Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

第6回小豆島芸術家村滞在作家展 その2

2011-12-18 23:25:01 | ローカル


ふるさと村夢想館を出て、神浦(こうのうら)地区にある神浦旧太鼓蔵へ行きました。

ここには松永龍太郎さんの作品が展示されています。

大きな太鼓蔵の中に入ってみると、そこには



入って左手にどーん。



正面奥にどどーん。



そして右手にどどどーん。

東京藝術大学で日本画とデザインを勉強された松永さんらしい、個性的な作品がありました。

タイトルは「ラグランジュポイント」。松永さんの解説によると、ラグランジュポイントとは
天体力学における用語で、3つの天体が均衡する位置を意味するんだそうです。
ガンダムでいえば、スペースコロニーのあるところです。

3人の少女はそれぞれ上から順に過去・現在・未来を表わしていて、3人は祖母・母・娘なのだとか。
(母と娘は同じ遺伝子を持っているだけだそうですが)
名前もあります。過去を表わす絵の少女は山崎明日那(アスナ)。現在の少女は導遥(みちびきはるか)、
未来の少女は糸川隼(ジュン)というそうです。明日那と遥は親子で、隼は遥の遺伝子から生み出された、と。

少女が3人いるからといっても、「ラキシス・アトロポス・クローソー」ではないんですね。はは。

背景の色にも意味があって、アスナの背景の赤は血と情熱を、遥の背景の白は大地を、隼の背景の黒は宇宙を
表わしているそうです。3つ合わせて「天地人」。ぶっきー主演の残念大河とは関係なさそうですが。

地元のお祭りに参加したときに、世代間の交流を目にしたことが、過去と現在、未来を混在させる作品を作る
ヒントになった…みたいです(うろ覚え)。

日本画を専攻していた人がアニメのキャラクターの絵を描いている…という意外性に最初は面食らいましたが、
薄く伸ばしたアルミの上に顔料を塗って描かれた絵には、普通のイラストと違った風合いがあって面白かったです。



表面に凹凸があって、髪の毛の質感が出ています。



顔料には小豆島の石を砕いたものが混ぜてあるそうです。
写真だとわかりにくいですが、近くで見るときらきら輝いています。特に、隼の背景、宇宙を表わす黒は
石の粒が星のようでした。

旧太鼓蔵を出たら、近くにあった黒島倉庫に移動。ジェームズ・ジャックさんの「ゆうやけハウス」です。



同じバスに乗っていた人の頭が映りこんでしまいました。失礼。
板の色を変えることで、倉庫が夕陽を浴びているように見えます。



倉庫の中。地元の人たちが書いたメッセージがプロジェクターで壁に映っています。



手前の土間には、砂利がしきつめられていて、まるで今も人が住んでいるよう。



メッセージが映し出されてる壁と対極の壁。沈む夕陽のようです。

地元の人たちが書いたメッセージは、倉庫の黒板塀の内側に貼られているそうで、この日は最後の黒板塀を
打ち付ける「釘打ち式」が行われました。作品を見に来ていた人たちが書いた最後のメッセージを黒板の裏に
貼り、居合わせた人たちでかわりばんこに板を釘で打ち付けて、「ゆうやけハウス」は完成しました。
最後に、地元に伝わる“神浦小唄”を歌って釘打ち式は終了。芸術活動と地域の日常が融合した、ユニークな
セレモニーでした。今後、この倉庫は「ゆうやけハウス」としてのスタイルを保ちつつ、これから来るアーティストの
作品展示に利用されるそうです。

最後に、旧三都小学校(現三都ふれあいセンター)にある三都体育館へ、ジャックさんのもう一つの作品を
見に行きました。タイトルは「色相のフィロソフィー」です。小豆島の三か所の乳もとい土の自然な色が
美しかったので、その自然な色を使ってシンプルなオブジェを作ったそうです。

では見てみましょう。



…土俵?

いやいやいや、そういうわけではなく、なんか哲学的な意味があるそうです。

でもまあ、ぱっと見は「地元の土を場所ごとに丸く広げただけ」のように見えますが、ここまで大きく丸く
広げるのは大変だし、よく見ると土には手で広げた後が模様みたいに残ってるし、体育館の窓から差し込む
光で、鑑賞している我々の影が土の上にぼんやり映っているしで、結構面白かったです。



土の色によって、手の跡も見え方が変わってきます。この土が一番はっきりくっきり見えました。
ちょっと月面っぽい。



体育館の2階への上がり口に貼ってあった貼り紙。ちなみに、小豆島には、この貼り紙のように赤く塗られた手が
彫られた道しるべ(主に島八十八か所のお寺などを示す)がいくつもあります。たまに見かけますが、毎回
ぎょっとします。

今回は夏に比べてアーティストも作品も少なかったですが、島に長く(約4か月)滞在して制作されたものばかりなので、
島とつながりの深い、島ならではの作品ばかりで、とても興味深く見ることができました。

吉田さんは招へい期間(~12月まで)が過ぎてもまだ3カ月ほど島に滞在して、創作活動を続けるそうです。
ありがたやありがたや。吉田さんの次の作品に期待しています。






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