれば、裁判は減る」
ヒアリングの対象者は、本検討会委員の新葛飾病院セーフティーマネージャーの豊田郁子氏と、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の勝村久司氏の二人。
豊田氏は2003年3月に子供を医療事故で亡くした経過を説明。最終的に病院との和解が成立したが、その経過を踏まえ、「息子がなぜなくなったのか、それを知りたい一心だった。和解をした頃は、病院の対応に理解も納得もしていなかったが、裁判でも本当のことが分かるのかと思い、和解した」と語り、厚労省の“医療事故調”に関する検討会発足を機に、2008年に「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」を発足させたとし、“医療事故調”の早期設立を働きかけてきたという。「医療事故に遭遇した患者家族は、いきなり訴訟を起こそうとは思っていない。一番の願いは原因究明と再発防止であり、経済的補償だけでは救済されない」(豊田氏)。
「どんな“医療事故調”を求めているのか」との質問に豊田氏は次のように回答した。「私たちは厚労省の検討会を機に活動を開始した。その後に、政権交代などもあり、ADRにもう少し力を入れる、院内事故調査委員会がいいなど、いろいろな話が出ている。こうした話を聞き、学びながら活動している。原因究明と再発防止、補償制度を一緒の制度に組み込んでいいのか、という発言もあった。私どもも今考えているところであり、少し考えをまとめてこの場で発言する」。
勝村氏は、1990年12月に陣痛促進剤の被害で配偶者が状態になり、子供は死亡、その後、裁判を経験したのを契機に、様々な活動を展開した経緯を紹介。その上で、「被害者は最終的に、被害を生かしてほしい、二度と同じ被害を起こさないよう努力してほしいと求めている。そのためには原因分析と再発防止が必要だが、これまでは裁判をしなければこれらは行われなかった」とした。さらに無過失補償制度が創設されれば、「これまで被害者が裁判でしか求めることができなかったものを、この制度で実現できれば裁判はなくなる」との見方を勝村氏は示し、「この検討会で立場の違いを超えて、皆にとって何が大切かを見据えて議論してもらいたい」と訴えた。
医療ADRには可能性と限界も
本検討会委員の昭和大学病院長の有賀徹氏は、日本救急医学会が2009年11月にまとめた「医療事故の調査に関する見解」を説明。同見解は、院内事故調査を先行する形で事故調査を進めることを骨子とする内容。また、有賀氏は、「有害事象の報告・学習システムのためのWHOガイドライン」を引用、原因究明・再発防止と、無過失補償制度は別の組織で実施することなどを求めた。
医療ADRについて説明したのは、本検討会副座長の一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦氏。「家電製品などBtoC の分野では、まず企業の苦情処理対応窓口で対応するのが一般的であり、病院で言えば院内での対応に当たる」。山本氏はこう述べた上で、「現状の医療裁判が、患者あるいは医療側のニーズに合致したものであるかは疑問。裁判は損害賠償のためにあり、それに関連する原因究明を行うため、真相解明とはズレがある」とし、医療ADRが果たすべき役割があるとした。山本氏によると、医療関連では、弁護士会が中心となっているADRが全国9カ所あり、それ以外に医師会が実施している茨城県医療問題中立処理委員会、医師や弁護士らがかかわる千葉県の医療紛争相談センターがあると説明。
一方で、山本氏は医療ADRの限界も指摘。次のように述べた。「医療ADRは一定の成果を挙げている。ただし、患者側から申し立てるケースがほとんどだが、医療機関が応じない例もある。裁判のように強制力を持っていないので事案の調査にも限界がある。さらに、医療ADRで結論が出ても、それに応じて保険が支払われるかどうかは分からない。医療ARDがうまく位置付け、医療の紛争解決が理想に近づいていけばと考えている」。
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