Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

今市子「百鬼夜行抄」12巻

2011-12-19 23:40:45 | 読書感想文(コミック)


「百鬼夜行抄」の文庫を買うようになってだいぶ経ちますが、気が付けば12巻目になってました。
刊行ペースがゆっくりなのであまり気にしてませんが、たまに初期の絵と比べてみると
ショッキングなんだなぁ、これが…(泣)


普通の人には見えない“妖魔”が見える大学生・飯嶋律。
律の周りにはさまざまな妖魔が集まり、不思議な出来事が起きる。
亡き祖父・飯嶋蝸牛は式神の青嵐に律を守るよう命じていたが…


律が大学生になってからここ最近まで、飯嶋家の周辺は時間が止まっているかのようでしたが、このごろは
三郎さんが鶏になってフェイドアウトしたり、晶ちゃんに新しい恋人(?)ができたり、司ちゃんに彼氏(?)が
できたり、ちょっとずつ動きが出てきました。(開おじさんの復活はスピンオフ的な感じがするので横に置いとくとして)

で、12巻ではまた新たな動きが。なんと、蝸牛じいちゃんと式神・青嵐の間に交わされた、律を守るという契約が
律の心臓が一瞬止まったことによって解除されてしまいました。これで青嵐は自由の身、もうどこへなりとも
行きたい場所に行ってやりたいことがやれるはず…なのですが、なぜかまだ飯嶋家に居座っています。
律のお父さんの体を借りて。やっぱ、自力でエサ(=妖魔)を探すよりも、妖魔ホイホイの飯嶋家に居続けたほうが
食うに困らないからでしょうかね。退屈もしないし。

律と青嵐の関係が変化したせいで、律の周りはより一層あわただしくなってしまいました。
さてこれからどうなることやら。まさか青嵐が開さんの式神になる、なんてことはないかな。開さんは
アグレッシブすぎて青嵐を制御することはできなさそうだし(むしろ増長させそう)。


では、12巻に収録されている各話についての感想です。

●見知らぬ妹
先祖代々、その家の末の娘は村の因習によって、いけにえとして神に捧げられてきた…
いやー、やっぱ和服の女の子の幽霊は最強ですね。しかも血まみれだし!でもそれよりもっと怖いのは
因習にとらわれた生身の人間という。かつていけにえだった女の子・陽菜を守る陽一のぶっきらぼうさに
きゅんきゅんしました。

●三人法師
旧家に古くから伝わる「三人法師」の木彫り像と、それを使った呪いの話。悪気なく言った一言が
誰かの恨みを買って、恨みはやがて呪いになり…妖魔や式神は怖いけれど、彼らを使って誰かを呪い、
陥れようとする人間のほうがやっぱり恐い。私も気をつけよう、とは思うものの、どこにどう気をつけたら
いいものやら。晶ちゃんの彼氏(?)の八代準が再登場。晶ちゃんは結婚しないって言ってますが…?

●一陽来復
とってもタイムリーな「冬至」にまつわる話。私もこれを読んで今年は絶対かぼちゃを食べようと思いました。
この話で律と青嵐の契約は切れてしまいますが、よく考えればそもそも今までだって青嵐は律のことを
ちゃんと守っていたかどうか怪しいような…。久しぶりに妖狐の尾崎母娘が登場しました。昔に比べると
絵が荒れてしまって美しさが半減(いやそれ以上か)しているのが残念。

●寒螢
お葬式に来てみたら、そこは妖魔の巣窟だった。賭け事に負けた律は、体の一部を妖魔たちにやらなくては
ならず…律がふりまわされている青嵐に、難なく言うことを利かせられるお母さん。やっぱり律より蝸牛の血が
濃いからなんでしょうか。妖魔と賭け事をして負けたら体の一部を切り取られる、というのは初期の百鬼で
読んだ気がします。あの時、蝸牛じいちゃんはうまいこと妖魔をだまして逃げたのに、孫の律ときたらもう…

●嘘つき地蔵
律のお父さんの親戚に残る、奇妙な風習の話。飯嶋家はこの世のことならぬ不可思議なことがよく起きますが、
お父さんの実家も相当なもののようです。お父さんの実家が抱える呪いのスケールの大きさにはびっくりしました。
これひとつで映画が作れるかも。でも、話が複雑なのとセリフで説明しすぎなのとで内容がわかりづらくて、
2回読んでやっと意味がわかりました。百鬼ではよくあることですけどね。はは。


最近はネムキを立ち読みする機会ががくっと減ったので、雑誌で百鬼をチェックすることもなくなって
しまいました。なので、この12巻の続きを読むのはいつになることやら…つか、いつまで続くの?
まだ続いてるのかしら?もはや完全に浦島太郎状態です…



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